1話、能力をもらって
あれ、ここは一体どこだ。
俺は気が付くと真っ暗な空間の中にいた。周りは何も見えない。
おかしいな、さっきまで自分の部屋にいたはずなのに。
いや、俺は目が見えなくなったのか?
それも違うよな。
机も椅子も何もかも手探りで探しても見つからないのはおかしい。
ここは本当に無の空間なんじゃないか?
こんな非現実的なことって実際あるのか。
「落ちついてますね。宮本リュウ様」
後ろから声がした。
びっくりして振り返ると、そこには女性が一人立っていた。
白人にも見えるし、アジア人にもギリ見えるっちゃ見える、ハーフか?
『少女』と『女性』の中間ぐらいって見た目だな。可愛め。
「えぇっ・・・と、あの」
「私は女神ラテナです。あなたを迎えに来ました、勇者リュウ様」
「え?」
何だ一体。女神?勇者?どういうことだ?
いやそれよりもこれは、この状況は、もしかしてアニメとかでよく見る異世界転生ってやつか?
俺はもしかして俺は異世界へ行けるのか?
「女神様、その、俺はもしかして異世界転生を・・・?」
「すでにご存知なのですか?さすがですね」
「おお・・・っ!」
心臓がバクバクしてきはじめた。夢じゃないよな?
現実では心身ともに弱くて負け癖がついて、コミュ障の俺が、
勇者になって異世界に行けるのか。
「リュウ様、あなたは異世界へ行く勇者として選ばれてしまいました。ただし、ただあなたを異世界へ送ってもただの人間であるあなたには何の力もありません。そこで・・・」
「・・・」
「あなたに強力なステータスを与えます。ステータス確認は異世界へ行ってからお確かめください」
いよいよ現実味を帯びてきたぞ。
「今からあなたを異世界へ送ります。最後に何か質問したいことはありますか?」
「ないです」
「そうですか。それでは頑張ってください」
女神様が俺の前に手をかざすと、白い光が俺の身体を包み込んだ。
俺、ついに行くのか!?