表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、神様になりました。  作者: 商 秋人
30/61

第28話 俺の……居場所

真面目な話は苦手なので下手くそかもです。

意識がいまだに微睡っている、自分が……自分がどこにいるのか分からない……


 世界の周りをぐるぐる回っている。

 そんな感覚に囚われながら、自分自身の意識を保とうとする。

 そこにあるなにかをつかもうともがいてもがいて……



………………



 「はっ!?」


 …………


 “くら……い?”

 “つめ…………たい?”


 頭の何処かから声がする。

 女の子の声だと思う。

 たが、それが誰なのか、それは分からない。

 初めて聞く声……

 だが、どこかなつかしさを感じる。

 懐かしい……か?


 いや、なんかちがう。


 “みずが……おしよせてくる……から”


 “きをつけて”



 …………




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「ぷはっ!?」


 真っ暗な夜空を見上げながら、俺は意識がめる。

 座ったまま手をぐっぱぐっぱと、しながら自分が生きているのか確認する。



 「…………」


 じょ、情報を整理しよう。

 えーと、確かギルドの人に王城に連れていかれたあと、噴水スゲーな、て思ったら石につまずいて……マクウスさんにいろいろ教えて貰って……


 それで俺にほとんど説明しないままあの人にここに飛ばされた……と……

 そして、今いる場所は不明

 分かるのはここが浅瀬の海か湖というだけ………と……



 「はっはっはっはっ……石に躓いて、結果変わっちゃってぜ(♡)」


 ……

 …………

 ………………


 「てっ!! どうすんだよーーーーっ!?」


 俺の声が砂浜に響き渡るが、反応するものは一人、いや一匹たりともいない。

 さざ波の音をただ聞いているだけだ。


 ただただ星が流れるのを見つめるだけ、寂しい、寂しいぞ……想像以上に……


 「くそっ、とりあえず歩いてみるか……」


 海辺をバシャバシャと立ちあがり、この辺りを散策することにした。


 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 4時間後



 「……」


 頭がくらくらする……

 

 …………


 ……………………


 くっ


 ……始めはいいけると思っていた……

 いつも通り自分がもらった力を駆使して……でも……でも1時間全力で走ってもなにもない……全力の魔術を出しても気づかない……高く跳んでも先が見えない


 もうどうしようもない。あのあとただ意識が朦朧もうろうとしながら3時間ぐらい歩いているのになんにもない……

 森、森、森、森

 林、林、林、林

 木、木、木、木


 ひたすらにこれだけ

 しかも、この森が妙に薄暗く、木も紫色で気持ち悪い。進めば進むほど現実味かを薄れていく。

 ただ眠いだけと言うのは簡単だが、なんとも言えない不快感を感じる。

 眠たいとは違うなにかを、


 「ヒントもなにもないまま放り出されて……へんな声が聞こえて、結局これはなにをしないといけないんだ? …………」


 ……?


 ……今の言葉違和感……が、ある気が……


 も、目的?

 ゴール?

 正解?


 …………


 「違う……俺の今の目的は帰ることだろっ……なんで忘れてたんだ……」


 自分自身の体じゃないような……俺自身の記憶はどこだ?

 はい?

 いや。何いってんだ? 俺……

 

 ……

 とにかく早く帰らないと……


 

 ?

 ……どこにだ?

 家?

 元の世界?

 いや、リアたちの元か?

 俺の居場所?

 ゴール?

 ラミアルア?

 カルマニア?

 ギルド?

 宿屋?

 目的?


 ない?

 ない?


 …………ない?



 「……俺の戻るべき場所はどこだ?」

 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ある村の地下……そのさらに地下。

 そこには小さな部屋があった。

 その部屋は誰も入ったことがないと言われている。

 何千年もの間開けられる事はなく。

 いつかは忘れ去られる部屋は……

 

 だかそこは……


 ものすごく未来世界と化していた……


 パソコン、携帯電話、ゲーム機、コタツ、クーラー等々


 明らかに異世界とは思えない完全現代人な部屋。

 そこに居たのは……



ーー???ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 竜の逆鱗……

 あるものでは触れれば終わり。

 あるものでは弱点で。

 あるものでは超レアアイテム。


 まあさ、兎に角とにかくいろーんな所で使われるわけだ。


 そんな物が村の名前……なんていうのは、現実問題珍しい。……ああ、いや、小説家になろう。では珍しくないかもしれないな。


 正直言おう。

 縁起が悪い。


 だって竜の逆鱗だよ?

 触れれば相手は怒られるんだよ?

 つまり、ここの村に入ってら怒ります。

 そう言ってるもんなんだよ?


 まさにそんなもの……えにし……つまり縁を切っているもんだ。


 まぁ、まぁさ、兎にも角にも私が言いたいのは……こんなにも密閉された村で最強美神の族長娘の秘書? メイド? なんでもいいや、そんな位置にいる私は最強なんじゃない? と言う話だ。


 くく、いやーはかどるはかどる。

 研究者としての研究がはかどる。


 とたんに私はある気配に気づきテンションががた落ちになる。


 …………


 「やぁ、久しぶりだね、竜族の研究者、君に頼みがあ「断る」……る」


 私は彼の物が言葉をいい終える前に答えを口にする。

 なんでこんなやつの言うことを聞かなきゃいけないんだい?

 バカなの? 死ぬの?


 そんな心境ですよ、族長娘の秘書リンカさんは……


 「はやい、早すぎだ断るのが……しっかり話を聞かないと後悔す「しない」……る」


 彼の物はさすがにイラついたのか、ぶち、というこめかみ音をならせて武力交渉に出ようと……することはなく冷静に一言。


 「殺すよ……」


 おっと、全然冷静じゃなかったですよ。

 

 「どうせ研究はどこまで進んだ? こういう個体はどうだ? とかそんなことだろう、なら帰ってくれ」

 「その悪趣味な服装をやめてくれ、かもしれないよ」

 「これは私の個性だ。否定したら殺す。」

 「その白衣や、腕の途中から途切れて手首辺りから見えるようにしてるのも、さらに言えば黒い手袋も……なぜそんな服装をするんだい?」

 「はっ」


 私はこいつの言う質問に鼻で笑って返す。


 「何だってお前に言わないといけないんだ?」


 ……私と彼の物の間に沈黙が走る。

 これは心地よいものでも、恥ずかしさによる心地悪いものでもない。

 ただの怒りと怒りこぶつかり合い。

 それだけだ。


 先に折れたのは彼の物のほうだった。


 「はー、まぁいい話がそれた。ここから南方……たしか迷いの迷宮か……そこにある魔法使いをおいてきた。助けてやってくれ」

 「なぜ?」

 「……その者が竜族の王だ。」

 

 ……なるほどな……


 「だが、それなら俺が行く必要なくないか? 先代が連れてくるだろ。」

 

 先代とは、伝説と言われた竜……ファフニールの事だ。

 彼女は早く無くなってしまったが、その力は絶大だった。故に体が消えても力が残った。いや、残ってしまった。

 だから封印した。

 ある神と共に。


 それはまた今度にするとして……


 今はこの糞爺の話を聞くことにする。


 「あの者の体には神の因子も入ってる。ファフニールちゃんがこっちに戻るのも時間の問題だが……さてはて、後どれくらい掛かることやら」

 「そこで私の出番? 確かに私は純粋ではないけれど、どんな竜より強い自信があるんだけど?」

 「はは、頑張ってくれ、竜族の科学者よ」


 そう言うと彼の物は空へと消えた。

 

 ……はー

 珍しく疲れてしまった。

 あいつが私に物を頼むとは……相当だな……彼か……


 私は、無造作に置かれている手鏡をとり自分の顔を覗き込む。

 そこにはまさしく美人な女性がいる。

 青色の髪に、印象的なつり目、目の色も素で紫とほのかに色気を感じさせる。

 胸もそれなりにあるし、肌にだって自信がある。


 美少女……か……


 私はそんな自分が大嫌いだ。


 吐き出すように心の中でそう思うと。

 持っていた手鏡を机に放おった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ