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俺、神様になりました。  作者: 商 秋人
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第43話俺と魔王と???の闘技祭!  その4



「えっ、は? なんで? に、日本語?」


 確かにそこには日本語が書かれていた。

 すっごく汚い字だが……でもなんで?

 ここには誰もいないはずなのに……


「う、うわっ、こっわっ、えーー」


 俺はしみじみとその文字を見ながら考える。

 と、とりあえずここはどうすればいいんだろうか? あの2人に言うのは……ダメだな。信じてもらえないだろうし、信じてもらえた所であの2人がどうするか不安だ。これは最後の手段とする。

 まず解決すべき問題なのか? この問題は……うーん、別に帰りたいとも思わないし、むしろ今更帰りたくない。

 でもなー、個人的に気になるのも事実だし。

 もしこの世界にまだ日本人や、他の世界の人間が他にいるならいろいろと話してみたい。

 よし、今後の目的をこれにしようかな?

 不意に目的ができてしまった。

 ではまずなにをしよう。


「み、見えるんですかっ!!」


 俺の隣から驚きの声がする。

 

「うわっ! なにこの声ッ」


 俺自身から驚きの声がする。

 俺は今聞いた声を頼りにその在りかを探す。目を凝らして周りを見渡す。

 やがて、すこしづつその姿が、うっすらとだが明確になり存在を捉える。

 そこにはファッション雑誌でよくあるだろう服を着た半透明な女の子がいた。

 

「…………」

「…………」


 この異世界で日本の私服を来ているのは違和感でしかなかった。なんと言えば良いか分からず少しの沈黙が訪れる。

 ……なんなんだこの空気感……久しぶりに感じたよ。そんな事を考えながら俺は全力で次の言葉を考える。考えながら考えるって自分で思っていてなんだけど器用だな。

 おほん。でだ。なにを話そう。

 いや、なにを聞くべきだろろうか?

 こんばんは、いや、こんにちはだな。

 今2時過ぎぐらいだし。


「「こ、こんにちは……」」


 ……かぶってしまった。


 「いや、そのー」

 「いや、あのー」

 

 …………またかぶってしまった。


「「…………」」


 俺と彼女の間に再び変な空気が流れる。

 あれだ、これあれだわ。

 始業式や入学式の次の日に同じ委員会の話し合いで2人組になった男女……そのノリだ。いや、そんなことなったことないけど。

 ……やっぱ男子として先にいうべきだな。


「……あのー、もしかして日本から来た?」

 

 と、俺が言うと彼女は初対面とは思えない程パーと笑顔になり、言葉を発する。


「も、もしかしなくてもっ! そうですそうです!!あなたもですかっ!?」


 う、うん。これまた似たきゃらがでてきた。

 ただでさえ少しラミアとリアが似ているのに、さらにもう一人。

 だが、そのお陰である程度どう接すればいいのかわかるようになったんだけど。


「うん。そんな感じ。でも他の誰かと一緒に来た、訳ではなさそうかな?」

「あ、はい。一人で来た……というよりなんかいつの間にか居たって感じなですが……」

「うーん。そうかー」


 ……師匠の知り合いかとも思ったが、違うらしい。

 師匠の知り合いなら師匠と一緒に来たとか言うはずだし。ていうか俺だけなのかな? ちゃんと召喚(転移)させた本人に会ったのは……他の人は自然なのか、それとも誰かに連れてこられたのか、うー。解らん。


 すると突然横に居た亜人に話しかけられる。


「さ、さっきから誰とはなしてんだ? そ、そこにだれかいるのか?」

「え? …………あーー」


 俺は少しだけ考え、納得する。

 この子はみえないのか、それにおそらく喋っても誰も聞こえない。だからさっきあんなに喜んで『見えるんですかっ!!』とかいっていたのだろう。

 俺は面倒なのでその亜人を適当にあしらうことにした。


「いやー、ごめんごめん。ちょっと独り言」

「いや、独り言にしてはでかい声だったぞ、それに話し合ってるようにも見えたが……」


 ……こいつ面倒くせーな……いや、まぁ見てたならしょうがない、他の説め……いや、そのまま言うか


「実は、そこに幽霊が居るんだよ」

「は? 頭大丈夫か?」


 いや、あんたが聞いてきたんだろ。ことごとく面倒だな。もういいや。スルースルー。


「うん。俺頭おかしいから、とりあえずじゃあな」

「はい?」

「ほい、幽霊さんこっち付いてきてくれ……おっさんは付いてくんなよ」

「「ちょ、ちょっとっ!」」


 その幽霊さんと亜人のおっさんの言葉を聞きながら俺は街の端の方から、出口の門の方へ移動を始める。

 2人には申し訳ないが、時間がない。このあと師匠との修行があるのだ。あの人時間には五月蝿いからな、ずっと迷ってたなんて言い訳は通用しない。

 

 そんな訳で、とにかくこの街から出ることにした。


 その途中。とりあえずその女の子と会話をこころ……みたかった。

 ……さっきの空気からじゃ喋りかけれねーよ。どうしよ。さっそく後悔してしまったよ。いや、考えろっ、なにか話題をっ!!

 自分の趣味か? それとも苦手な物とか……好きなもの? ……小学生の自己紹介かっ!! 違うんだよ。そういうのじゃ……でも趣味から話題を広げるのはありか? なんだ? 俺の趣味は? ま、魔術か? こっちに来てから魔術と格闘術の練習に身を費やしていた時間が多かった。むしろそれしかしてないような気がする。でも、それはない。おそらく最近来たと思われる少女にそれはない。

 なら、日本にいた頃の趣味か……

 ら、ラノベか? アニメか? 漫画か? 全部同じですね。はい。しかもこれらは女子からの受けは悪い気がする。

 それ以外……以外……

 な、ない……か?

 

 今俺は、初めて自信の無力さを噛み締めている。

 …………


「あ、あのー、やっぱりここってアニメとかでいう異世界ですよね?」

 

 うおっ、まさか向こうから話し掛けてくれるとは、これはしっかりと返さなければ


「う、うん。多分そうだと思う」


 …………終わった。

 いやいやいやいやいや、駄目だろ。

 な、なにかないか、ここからちゃんと言葉のキャッチボールをしなければ……

 ええと、彼女の特徴でなにか、そうっ、あれだ。なんで半透明か聞こう。

 俺は意を決して、この世界である程度慣れたタメ口で頑張る。


「で、でもどうして幽霊なんだ?」

「さ、さぁ? 私もこっちにきてからビックリして焦っていたので、あんまり気にならなかったんですが、よく考えたら物凄く大変な事ですよね」

「ま、まぁ、異世界来ていきなり透明で誰からも話し掛けられないし。誰とも話せないし。相当ヤバイよね」

「…………えっ、あ……そ、そ、そうですね……ほ、本当に……」

「あ、もしかして今気付いた? ならこっちきてからめちゃめちゃ乗り気だった?」

「えっ? い、いや、別にそういうわけでは……」

「なるほど、乗り気だったんですね。うんうん」


 この人分かりやすいな。俺に似てるからかな? しかも結構話しやすい。


「……まぁ、はい」


 彼女はしぶしぶながら白状……なんか白状っていう言い方は語弊がある気がする。


「でも、なんで分かったんですか?」

「え? あ、あぁ、それは……似てるからかな? あと普通に分かりやすすぎだよ」

「うっ」

「ほら、そのうっていうのとか」


 そうそう、これは人間とかには必要な反応というものだが、無理をしたら無くすことだってできる。相手がある程度他人ならだけど、

 あれ? なんでこんなに言い当てれるの? ……俺もやっぱ成長しているのか……

 最近はほぼ無表情のナラマ様相手に怒ってるか気にしていたから少しなら表情を読み取れるようになってきた。


「ふー、あの……年齢を聞いても?」

「……? え、あぁ……16歳だけど?」


 あってるよな? 俺の誕生日が8月3日だから……うん。大丈夫だ。16歳だな。

 年齢を聞いた彼女は、驚いたように口を開く。


「お、同い年じゃないですかっ!」

「え、そうなんだ」


 へー、同い年か、こっちじゃ珍しいよな? あれ? 師匠はこっちに来る前は女子高生だったけ? まぁいいや。

 で、リアは1000歳越えてるだろ。

 で、エルタもリアとだいたい同い年。

 で……え? ら、ラミアって何歳だ? 多分年下かな? 背も低いし、キャラも年上って感じでもないし。


 そんな感じで俺が感慨に浸っている間も、目の前の少女はずっとぶつぶつと呟いていた。小声で。それに気付く俺。


「えー、16歳でこのコミュ力か……なんかもう別次元なんだけど~っ」

「……ど、どうしたんだ?」

「えっ!? あー、いや。す、凄いコミュ力だな、と」

「は、はぁ、そう、かな?」

「はい、私とか人と話すの普通に疲れるし、それに友達と言っても正直になにか言い合える仲でもなかったので……あの、その、凄い喋りやすいな。と」


 俯きながら、彼女は上目遣いでそう言う。

 俺は美人にはある程度慣れてきてはいたがそうでもないらしい。クリティカルだぜっ。

 と、半分ぐらい自分を見失ってから気付く。俺自身のちょっとした矛盾に


「あれ? でも確かに……俺も相手からぐいぐいこられればある程度話せるし。年下とかなら、気苦労はするけど喋れるし……同い年の、しかも女の子と話せるのはちょっと意外だ。自分でも」

「へー、そうなんですか……」


 でも俺の場合成長したと言えるかもしれない。今までの事を考えるとそっちの方があり得るな。

 

「ていうより、同い年なら、もうタメ口でいいよ? 俺もそう考えると変な感じするし」

「あ、あぁ、うん」

「そうそう、なんか自然なかんじしてきた」

「そ、それで結局どうすんの? こんな大通りに流れていって」

「うお、キャラが違う、素がそれか……やっぱ似てるな」

「……そ、そうですか? ……お、おほん。で? どう?」

「ええと、俺こっちに来てから1ヶ月ぐらいたってるんだけど」

「ええっ!?」

「はは、それでその間に出来た知人っていうか……まぁ師匠と……なんだ? うーん上司が居るんだよ」

「は、はぁ、すごい馴染んでるんだね……」

「まぁ、他にもいろいろとあるんだけど今はいいや、あとは付いてから話そう」

「あ、う、うんっ」


 女性、しかも日本からきたというから、こんなにすらすらと話せるなんて驚きだ。俺自身ここまでの喋りの技能がアップしているとは……


 もはや別人みたいだな。はは



 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 俺達が門から外へ出てからすぐ近くの岩場に師匠たちがたっていた。

 こちらにはまだ気付いていないようで、すぐそこに向かい、声をかける。


「おーい、はぐれてごめんなー」


 俺に気付いた二人が軽く手を上げ大きく言葉を発する。


「お前どこにいってたんだっ。ちゃんとついてこいよ」

「はは、ごめんごめん」

「それよりそこのしょうじょはだれ?」

「え? ナラマ様見えるの?」

「うん、くっきしはっりと」

「へーだってさ?」

「ふぇっ!? あ、私?」


 と、おっかなビックリに声を上げるゆう……


「て、忘れてた。名前は? 幽霊さん?」

「は……う、うん。えーとき、霧乃歩です」

「にほんじん?」

「はいそうなんですよ」


 そうやって小さな自己紹介をしていると、師匠がポツリと


「お前ら誰とはなしてんの?」

「え?」

「あ」

「ふえ?」


 え? うそ、見えないの?

 俺の考えでは師匠は見えると思った。

 根拠は、師匠の能力の一つとしてある魔力完全関知だ。これは魔力を目で見ることが出来るのを俺が勝手にそう呼んでいる。

 てっきり彼女、歩さんの体は魔力で出来ていると思っていた。目に見えず、声も届かないならそれしかないと少し自身があったんだが……違うらしい。


「あーうん。じゃああれだ。師匠は無視して話を続けよう」


 その瞬間自分の中に無くなりかけていた彼女へよ恐怖がよみがえる。殺気によって。


「よし、歩さん。地面に文字を書いてください」


 俺のニコニコ顔に少し身じろぐ歩夢さん。仕方ないじゃないか、どれだけがんばった所で死ぬのは怖いんだよ。


「え、えーと、指じゃ書けないんだよね。ほら、透けちゃうから」

「あー、それ地面も透けるのか、重力とかの影響も受けないのかな?」

「うーん。大分軽くはあるし、浮けるけどそんなんじゃないと思う。重力の影響を受けないなら前に進んだらそのまま進みっぱなしになると思うし」

「そうか、そうだな。でもじゃああの字はなんだったんだ?」

「あ、あれは……魔術ってあるでしょ? 多分あれ」

「へー、それは出来るんだ。……あ、なるほど」

「え?」

「いや、なんでもないよ」


 別に今言うほどでもないが、さっきの俺の予想の間違いが確信の間違いに変わった。

 魔力を見えないようにするのはしっかりとした技術、または無属性魔術だけだったはずだ。完全に忘れていた。

 歩さんは、仕切り直したようにおほんと言い、続ける。


「では……はっ!!…………」


 集中するためか目を閉じる。これをするには相当の集中力を有するのだろう。

 ポンっと出て来た黒い球体が少しづつ地面に落ちて字を書く。

 うーん。多分重力魔術……あれ? じゃない?

 え? これは……微妙だな。

 それはやはりそれが見えている二人も同様だ。


「なにこのまじゅつ、みたことない」

「ふえー、ほんとにいるんだねー」


 あ、もう一人は違ったや。てへ。

 まぁそれはどうでもいいとして、この魔術は重力ではないらしい。でも何故だろう。

 なぜそう思うのか……重力だってそこにある全てを消すことが可能だ。

 ブラックホールがそれに当たる。

 ただ重力魔術も万能ではない。そのブラックホールだって光をねじ曲げるほどの重力があって成り立つ。

 俺はそこまで出来ない。

 始めのほうに何回かポンと出たが、あれはブラックホール出はないらしい。

 俺の魔力の色が塗りつけられていた。それだけだという。

 ならナラマ様のそれはどうかと言うと、まさしくブラックホールだ。光をも飲み込む最強の魔術。

 俺のがグラビティインクリウスの進化版、グラビティインパクト。

 ナラマ様のがグラビティデリート『コピー』という魔術。ちなみにレベルは20以上だそうだ。

 20より上ってあるんだな。と聞いたとき思ったが、魔術のレベルというのは基準でしかなく、ある程度の自由度があるらしい。

 ただ4属性の魔術にあれ以上はない。

 あれ以上は魔力を込めると、暴発し違う魔術になるという。

 なので20より上は無属性、闇属性、光属性のみだ。すっげーどうでもいいけど光属性の魔術だけは全く知らないな、そういえば。

 そんな事を考えて、思い出していると彼女の言葉(文字)は書き終わっていた。


「……こ……の……まじゅ……つ……」


 そこまででおどろおどろしいネズミ文字は止まっていた。それを見たナラマ様が歩さんに声を掛ける。


「なんでとちゅうどまり?」


 その言葉に歩が息絶え絶えに


「こ、これ、なんか疲れるんですよっ」

と言う。

 それにいつもの調子でナラマ様が返す。


「へー、でも“このまじゅつ”がどうしたの?」

「へ? あー、まぁ一応聞いておこうと……私って強いんですか?」


 額の汗を拭いながら、好奇心旺盛にナラマ様に質問を投げ掛ける。

 少しの間悩み、答えを出す。


「つよい、とおもう。でもまりょくそうりょうがわからないからどこまでつよいのかまだわからないね」

「あ、ありがとうございますっ」

「? なぜにかんしゃを?」

「い、いえっやはり自分的にはこの世界で……アニメの主人公みたいになりたいな……と……おもいまして」


 始めの方の決意めいた口調が少しづつ萎縮していく。多分恥ずかしいのかな。

 でもアニメの主人公みたいになりたいのは別にはずか……いや、恥ずかしいな。うん。

 ……まぁ俺も似たようなものだし。うん。仲間がいて本当によかった。

 あー、フォローでもするか


「わかるわかる。日本で異世界もののライトノベルとか見て、実際異世界行くとそうなるよな。もしかして特別になれるじゃ!? みたいな?」

「そ、そうだよねっ!! 私もライトノベルとか見てるから、ほんっとそう思うんだよっ」

「お、おう。でもラノベ好きの女子って珍しいな、なぁ師匠」

「私は弟子に過去話をしたはずだが」

「あぁ、師匠って女子“だった”んですか? 忘れてましたー」

「埋めるぞ?」

「すんませんした」

「お前にプライドは無いのか……」


 しゅたっ、ばしっとおれの土下座が炸裂し、少し呆れる師匠。

 最近気付いた。俺への扱いは酷いが謝れば案外許してくれる。師匠は。

 へ? プライド? そりゃ修行で殺されまくられれば無くなりもするよ。

 最低限はあるがある程度はないのだ。

 そして今そのある程度のプライドが刺激される。……そうっ、歩さんがみておるのだっ!

 

「えー、そんなに慣れた動きで……土下座て……えーー」

「すとっぷっ!!ミスターアユムすとーっぷ!!」

「女子なんですが?」

「これには誤解があるっ」

「はぁ、無視ですか」

「この人はね。すごくつよいんだよ……」

「…………」←歩さん

「…………」←師匠

「…………」←ナラマ様


 …………


「…………」←俺


「そ、それだけっ!?」

「えっ!? 全然それだけじゃないよっ!?」

「はぁ、なんかアホらしくなってきた。あの……たしかナラマ様でしたっけ? この人の名前ってなんて言うんですか?」

「? あぁ、このあほか、こいつは……なんだっけ?」

「覚えてないのっ!?」


 マジでショック……あれ?でもりょうたんかりょうたか言ってた気がするんですが?


「はぁ、まぁいいや、俺の名前は神野亮太かみのりょうただ。亮太って言う字は難しい方の亮だ。良いの方じゃないぞ。太は太平洋の太だ。上の漢字の説明はめんどいので割愛で」

「りょうた。亮太ね。了解。なら早速だけど私が見えるようになるのを手伝ってくれる?」

「あ、あのー、さっきと態度が変わってませんか?」

「えぇ、ある程度の位置はわかったから」

「つまりそのしゃべり方が俺への扱いなわけか」

「はい、そうですね」

「あれ? さらに距離感離れてない?」

「で? 冗談はさておき。どう? 手伝ってくれる?」

「まぁ、旅の中でぼちぼちとなら」

「了解。それでいいよ。私も他に当ては無いし。姿見えないからやりようないし」

「はなしおわったー?」

「ん? あ、あぁ」

「じゃあしゅぎょうだね」


 その言葉に全然話しについていけずふてくされていた師匠が思い出したかのように口にする。


「あー、武器の修行か、確かに忘れてたは……まぁでもここではなんだ。場所を返るか、歩さんだっけ? もついてこい、とりあえず」

「は、はいっ」

「…………」

「どうしたの? りょうた?」


 俺は前に居るはずの師匠から背中に発せられる殺気に身震いする。恐らく転移使ってやっているのだろう。

 ふぇえっ!? やばい、殺される。

 うわぁぁぁ。終わった。修行と言う名の拷問が始まるのが目に見えるようだ。

 俺は、そんな恐怖に身を刈られながら、対策法を考えてその場に向かうのだった。


 



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