3話、自分の気の弱さから
とりあえずギルドを探してみる俺。
ギルドなら現生勇者とやらにも会えるかも。
さっきから都市を歩き回っているけど、通行人からの視線が多い気がする。
服装や容姿が違うからかもしれない。
そのまま異世界へ来たせいで、この世界と服装は合わないし、容姿も俺はアジア人でここの人らはアジア人ではないけど白人とも違うっぽい感じの見た目だし。
しかしこのじっと見られているような感覚はきつい。
なんか動きづらく感じる。
「お?ここかな?」
しばらく歩いているとギルドらしき場所へと着いた。
武器を携行し、鎧や機能性のある服を着た人達が出入りしているからそうだろう。
・・・よし、入ろう。
そうは思うものの、なかなか入る気になれない。
怖い、緊張する。心臓の鳴りが再び強くなる。
こんな予感はしていたんだ。
俺はこういう場所へ入るのが苦手だ。
なぜ自分でもこれほどまでにただ建物へ入ることに緊張するのか分からないが、これは元からそうなのだからしょうがない。
上手く理由を説明することは出来ないが、ただでさえ外でも視線を浴びてしまった(だろう)にギルドは建物だ。外よりも狭いだろうから、更に視線も集中する。
それにギルドへ入って何をしていいのかも分からない。依頼でも受けるか?いいや。
国王が言っていた、現生勇者を探す。でもいなかったら?
現生勇者の居場所でも聞くのか?しかし、他の冒険者に声をかけることなどとんでもなく緊張してできない。
受付に聞いて分からなかったら?
ギルドの中で目立つ格好でオロオロしている姿を見られるのも怖い。
次から次へと不安がこみ上げてきて、ギルドへ入ることが出来ない。
「・・・無理だ」
俺はそのままギルドから遠ざかってしまう。そして目指す先は・・・。
「やっちまった・・・」
俺は都市の外へ出て行ってしまっていた。
「自分が情けない・・・」
もう都市へ引き返すことなんて無理だ。下らない理由で逃げ出したのに、また都市へ戻るなんて出来ない。
こんな自分の弱さで最初から進むべき道を外すなんて情けない。
どこか人がそれなりに多くて、ギルドのある都市から離れた町でも探そう。
そこで日銭でも稼ぎながら生きていこう。