第33話 さて、思い出し、想いだそう……3
遅くなってすいませんっっっつ!!
今回は本当に反省しなければと思っております。
次回はもっと早く出したいと思います。
時は戻り現在
過去編は一先ずおいておき、一つ質問をしてみることにした。
はいっ、と手をピシリとあげる。
「どうした? ここからがいいところなのに」
「質問です」
「……どうぞ」
「前半場面は必要があったんですか?」
「はっはー、そんなの作者が私のキャラ作りに用意っ、ゲフンゲフン」
「全然かくせてねーよ」
「ま、私の性格上の説明みたいなものだよ」
「了解しました」
俺はわざとらしい仕草で口にする。
にしてもニート論、聞いてて面白味は無かったけれど、ためになったと素直に思う。恥ずかしさ故の逃げ、なら恥ずかしくなくなるように頑張れ……
ま、それしか方法はないんだろう。
俺ももし引きこもる事を選択していたら、いろんな事から逃げていたのだろうか……
まぁ、来なかった過去など言ってもしょうがない。
それより彼女の話が重要だ。
ここからどう竜や神に関係するのか
俺のように転移するのか
はたまた亡くなって転生するのか
「では、続きを……」
「ここからが面白くなるって、いまの持論が前座かー」
「ああ、そうだな、なら、歩きながら話そう……では、続きを」
「でもか、カリンさん、転移使えるならつ帰ってからのほうがいいんじゃ?」
「あ、うん、そうだね……《転移》」
リンカ転移をポツリと哀愁漂う様子で言うとすべての景色が移り変わっていく。
俺達の元から出ているだろう光で全てが覆われていく。
きらきら、ピカピカ、もの凄く小学生のような言い方だがこれが一番合っている。
すこしづつ光が収まり真っ暗な部屋が見えてくる。
目の前に広がっているのは、パソコン、ソファー、テレビ、ゲーム機、クーラー、携帯電話、こたつ、等々……
現代人……ていうか、俺の部屋より未来な感じがする。
間違えなく俺の部屋が普通だからなのだろうが……
……これは……
同郷……
間違えなく、本当に間違えなく日本出身なのだろう……
「マジで……日本人なのか」
「はいはい、それより続きを続きを~」
「あ、忘れてた」
たった数行……もとい数分なのに忘れていた。
「もういいや、かってに言うから黙って聞いててねっ」
プンスカプンスカとテレビの前にあるソファーに倒れるように寝転がる。
俺が話を止めてしまったのを怒っているのだろう。
始めは少しいじるつもりだけだったのだが……
やり過ぎた……
とにかく後で謝るとして、今はリンカの話を聞かないとな
リンカは言った通り勝手に話の続きを話した。
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家にあるパソコンのキーボードをひたすらに叩く。
叩くといってもキーボードをクラッシャーするわけではない。
タイピングしているだけだ。
「こんな……世界は…………」
タイピングしているのを声に出しているのは癖である。酷いときは全てを声に出して完全に不審者だ。
「魔物…………悲しいよ……」
…………
………………
「俺は…………守る……」
そう決めた……と……
よしっ!!
終わったー
今書いてたのは小説だ。
おっと、小説家になろう、とかの作品ではなく普通に売っている物だ。
余り売れていない、と言えばそうだが、売れているか? と聞かれれば、ま、うん?
という感じだ。
雰囲気で感じ取ってくれ。
ま、これだけじゃ正直暮らしていけるかどうか……
本業はこれではなくもう一つ
絵だ。
んじゃ描きますかっ
…………
………………
よしっ、もういいや、
こんなもんだな。
下書きと肩、顔のだいたいの輪郭、髪の毛、服
とりあえずこれだけ描いた。
色は明日でいい。
大丈夫、まだ間に合うさ。
だって締め切り一週間後だぜ……
……後5枚……だぜ……
色つき2枚
白黒3枚
お前が考えている3倍キツイ……
没くらったらまた増えるし……
ま、楽しいからいいが……
ジュースでも飲もうかとおもい、私は冷蔵庫へと向かう。
私の家は住宅の4階
細かく言うと403、何畳かは知らん。
もちろん私の部屋は一軒家ではないので一階分しかないから冷蔵庫はすぐそこだ。
冷蔵庫を開けジュースをとる。
スカっ
?
な、なにっ……
ジュースが……ジュースがぁぁあっ!
心で叫ぶ。
…………はぁ……
天を仰ぎ、悲しみに暮れる。
それはともかくとして対処法をとらなければ……
1、今から取り寄せる
ア○ゾンでも何でもいいから購入する。
……
駄目だ。少なくとも1日は掛かる。
それでは私の心が叫びたがってしまう。
2、買いに行く
……今は5月……
暑くもなく寒くも無い。
ちょうどいいと言えばちょうどいいが、時間帯が朝の9時と言うことで、私の家の前では現在絶賛掃除中。
住宅などではよく見かけるみんなで掃除をしよう、だ。
無理だ。
あの、“あれ? 今学校の時間じゃないの?”という空気のなか行くのは自殺行為である。
3、折衷案、後で買いに行く。
これしかないな。
というわけで正午3時位に買いに行く事にした。
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はい、アウトーッ
ものすんっごいアウトーッ!!
「あれ? 今カンナ居たと思ったんだけど?」
私は今物凄くピンチです。
今の状況を説明すると、町を歩けば幼馴染とぶち当たる。
……
考えろ……考えるんだっ
大丈夫、時間帯だけで言えばあいつ以外の高校生はいないだろう。
彼女は生まれつき体が弱い。
その事をコンプレックスと思っていたが
なんかいろいろあり今ではもうそんな事は気にしていない。
それでも弱いことは弱いので、こうしてだいたいの日は早退している。
授業に行っているだけたいしたもんだ。
で、彼女は早退したなら他の生徒は余りいないだろう。
どちらにしろ私の知り合いは彼女だけだが、神の気まぐれで話しかけられることもなしにきもあらずだ。
「よし、やり過ごすか」
私は静に住宅の影からポツリと言う。
「あ、いたっいたっ!」
彼女は約20メートル先から大きく声を上げる。
そしてこの顔(゜o゜)……
なんでだ。
なぜ今日に限って運が悪いんだ。
あれか、あれなのか、これが性格がネジ曲がっているものへの罰なのか。
会ってしまえばしょうがない。
とりあえず話すしかないだろう。
「う、あぁ、久しぶり燐火……」
彼女は、燐火は明るい印象がする女の子だ。
いろんな事へ真摯に取り組み、責任感も強い。
体が弱いのに働き者だから親の心配もよくわかる。
あったこと無いけど。
だが、結構暗い一面も持ち合わせる。
普通の女の子だ。
「いやー、まいったまいった、授業中に吐血しちゃってサー、それで早退になったんだけど、カンナに会えて元気100倍だよっ!」
ゆ○ゆりかっ!
くかーー、このテンションついていけねー
なんだ、ラブコメか、ラブコメなのか 全員女子のラブコメかっ
ま、私もこいつも自分達以外友達いないけど……
……あれ?
今衝撃的な事を言ってなかったか?
あ、吐血だ。吐血。
……と、けつ……っ!
「……と、吐血って大丈夫なのかっ!」
「うげっ!」
彼女の肩を押さえながら私は少し揺らす。いや、ぐらぐら揺らす。
「ちょちょちょちょっ」
「はっ」
あ、体が弱いんだからあんまし揺らしたらダメじゃないか、私。
「いや、大丈夫大丈夫」
「ほ、ほんとにか?」
「病院の人にも大丈夫だって言ってもらったから」
「なら……いいんだが」
はー、良かった。
「で? 何しに外に出てたの? 珍しい」
「ジュースが切れたんで買い出しだ」
「ま、それならデートしよっ、デート」
「なにがデートだ。俺たちは同性だろうが」
「愛があれば性別何て関係無いっ! て、何処かのライトノベルで言っていたわ」
「はいはい」
「もー、簡単にあしらわないでよー、とにかく付いていくからね」
「は~、もう勝手にしろ」
「さっすがカンナ、話わかってる~」
ただ面倒くさくなっただけなんだけど~
ま、今さら口に出すのも野暮だろう。
あとこれ以上ややこしくしたくない。
とにかく私達は近くのスーパーに買い物に行く事になった。
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今私達はスーパーの洗剤コーナーにいる。
洗い物など買い溜めしとかないとまた外に出なくてはならなくなる。
それは余り好ましくない。
長めに保てるやつが複数個あると凄く便利だ。
そこで5、6本分買い、そこを後にする。
と、燐火が話しかけてきた。
「そういえば、最近この辺り猫がいっぱいいるらしいわよ、会ったりしたら一緒に飼わない?」
「飼わん」
「えー、何でー?」
「動物はな、無垢な笑顔で私達の財産を根こそぎ奪い去っていくんだよ。そんな化け物どもを飼えるか」
「ぶー、ただゲームとかにお金使いたいだけのくせに」
「ま、そこは否定しないが」
私は目の前にあるジュースを数十本とりお会計近くにあるパンコーナーに行き、様々な惣菜パンを買ったあとそのままお会計に行く。
「私が払おうか?」
ひょこりと顔を出して言う彼女にひと言、別にいいといいながらお会計を済ませ外に出る。
「「ん?」」
っ、
外に出て私達はビックリした。
黒猫が大量の血を流して倒れていたのだ。
内蔵等は出ていないが口からは血を垂れ流していた。
遠くから見ても危ないことが分かる。
その猫に一人の少年が駆け寄る。
普通だ。
その一言につきる少年だった。
その少年は黒猫を抱き抱えると、そのまま東方面へ走っていった。
「ふへー、見た目は普通だけど、いい人
だったね、今の人」
「ああ、ま、これで私達は完全に関係なくなった。さっさと帰るぞ」
「うん、私も家入っていい?」
「別に構わない」
「やったーっ」
彼女は大袈裟に喜ぶと夕焼けを背に私に微笑んだ。
その微笑みが、とても心地良かったのは、気のせいではないだろう。




