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俺、神様になりました。  作者: 商 秋人
36/61

第34話 さて、思い出し、想いだそう……4

悲報

インフルエンザ

すみません。

 「あいっかわらずだねー」

 「趣味だからな」


 私の部屋はゲームにゲームにゲーム。

 あと本棚に本棚に本棚×3。

 分かりやすいだろ?

 

 「案外片付いている辺りに怒りを覚えるよ……」

 「知らんがな」


 片付いているのはなにもしていないだけだし。

 押入れにはいろんな物(黒歴史)を押し入れてるし。

 ジュースのゴミや食べ物のごみなんてのは簡単に片付けれるし。

 あれ?

 これを女子力高いっていうだっけ?

 まぁ、どうでもいいけど。


 「それより~」


 ばぶっ

 私の後ろから手をおんぶの要領で首に絡み付ける燐火。


 「次はどんな話? 主人公にヒロイン増えたり。サブ主人公出てきたり。はたまたボスの謎にっ?」


 目をキラキラさせて私を見つめる。

 えー、ですね。このような言葉から分かるように、彼女(以下こいつ)は私の作品の愛読者である。

 とても有り難きことだ。

 ことだが余り先を聞いてほしくない。

 だってあんまし先の事考えてないもん。


 「今は……主人公の葛藤だ」


 うん、本当にこんな感じ。

 間違いは言っていない。


 「ふぇー、どんな葛藤?」

 「……それを言ったら意味ないだろ……」

 「それもそだね」


 私からの情報提供をやめ、私はとりあえずこいつの事をみないふりをしつつ作業、仕事に入る。


 買ってきたジュースを飲みながら続きを書く。

 次は小説のほうだ。


 「すっごいねー、ゲームしてていい?」

 「勝手にしてろー」


 いつもどおり、当たり前のように二人、それぞれのことをする。

 あいつは私のゲームをし、私は私のライトノベルを書く。

 全部私のだが、完全に私の方が罪悪感を覚えてしまいそうになる不思議な状況。

 私のゲームのレベル上げをするとこで、私のやりたいことを代わりにやってくれる。

 それは本当に有り難い。

 だが、それは逆に私は罪悪感を感じさせる。

 だから私は彼女と会いたくない。

 自分勝手で自己中だが、それでも私はこんな思いをしたくないとおもっている。


 ま、こんな何でもない日が続くなら私は楽しさが上回っているし、別にいいんだけど。

 こんなことは本人の前では絶対に言えないな……


 「おおっとと」


 あぶなー、ジュースのペットボトルが落ちそうになった。

 ふたが空きっぱだったから本当に危なかった。

 

 私がこんなミスをするなんて珍しいにも程がある。

 いつも細心の注意を払っているんだが……

 すると、グラグラと机が揺れた。


 お、おおお、と


 ・・・・

 ???……!!


 ちょっと!?


 「おい……燐火揺れてないか?」

 「……そ、そうね……」


 揺れがどんどん大きくなる。

 はじめはジュースのペットボトルが落ちるくらいの揺れだったが、今は机が横に移動するほどになっている。


 「逃げるぞっ!」

 「きゃっ」


 私は咄嗟に燐火の腕を掴みドアノブにてをかける。

 開かない

 ガチャガチャガチャガチャ

 くそっ!

 やばいっ!

 なんでだっ

 普通にやってただけなのにっ

 いや、それはどうでもいい。

 それよりどうするかだっ!

 ドアはもうどうにもならない、鉄で造られているを壊すのは無理だ。

 なら窓か?

 いや、4階から飛び降りたらただでは済まない。

 ベランダからの移動……常に揺れているなかでそれは無理だ。

 くそっ!

 なにか、なにかっ!

 換気扇、携帯電話、パソコン、ジュース

、冷蔵庫……

 駄目だっ、どれもこれも……

 ま、窓……?


 「……?」


 私は様々な可能性を試すなかで、一つあるもの、いや風景の違和感に気がついた。


 「は、なんでだ、な、なんで……」


 そこに広がっていた光景に私は目を疑った……

 確かに、確かにラノベではよくあるし、そんな可能性はゼロでは無いけれど。

 そんなものはなく、このままなにもなく過ぎていくのかと思っていた。

 だがっ!

 だかっっ!!

 

 「異世界きたーーーーっ!!!!」


 すべての、私の視界の全て、見ている世界は移り変わり、少しづつ、だが確かに変わっていく。

 カーテンも無くなり、壁も消える、回りの空は色褪せ

 そんななか、私は気づかなかった。

 いつのまにか、燐火の手を離してしまっていたことに……


 「ほえーっっ!!! そ、草原っ! インドアだが超興奮するぞーーっ!!」


 私は彼女のいた方向に声を掛ける。


 「なぁーっ!! 燐火もそうおもうだろっ!! …………?」


 だが……


 「りんか?」


 彼女の姿は、もうそこにはなかった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 一瞬俺らしき人が出てきたのも気になったが、そんなことはどうでもいい。

 問題は……そこじゃない、燐火と呼ばれる人はどうなったのか?

 

 「…………」

 「もう、それから1700年くらいたったと思うが、まだ私は諦めてないよ、亮たんっていう可能性もあるしね」

 「俺?」


 なんで?

 俺?


 「君は携帯を知っていた。なら私の時代に近しい時代に居たのは間違いない。だが転移した時期は私の1700年後……それほどのラグも有り得るなら、もしくは……」


 彼女は、どんな小さな可能性も離したくないんだろう。

 悔いを残さないよう。

 もう手を離してしまってしまわないように……


 「ま、このあと私は様々な出会いをはたしたも、私の欲しかった情報は無く。時間を稼ぐため長命の竜族になって、科学と魔術の研究に明け暮れて……いつの間にか彼女の形をと求めた結果、私が生れた。それが私の道程だ」

 

 どれだけ辛いものなのかは俺では想像もつかない。

 けれども、1700年という時は決して一言で片付けられるものではないと思う。

 この言い回しさっきもしたか?


  まぁ、いいか……


 「で? 結局この話の何処に俺と関係が?」

 「え? ないけど?」

 「え?」

 「え?」


 えーーーっ!!?


 「どゆこと!? 俺に渡される報酬はっ!?」

 「あー、あれね、私あれだから、竜にもなったし神の知り合いもいるけど、その辺りあんまし関わりたくなかったから引きこもってたんだよねー」

 「え? じゃあ今の話はなに?」

 「私の知ってる事はこれしかないよーて言う事を示したかったんだね。うん」

 「ま、まさかの振りだし……何回振りだしに戻されるんだ……」

 「そうでもないよ」


 ……?


 「どうして? 今の関係ないなら振りだしじゃ?」

 「それは君が試練を合格したからね。一つ私の技……コツ? ま、そんなものを伝授しよう」

 

 うーん

 そんな時間ないと思うんだけどなー


 「あ、時間なら心配ないよ、彼女たちにもしっかりと君が何をしているのか報告してるはずだからね」


 なら、心配ないか……

 無いよな?

 うん、ないな


 「わかった。じゃ、しばらくこの辺り、竜の里……だったか、いさせてもらうことにするよ」

 「あぁ、君の家も用意するし、しばらくお世話してやろう」


 と、そんな訳で、俺はこの村。

 竜の里にお世話になるのだった。


 彼女達が……俺のため……いや、この星のため闘っているとも知らずに……

 



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