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俺、神様になりました。  作者: 商 秋人
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普通、現実に話数はない        



 好きな物はアニメです。

 嫌いなものは自分本意な人です。

 

 ーなにしてるんだろうかー


 得意なことはゲームです。

 苦手な事は自己主張です。


 ーこんなことになるなんてー


 大きな怪我をしたことはありません。

 大きな病気もかかった事はありません。


 ー別に嘘をつきたかったわけでわないー


 友達は……

 ……いません


 ーただ……本当の自分を……ー


 僕はそう思います。


「敬語なんていいよ?」


 ……そう言ったのは……誰だっただろう。

 仲は良い方だったけ?


「なにボケッとしてるの?」


 ー僕はこの時、何を思っていたのだろうー


 えっと……


「さぁ、行こうっ」


 そう言ったのは……

 そう……行ったのは……


 r8v&trm6-avjxt#dp=mhtyx(dーーーーーーー


 僕の妄想である。

 そう言ったのも、それまでの気持ちも僕の妄想である。そうありたかった。主人公でありたかった僕の妄想である。


 僕は物語に憧れた。

 憧れたからには行動した。しないといけないと思った。だって僕には何もないのだ。何もないからまずは何かを創らなければ。自分の中の何かを造らなければ。作らなければ。


 兎に角努力をした。

 努力をした。努力をした。努力をした。

 だがそんな事をしてなんの意味があるんだろうか、結局は出合いだ。出会いが無ければ努力なんて意味が無い。

 努力なんて、そう思いながらも僕は努力をした。現実から逃げるように。


 気がつけば15歳になっていた。

 正直自分がこれまでどんな人生を過ごしていたか分からない。中学の頃に友達と遊んだ記憶が少しだけあるが、殆ど覚えていない。


 どうしてだろう。こんなに自分は空っぽだったのか? いや、もともと空っぽだったのだ。

 ずっと嘘をつき続けた。主人公になるために。憧れになるためなら……その思いを胸に心を一新させ、僕は何事にも喜ぶ人間を演じるようになった。


 子供の頃からのこの15年間に僕は何を成してきただろう。部活も中途半端。勉学は中の上。体育なんて中の下だ。先生からの信頼は普通。これまで賞を取った事は一度も無い。ゲームなんて趣味の範囲でプラチナトロフィーもたった一つ。


 普通だ。

 他者を圧倒も出来なければ負け続けて経験にすることもできない。本当の意味で俺は弱いのだ。

 人間としても

 生物としても


 だがこれも努力の結果だ。

 報われなかった努力だ。

 いつか努力は報われると思っていたら誰かが俺に対してなにかしらを想ってくれるのではないかと……

 なんでもいいから努力をしたら……主人公になれるのだと……だが現実は……

 結果、僕は何事も全力で接するようになった。

 高校は下の中辺りの学校を選び、キャラは出来るだけ薄く。それでいて周りをシッカリと考えられるような人間。そうして……そうした……そうしたら……なにかしら……起こるんじゃ無いかと……

 

 結局僕は死んでしまった。

 いつ死んだのかなんてどうでもいい。結果死んだのだ。結局死んだのだ。

 僕は為りきれなかったのだろう。

 あぁ、なぜこうなったのか

 なんで僕は主人公になれなかったのか……

 彼らのように自覚しなければ良かったのか?

 でも、本心が……なろうとしていたという気持ちが問題だというのなら……僕は……どうすればよかったんだ?

 主人公に憧れた僕は……どうすれば……



 気付いたら僕は白い部屋にいた。


 猫を助けたいと言う気持ちはなかった。

 ただ、主人公なら助けるだろうと思って助けたのだ。それだけだ。


 ……もしこれが僕自身の物語の始まりだと言うのなら……

 もし死んでも……死んだからこそチャンスをもらえたと言うのなら……死んでしまわなければチャンスをもらえないとしたら……


 逃してっ!! たまるかっつ!!!


 その瞬間から……俺という物語が始まった。


 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「さて、答え合わせだ」


 静まり返った遺跡で、男の声が反芻する。

 各々反応があったが、‘僕’の耳にはその声は届かない。どうしてこうなったのか、もっと上手く出来なかったのか、始めから間違っていたのか……

 何が正解なのかをずっと探している。

 何度も同じ思考を繰り返し繰り返し回想され、どれも間違いのような気分に陥る。

 だがその思考は唐突に終わる。彼の言葉によって


「まず、彼について語ろう、神野亮太という男について……」


 これは止められないのだろう。

 どれだけ叫ぼうと、喚こうとも。


「彼は……」

「彼は嘘つきだ……ですか?」

「「っ!……」」


 僕と彼が驚き、小さな呻きが僕の口からもれる。

 ……なんで……なんでそれをあなたが言うんだよ

 僕の中で、彼女は

 僕はずっと嘘を吐いてきた、ばれるなんてっ

 それを理解できるとしたら家族みたいにずっと居ないと分からない。


「神野亮太、16歳、こちらに来たときは15歳だった。血液型はO型、好きなゲームはRPG類。初恋はテレビの中、アニメのキャラクター。憧れは物語の主人公。全力で普通になるためこれまで頑張ってきた努力家。嘘をついたことは有るが、誰かに迷惑を掛けるような嘘を吐いてきた事は……皆無」


 俺は困惑してしまう。

 それは俺の情報だ。偽らざる情報だ……だが、途中まではいい、だが最後の一言に違和感を感じた。


「へぇー、どうしてそう思ったんだい? リア」


 これを言っている帳本人であるリアは、得意気に、さも見てきたかのように語りだす。


「そりゃ私が亮太を召喚した帳本人だから」

「それだけでそんな感想は出ないよ。なにかしら理由があるはずだ。“君は今回初めて出たから、何を考えているか分からないんだ”」

「……最後の付け足しが気になりますが……まぁいいでしょう、私にもここまで亮太が疲弊しているとは思いませんでしたし」


 ……どういう事だ?

 小さな水滴が、俺の心に落ちる。波紋が広がり、先程までの思考がぶっ飛び唯一つ、もしかして、という希望が生まれる。


「亮太がずぅぅうと変な演技をするのはいつもの事だから、放っておいたけど……」


 そう言いながら、彼女は、リアは僕のところまでやってくる。よく見れば頬が紅潮していて、恥ずかしいのが見てとれる。でも、そんな恥ずかしいだろう中、真っ直ぐとこちらに視線を向ける。

 なぜ恥ずかしいのかは、僕には分からない。


 トンっと、額を真っ直ぐ伸びた指で叩かれる。

 僕は、目をパチクリとさせながら不思議と涙が出そうになる。ゆっくりと、唇を震わせながら彼女は言葉を発する。

 

「もう、大丈夫だからね。私は……」

「ちょっっおおおまったぁぁああっ!!!!」

×3


 うわぁっ!? どした!?

 …………

 

 代表してかラミアが前に出る。後ろ2人は目をギラギラさせながらリアを見ている。

 ちなみに後ろ2人とは、恥ずかしそうなエルタとムフンッと鼻息荒くナラマ様だ。


「今告白しようとしたでしょ?」

「ちょっ!?」


 みるみるうちに顔が紅くなっていく、恥ずかしがっていた理由がわか……わか、わかわかわかわ

 チーンっプシュウムゥゥ……


「…………」

「あれ? 亮太? おーい……気絶してんのか?」


 少し頬に叩かれている感触を感じる。

 目の前は真っ暗である。

 ちょっといたい

 

「説明しようっ!」

「どうしたんですか? 亮太の師匠さん」

「ふっふっふ、わが弟子は極度の憧れ体質だ」

「なんですかその言語、始め聞きましたよ」

「そしてっ、今彼は主人公になり始めているのだ」

「主人公になるとか普通ないですけどね」

「まぁそれは人それぞれの心の中にしかない概念だから置いておくとして……ぶっちゃけ言うと彼は思っているのだよ、心の底で自分は絶対馴れないと……コンプレックスだったんだね、弟子にとって」

「……なるほど……わかりますその気持ち……」

「………あれ? なんで幽霊さん見えてんの?」

「……あれ?」


 でもテ○ルズがドラ○エでRPGツ○ールだな。

 あやっべ、自分で何言ってるのかチョベリバなんですけど……


「うーん。シリアスに向かいたかったんだけど私なにか間違いた?」

「うーん。このメンバーと物語的に多分無理だよ。諦めよう亮太」

「よし、じゃあ前向きに彼等と同じ土俵で頑張るとするか、こっちは大人だしね」

「あ、うん。こめかみに血管浮かべて言うことでも無いけどね。何だかんだあんたも子供ね」

「……まぁね」

「はいはい……」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 選手交代だ。

 私は再び先程の言葉を繰り返す。


「はいはい。答え合わせだ」


 まったくもって適当だ。それぐらいが良いのは自分でも分かるがやっぱりシリアスにしたかった。コメディは良いとは思うがやるときはシッカリとした方がいいと思う。いわゆるメリハリだな。


「とりあえず着いてきてくれ、そこのガラクタも一緒にな」

「ま、まだ話は終わってませんよっ、私だってちゃんと告白したいんですからっ」


 ぼふんっ!?と、一昔アニメの機械が壊れた音がする。おいおい、どんだけ耐性ないんだよラブコメ主人公に……


「さっさときてくれ、時間がない」


 あと何分ぐらいか、めんどくさい。なんで相手にあわさせないといけないのか、いや合わせるけどね。大人だからね


「進みながら話そうか、亮太のことはどう思った?」

「というと?」

返事を返したのは亮太を抱えるエルタだ。


「そのままの意味だ。君達はどう感じた?」

「俺様はへぇーて感じたな」

「私は凄いなと思いました」

「相変わらずだと思った」

「わたしはどうでもいい」

「師匠としてはもっと男らしくあれと思う」

「……え、私亮太とあったばっかだからなんとも……」


 それぞれがそれぞれの意見がある。だがどれも否定的なものではなく、むしろ肯定的で誉めていた。師匠はちょっとスパルタだなー


「そりゃびっくりはしました」


 ラミアは言う。


「でも、だからといって私を連れ出してくれたのも、ドラゴンから助けてくれたのも、スライムから助けてくれたのも事実です。それは嘘じゃ、ありません」

「いい人だね。君は……でも亮太は、俺は……」

「……そこから先は亮太本人から聞きます」

「わかった。……まぁそれはいいんだ」

「?」

「シリアスに行くために亮太の話をしたのに君達全然行こうとしないんだもん、やる気なくすよね」

「は、はぁ」

「でも真面目な話、この3日後この世界崩壊するんですよね」

「は、はぁ……はい?」

「だって亮太こっちきちゃったし、歩も思いのほか早く来るし、ファフニールはその日の内に召喚されるし、なんで準備終わったあとにこんなに早くなるんだよ」

「「はい??」」


 反応したのはもちろんファフニールことナラマ様と、遺跡のとんでも能力で可視化している歩だ。


「はいついたー。さて問題です。ここはどこでしょう?」

「……遺跡?」

「ぶっぶー、正解はぁ、伏線回収の場所だ」

「「「「……はい???」」」」

「「……は??」」


 反応したのは勿論、“俺”と黒“神”美少女以外全員だ。つまり ー 幽霊、師匠、ファフニール、黒髪ロング転移、姫、金髪コスプレ ー である。


 そして場所は勿論……壁画前である。




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