第40話俺と魔王と???の闘技祭! その1
ある少女
まぁ名前を隠しても仕方がない。
霧乃歩がこちら側にくる少し前……
「……っ、 なんだ……今のは?」
魔王クロムは商談をしていた。
この国の存亡なんて大それた事ではない普通の商談。
武器や防具についてだ。
防具のラミアルア
武器のシャラルダ
そういう程にこの国の武器職人は優れている。
そして今武器を造るための素材の商談をしていたのだ。
だが今のクロムは冷静でありながら内心焦りを感じていた。
「は、はい? なんの事でしょうか?」
今魔王と相対しているのは普通の商人だ。
種族としては弱小であるがそれなりの手腕で魔王と謁見するまでに至った者だ。
なにかしでかしたか?
と、少し不安になる商人を他所にクロムは一方的に会話を続ける。
「今この国の結界と魔の岩壁が何者かの手によって破壊された……」
「っ!?」
結界と岩壁が破壊された。
これの意味していることは、この国の者なら誰だって知っている。
シャラルダ国の結界は全属性を無に帰す結界である。
製法は謎に包まれているが、これは紛れもない事実なのでシャラルダ国民は、疑いもなく納得している。
言ってしまえばこの結界、全ての魔術を無効にする。
火も氷も雷も転移も、全部無効にするのだ。
そしてもうひとつ
魔の岩壁は、魔力の塊を岩にもして創られた壁だ。
最強の物理防御の壁だ。
壁と言いつつ天井なのは置いておこう。
この壁は常に魔王自身が操り調整している。
難易度はそんじょそこらの魔術とは一線を画す。
いわゆる最高位魔術と同じレベル
魔力の塊を凝固し、それに概念《固める》を附与、その維持と見た目を岩に……
これを人間がするのは不可能だ。
能が焼ききれて死ぬ。
又は魔力が消失し死ぬ。
それを成すクロムは強い、圧倒的に……
兎に角この国の防御は完璧なのだ。
なの、だが……
彼は、今やっている商談を放棄し応接室の扉を開けベランダまでそそくさと向かうと。
「くそっ! どういうことだっ!!
(何故だっ! あれらの防御は完璧のはずだっ!! )
焦りの中にいた。
そして心の中で文句を垂れ流しながら、少しづつ平静を取り戻していく。
(そう、完璧……なら俺の防御を破る実力者が来ているのだ。時間を稼ぐのが第一の目的とし、民には避難勧告を……いやだが本当に敵か? 俺より強いものは個性が良くも悪くも濃い……わざわざここを攻撃する意味は……)
淡々と考え、ベランダから思いきりジャンプをし、目的地に彼は向かうのだった。
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行くやいなや俺はあり得ない光景を目にした。
「なんだ……これは…………」
塵になった岩の天井が山となり
結界も完全に消えていた。
空からの太陽が目を眩ませるが、それでも解る。
いや、分からざるおえなかった。
異常……
こんなものは現実ではない。
そう思ってしまう光景。
「ふーーっ……………ん?」
その中で、二人の女性と、一人の男性が立っていた。
一人の男性はTHE普通、彼がやったとは考えられない。
だが、この惨状を見て、おどおどしつつもあまり驚いていない所を見ると……
恐らくそれほどの修羅場をいくつか潜り抜けてきたのだろう。
だがそれでと彼の警戒は要らないだろう。
問題は残り二人の方だ。
普通に極小の、目にも見えない位の重力魔術を使っている“なにか”と……
ランキング5位……無心竜リンカ……
「何故だ……何故竜族の族長秘書のお前がいるんだ。 無心竜っ……」
「おっ?」
反応したのはもちろんリンカ……無心竜だ。
リンカはゆっくりとこちらまで塵となった瓦礫から降りて行く。
俺から10メートル程離れた位置で止まる。
「おーおー、魔王様がいきなりお出迎えとは……」
「えっ、魔王なのこの人っ……」
「ひとじゃないと、おもう。たぶんまじん」
「え? それは言葉のあやじゃないかい? マラナさんや?……あとその重力魔術やめてくれな?」
……なんなんだこいつらは……
敵なのか?
味方なのか?
だがそれよりも目的だ。
こんななにもない火山地帯に来たんだ?
もしかして装備の調達か?
だが無心竜は竜なんだ。
武器や防具なら間に合っているはずだが?
いや、考えていても始まらない。
まず会話をしなければ、切り始めとしてはやはり最初の質問の回答だ。
そんな訳でもう一度同じ質問を切り出してみた。
「何故ここにきたんだ?」
少しの間沈黙し、その質問に相手方が答える。
「えーと、うん……うちの弟子と闘ってくれっ!」
…………
「「はい?」」
その場に、二つの呆けた声が小さく木霊した。
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「「はい?」」
俺は目の前の金髪褐色ボーイと共に呆けた声を出していた。
何を言っているんだ?
頭大丈夫なのか?
「あ、あのー、師匠? 何故俺は魔王に闘いを挑まねばならないのだろう?」
「そ、そうだぞ無心竜、俺とそのパッとしない男が何故闘わねばならん」
おっと……喧嘩をうっているのかな?
いやいや、俺はもう認めているんだった。
俺は普通なのだ。
そりゃパッとしないのも当然か……
て、違う違う
「よし、ならお前らに闘う理由を与えよう」
「「え?」」
俺達の疑問の声を無視して言葉を続ける。
「まず魔王クロムは勝ったら前より強固で頑丈な壁と結界を創ってやる」
「お、おぉ、それはありがたいな……うむ、それは闘う理由になり得るな……」
「おっ、なら俺もなにかご褒美がっ!」
「お前は負けたらロリとイチャツイテいた事を莉愛ちゃん達に言う」
「なんで俺だけっ!?」
くっ、俺がこっちに来た経緯を言ったのが間違いだったか……
「ほらっ、さっさとしろて」
「俺は構わない」
魔王は特になんの感慨もなく了承する。
よく、よく考えろ、もしも俺がロリッ子とイチャツイていたのがばれた場合どうなる?
『え? うそ、マジで……うわ~~』
『えっ、ほ、本当に、なんですか?』
『あーあー、こんなやつはほって置いて行こう』
『ええ』
『そう……ですね、うん』
……終わりだっ……
「わかったよ。闘うよ。俺も」
「よしよし、師匠は正しい決断をするやつは好きだぞ♡」
「あんたにとっての正しいはなんなんだよ……」
「私が有利、又は得があった時ですが?」
「最低だな!?」
この女には恐らくもう心がないんじゃないか?
本当に元日本人なんだろうか。
「まぁまぁ、つまんねーこと言うなよ!」
あ、うん。
こいつ日本人だわ。
「ならどこでたたかうの?」
キャラが依然として定まっていない様子のナラマ様が、話を進ませる。
「ならお薦めの場所がある。魔王権限でやってやろう。時期も……少し早いがまぁ良いだろう」
そう言いながら、こっちにこいとジェスチャーで促す。
「折角来たんだ。おもてなしぐらいしてやするさ」
彼は一言付け足すと、そそくさと歩き出したのだった。
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彼についていき、向かったのは
騒然として、往々たる城だった。
城、そう。城だ。
キャッスル。
初めてその中に入った。
もうなんか、あれだ。
凄い。
ん? この反応2回目?
それにしても凄いな。
黒い。
黒に黒に黒だ。
それに雰囲気造りも兼ねてだろうが凄くカッコいい内装造りだ。
俺がそこから出た瞬間に見えた廊下は、灰色の壁に、墨をぶち撒けたかのような風景になっていた。
しかもその廊下の上部に吊るされているシャンデリアは全部本物の炎を幾つかに分けて吊るされていた。
凄い。
これが魔王城っ
なんかもう負けた気がする。
「私達に隠し通路なんか見せて良かったのか?」
「それはそうだが、致し方ない。あんたは、いや、あなた様がたは強い。なのでこの機会に仲間になってもらおうとな」
「おー、なかまー」
「よしっ、じゃあお前が勝ったらいいよ」
「……分かった。それで良いだろう」
「あ、あとクロムが負けたらこの国の案内してくれよ、ついでにこの弟子の武器でも買いたいし」
「よし。部下にそう伝えよう」
「いや、あんたにだよ」
「ん?」
「お前に案内させるんだよ」
「は? 何を言っているんだ? 我は忙しいんだ。書類整理に国交、商人との会談に異能者の捜索、闘技場を使用したあとの事後処理、他にも」
「いや、そういうのは部下に任せればいいじゃーん」
「む……そうだな……いくつかを分けて……ボーナスを……」
勝手に話しがどんどん進むな~
てやっぱあの洞窟は隠し通路なのか。
城に隠し通路、
テンション上がるな……
「で? どこにするの? ばしょ」
ナラマ様が、どこで闘うのか気になるらしく、魔王に問う。
魔王はブツブツ言っていたのを止め、その問いに答える。
「ん? あぁ、そうか、言っていなかったな……」
「そうそう、場所にわなとか仕掛けんのなしな」
「わかっている。それにそんなものは仕掛けられん……場所はこの国の代表イベント」
一泊おき、大々的にいい放つ。
「闘技祭、つまり、闘技場でだっ」
春休み始りました。
少し投稿ペースが早くなるかもっ!
かも……かもだよ?




