第32話 さて、思い出し、想いだそう……2
遅くなってすみません。
あと、明けましておめでとう御座います。
今年の目標、5日に一話。
では、本編へ……
「あのくそ神様から……だと……」
俺のあの台詞のあとにわざとらしい仕草で竜はよつん這いになっていた。
えー、そんな落ち込むところー?
そして、気づいたかのように顔をはっ、と上げ、迫る。
「それはあのくそ神からヒントを得たって意味だよなっ!! よな!!」
「は、はい!!」
迫力がパナイ、こんな時代にパナイと使うぐらいパナイ……
そうだな、わかりやすーく言うと……ナイフをもってさっきまで追いかけてきていた人が今の台詞を言ったらどうだろう……
な?
パないだろ?
て、やっぱ使った魔術の説明しないといけないよな……
うーん
俺は胡座をかきながら指をピンと立てて説明する。
「魔術に概念をのせれる事は知ってるよな」
「当たり前だ、私を誰だと思ってる」
「竜ですが……」
「そうだ、竜だ」
「……で、それを転移に乗せたんです」
「なんの概念?」
「簡単です。“閉める”という概念です。」
「閉める……それなら確かにいけるか……」
「そう、概念というのは無理な物も有りますよね? 例えば止める。つまりストップ……これが出来てしまえば何でもできてしまう。そんな世界にもろに干渉する概念は、魔術から弾き出される。」
理由はしっかりとある。
魔術は料理で言うと水。
概念は料理で言うと油。
まさに水と油の関係なのだ。
どれだけ頑張ろうと無理なものは無理。
そういう風に出来ている。
始めはもっといろいろ出来たらしいが、今ではそれほど難しくなっているらしい
そしてこの摂理を大きな魔術で作ったのが古代文明のなんたらかんたらだ。名前は覚えてない。だって疲れてたんだもん。
まぁ言い訳はともかく正直全然その辺りは入ってこなかった。
学校の教科の社会みたいなものだな。
「で? その閉めるを転移にしたら……と言う訳だが、それなら私も試した。だが無理だった。だから私の過去に穴が無いか探したが特に無し。理由になってないぞ」
「話を最後まで聞いてくれ……で、俺が言いたいのは転移にあるラグ、どうしても出来てしまう時間の差……それを利用した」
俺が彼女と闘った時を思い出して欲しい、彼女が土を蹴りこちらに来た時は反応出来なかったが、転移した時は反応出来た。それにはしっかりと意味があったのだ。
「……私の魔力に閉めるを使った……と?」
「正解だ」
彼女が始め来た時に布石を置いておいた。
それは、彼女の魔力を見極める事……魔力を見極めるなんて横行に言っているが……「なに? 後付け設定(笑)」と言われるようだがっ……言ってしまえば魔術を見るだけだ。
それさえ見れば、俺は魔術の魔力を放出した場所になんの属性でもいいから『閉める』概念を込めた一撃を転移させるだけでいい。
つまり、俺は魔術への反応速度が早く、それを自分自身で分かっていたから相手の一撃を敢えて受け油断を誘った。俺の実力がいかほどか解れば後は出し惜しみする必要はない。だから彼女は転移を使い、俺はそこを狙った。
それだけだ。
「……ほっほー、可愛い顔……ではないな……うん、普通の顔してよくやるねー」
「……はは、なんか説明して損したよ」
「そんなことはない、それの……教えてくれた代償として私は知ってる全てを教えよう」
「……え? でかくない? そんなにいいの?」
「あぁ……何でも、なーんでも聞いて聞いて」
「じゃ、じゃあ……神の事と竜の事……その二つを教えてくれないか?」
うん、闘いは終了。
まずこの二つが重要だ。
あの爺さん、いや、マクスウェルは俺に過去を知れと言った。
なら、自分を知った方が早い。
俺は神で竜らしいから。
あ、でも自分ではそんな公称なもんだとは思ってないよ? いや? 本当に本当だよ?
「神と竜か……それは亮たんに関わる事?」
「あ、はい」
もうなんかあだ名に触れるの面倒くさいしいいや……
そんな訳で俺は無駄スキル、スルーを使い聞き流す。
「了解、これも亮たんへの報酬だ。自分の力で勝ち取った物だと自覚してよ?」
「ん? あぁ、解った……」
俺が勝ち取った……物……
自分で闘い……獲得したもの……
日本人なら違和感があるはずのそれに違和感はなかった。
ま、多分こっちに結構居るからだろう。
俺の心とは裏腹に彼女は話を続ける。
「さてさて、ではではいきましょう」
パンっ
と、乾いた音をわざとらしい仕草で鳴らす。
ゆっくりと胡座の態勢になる。
それに釣られて俺も胡座をかく。
彼女の動きは、しっかりと観たことは無いが歌舞伎や能とかの日本芸能のようだ。
掌を前に出して彼女は語る。
「今からなが~い年月語られなかった私目線の物語、いつしか寂しく消えさるはずの……物語へと……」
これは過去のお話だ。
彼女はそう言うと、手をギュッと握りしめた。
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私……桐ヶ崎カンナはニートだ。
もう17歳になる。いや、まだ17である。
そして、17歳にしてニート。
ゲームやラノベ、漫画に関して右に出る物は……わりかし、いやかなりいるだろうな。
? どれだけ漫画とか持ってるか?
だいたい1900巻だよ。
それなら数人しか居ないでしょ?
て?
は~
やれ漫画1500巻だ。
やれライトノベル400巻だ。
そんなものは只の数字。
私よりそれらを愛してやまない人達はいっぱいいる。
だから私はニートだが、プロのニートではない。
親も困らせないし、親戚へのアプローチも完璧、友達はいないがネット友達は有り余る。
……やはり気になるか?
私がどうやって稼いでいるのか……
おっと、そこのあなた、今どうせユーチューバー? とか、エッチー事とか思いましたでしょ?
フッ
本当のニートはそんな事は出来ないんだよ、分かるか?
何故ニートになったのか?
それは基本恥ずかしいから。
ゲームがしたい。
アニメをもっと観たい。
苛められた。
テストの点数が上がらずの我が儘。
だがっ、それらは所詮初めの理由、又は後付け……ちょっと言い過ぎかな?
いや、言おうっ!
みんなどれも恥ずかしいからなんだよっ!!
テストの点数なんて特にそうだ。
恥ずかしいからだろ? 自分の点数が。
ゲームやアニメはその逆……いや、1周回った辺りだ。
恥ずかしいから、恥ずかしいのは嫌。
そうだ、裏切られたり間違えたりしないように引き込もっていよう。
なにすればいい?
楽しい事が、あっ、ゲームしよう。
こんなパターン。
それかこの逆になったやつ。
次に苛められた。
これはシンプルだ。
誰だって苛められたくない。
美味しい晩御飯は不味くなるし。
帰ってきてお母さんやお父さんに会わせる顔が無い……
そんな訳で引き込もる。
それが一番楽だから……
勇気をもって誰かに頼れ、て?
はっ、本当に勇気がある人は相談したり、警察署に行けるが、勇気がある人が苛めの対象になるか?
解答“んなわけねーよ”
だ。
そうだろう?
相手は勇気の無い人を狙うんだから……
で、結局ぐるぐる回ってゲーム、アニメに至る……と。
これが私が3年間思っていた事、
そして、とうとうこれにも結論がでた。
『よく考えたら恥ずかしさに立ち向かわない方が恥ずかしくない?』
アニメや漫画を観て思った。どれだけ頑張っても逃げるしか出来ないときがある。
私はそれこそ引きこもりだと思っていた。
現実という世界から自分という檻に引きこもる……
出れるはずもない。
それが当たり前だ。
そうするしかないんだ。
それしか出来ないんだ。
でも頑張れる事は他にもいっぱいある。
勉強
常識
手伝い
小説を書くのも良い
絵をひたすらに練習するのも良い
そうしてそれを誇りにもって、自信をもって生きていけるようになれ……
そうしたら自ずと勇気は溢れてくるのだから……
ま、結局なにが言いたいかというと。
逃げるにしても、逃げた後に策を練れ、恐いものを恐れないようにするための努力をしろ、それが生きるということだ。
これが私の座右の銘だ。
そう、それが言いたかったのだ。
話が途中で方向転換して、長くなってしまうのは癖だ。我慢してくれ。
なにはともかく私は努力した。
これを座右の銘とし、生きていた。
活き活きと、生きていた。
活き活きと勉強をした。
今の時代やはりパソコン、ゲームなどの科学の類いがやりやすいと思いそこから勉強した。
…………そんな事を3年続けた。
計6年
そう、私は11歳の時から引きこもりだったんだ。
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