冷たい現実……真実
「まず、リアとその父、マクスウェルについてだ」
「なるほど。確かに一番知りたいことかも」
なんてったって、一番の謎だ。
……でも、知ってもいいのか?
まだマクスウェルの元にも戻ってないし、こういうのは本人の口から聞いた方が、いいと思う。
「ちなみにお前に拒否権は無い」
「あ……なるほど……」
「え? アナ……」
「黙れチャラ男」
「すみません」
「では言うぞ、お前を助けためんどくさいコスプレ女は、この世界の要石てきな存在だ。空気と一緒だな。無くてはならない者」
要石……
無くてはならない……者……
「だが、それは必要無くなった。いや、むしろ要らなくなった。ランキングという本当の要石が生まれたからな」
要石……ランキング?
「もちろんランキングは概念ではない。実際に実物としてあるものだ。質量の伴う物だ」
……ランキングが物
「そういう石碑があるんだ。この世界にいる強きものを刻んだ石碑がね」
「……ん? てもおかしくないか?」
「そう、おかしいんだ。リアが生まれる前に石碑はなかった。だが石碑に刻まれる名前はその後に生まれた者だけだ」
「そうだよー、実際にファフニール、ナラマ様の名前は無いわけだしねー」
「ん? つまりリアの父親は父親では無い?」
「いや、そこは本当に父親さっ」
「なら……導きだせれる答えは一つ……」
……リアは若くして神になった。
そうだ。リアはもともと人間だったんだ。
16歳で神になったんだったか?
なら……その父親は人間なんじゃないのか?
でもマクスウェルは神だと言っていた。
リアと同じで受け継いだ?
誰から? どんな理由で?
リアは魔術適正が高いから神になったと聞いた。
父親もそうだからか?
いや、それならもっと早く神になっている。
なら……なら…………
「くっそ! もう少しで出てきそうなのに」
「いいや、出さなくていいさ、とりあえずどこまで推理した?」
「リアより遅く神になったもと人間……だが理由は……なぜなれたかはまだ、わかりません」
「そこまで分かれば上々だ……答えは……」
「神になるための方法を開発した、でしょ?」
……唐突に仮面の黒髪が間に入ってきた。
「……?……っ!!」
「久しぶり、もう誤魔化すのはいいや、こんばんわこんにちは、エルタ姉のカルタさんでーす」
「……なんでいるんですか? カルタさん」
「いやー、亮太くんと仲良くしたいから、ただそれだけだよぉ」
「嘘つかないでください、あなたは私達と同じ可能性を移動した者ですね」
「ありゃ、ばれてるっ、でも亮太くんと仲良くしたいから……ていうのは本当だよ」
「……それは……信じましょう」
「ありありでーす」
「……て、なに驚愕の事実さらっといってんじゃーーいっ!!!」
俺の心のそこからの咆哮が轟く。
「エルタ姉っ!!? てことはあれか、リアに上げた人形の……」
「どのか知らないけど……まぁエルタ姉です。黒髪仮面でも良かったんだけど、どうせすぐばれるしもういいや……とりあえずよろしく、カルタさんです」
「て、なんであなたが知ってるんですか?」
「これでも転移と消去は得意でして……まぁ楽しそうな世界の可能性を転々としてたんですよ」
「おほんっ!!」
「あ」
「話進めますよ、時間ないんでっ」
「あ、はい」
「はーい」
カルタの事はまぁいい、いずれわかってたことだろうし。それより今はリアとマクスウェルだ。
「マクスウェルが神になる方法を開発した、だっけ? よく分りませんがどういうことですか?」
「彼は神になる在る物を開発し、それを自分に使用した。だから神になった。」
「どうやって……そんなことを……」
「あなたの師匠と同じ原理です。竜の宝珠を作成した。竜人を介さずにな」
「へー、つまり師匠は俺と同じ方法で竜人なったんですか?」
「まぁ有り体に言えばそうだが、実際は少し違う。君はナラマ様の魂を元に造った竜の宝珠を、師匠さんは竜の鱗を元に造った竜の宝珠を自分に埋め込んだ。それが違いだ」
「そう、だから君は夢の中でナラマ様に会ったんだよ。カンナが魂だけを違う器に移したから実体として居ることができるけどねっ(キラッ)」
……つまり、この原理と同じで神になったなら
神のなにかから、竜の宝珠のような物を産み出したのか?
「あの糞爺はな、数十万の人の命で、神の資格を得たんだよ……」
「っ!?」
まじかよ……
俺の中でのマクスウェルさんのイメージが一瞬にして崩れた。
少ししか話していないし、そんなに仲良くなった記憶はない。
だが、リアの父親がそんな人間だとは、どうしても思いたくなかった。
「人間を恨んでいたというのもあるが……やっぱり娘への想いが最悪な形として表れたんだろうな……」
「……でもなんで、どうやってマクスウェルさんは知ったんだ? 何十万の命が神の資格だって……」
「たまたまだよ……リアは魔術適正が神の資格、オリジン姉妹は生まれた場所の特異性……そして、オーディンは万の命……芋づる式に解き明かしてたらたまたま当たりを引いた。ただそれだけだよ」
「……わかった。で、結局俺はどうしたらいいんだ?」
そう俺が言った瞬間に、先ほどの揺れが再び起こる
「この元凶を止めてくれ、あと……チャラ男、さっさと行くぞ、エルタ達の所に」
「おっけー」
そんな訳で、俺は闘技場1回戦会場へとむかった。
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「なんでエルタ姉……カルタさんはこっちに来てるんですか?」
「いやー、私あんま会いたくないんだよねー、妹に」
「……理由は?」
「ちょっとしたケンカで……」
「しょうもな……」
「えー、でもそんなもんでしょ、会いたくない理由なんてー」
そんなもんか
そんなもんだな……
でも会いたくないでいったら……
リアになんと顔向けしたらいいんだ?
だって半分告白みたいなことされたんだぞ
う、くそっ
恥ずかしさでも会いたくないなんてよくあることか? よくあることか……
そんなことを考えているうちに
「よし、ついたぞっ」
「あ、きたきた……あれ? 二人だけか?」
「え、魔王クロム?」
「あーうん、人違いだ。それより、二人だけか?」
「……あぁ……」
うん。間違いない。
こいつだ……
この地震を引き起こしたのは
にしても……気持ち悪いくらいの魔力だな。
こうして相対しているだけで、気持ち悪い。
「お前ら二人で俺を止めるのは無理とおもうんだたが……もっと人を呼んでこい。面白くない」
「は?」
「ははー、神さま二人に……君さっきの見てたな?」
「……さっきのとは?」
「私が亮太に声かけたのだよ」
??いや、こんなやついたか?
「はー、面倒だな。お前みたいなタイプ俺は嫌いだ。似たやつを知ってて被るんだよ」
「知らないね。それよりその武器、精霊?聖霊?」
「どっちでもいいだろぉ、どっちにしろこの槍で二人とも消えるんだからなっ!!」
そんな感じで、俺はおいてけぼりで物語は進む。
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「いたいたいたいたぁっ!!!!!」
耳を劈くような声が俺様達の元に届く。
「あれなんだ?」
「「そんな事はどうでもいいっ!!」」
「あいかわらずだなぁ、リアとラミアは」
そんな緩慢な雰囲気が包まれているわけで
ラミアとリアは目の前が見えてないわけで
つまり、これは俺様が相手をしないといけないわけで
「めんどくせー」
「ようやく見つけた……オリジン……」
「ん? あ、俺様が目的?」
「それ以外になにがあるっ!!」
「えー、なにこの幼女ー」
「なぜそこまで弱くなった!!変わった!!」
「……昔の俺様の知りあいか……」
「……思い出させてやる……あの頃のオリジンに!」
「ちょっと時間もらうぞーリアとラミ……あ?」
すでに俺様の近くにリアとラミアはいなかった。
あ、紙が一枚落ちてる……
なになに……
『長くなりそうなので先に行ってます』……
「どんだけ亮太に会いたいんだよっ!!」
俺様は彼女達においてけぼりなまま
戦いは始まる。
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「くそっ!!」
「そんなもんかぁ!!!」
こいっつ!!
まじか、思いのほか速い!
闘技場は岩で凸凹しているのでなんとかそれを利用してうまく逃げれてるが、それでも時間の問題だ。
やっぱり攻勢にでないことには……
「『一部竜化!!』」
両腕両足を竜の鱗を付与させる。
これによって防御力の強化、そして人間の力では耐えられない攻撃力を発揮できる。
足に力を入れる。
「っ、消えた?」
瞬間移動、と言えば聞こえは良いがただ地面の岩を割らずに跳んだだけだ。
「……上か……」
あ、ばれた
まぁいい、後はただ魔術を言えばいい。
「重力インクリウス」
ナラマ様曰く、俺の魔力で黒くなっている重力の球体が、下にいる褐色野郎にとんでいく。
すべてを吸い込み。
無に還す。
「奥義……『相殺』」
はずだった……
褐色野郎がその言葉を放った瞬間、俺の魔術が消えた。
なにかに掻き消されたかのように霧散した。
「さすが神様、凄い魔力量だ。相手が普通の奴なら一瞬で消し飛んでるぜぇ」
「……お前の目的はなんだ?」
「世界回帰……それが俺達の目的だ。俺達っつうか、オーディン様だな」
「オーディン……確か北欧神話の……」
「ほく、おう? よく分からんが、ランキング2位のお偉いさんだ」
「でも世界回帰って……どういう……」
「……この世界はある時から崩れ始めた。いつからだと思う?」
突然の疑問に俺はひとまず思考する。
だが、そんな事を一度も聞いた覚えがない。
強いていうなら、千年前だったかにあったなんちゃら戦争……それぐらいしか思い至らない……
「分からないだろうなぁ、そりゃそうだ。分かりながらしてたら、もうそれは異常者だ」
「……なんのことだ?」
その男が口にした元凶は……
「ーーーだよ……」
「……は?」
その男が口にしたのは……




