第26話 物語の始り(ようやくっ!?)2っ
大きくてたくましいく赤黒いナニがたっていた……
ふざけてる場合じゃないな……
そう、俺達の前にはレンジャーモノよろしくでっかくなったモンスター、レッドゴブリンがいた。
さて、唐突だがこの話はご存知たろうか、たとえ体が大っきくなったからといって、それと比例して自分の筋力まで倍になるわけではい。
ほら、ミジンコがでっかくなっても自身の体で潰れるというヤツだ。
まぁ、詳しくは某ラノベ『ブラ○クブレ○ド』を参照してくれ。
で、なぜ俺がこんな話をしているのか……それは
ドグン―ドバッ!?!!!←ゴブリンのパンチ
絶対に筋力と比例してるよね……
メルが放ったエクスプロードよりも大きな威力の惨劇が舞う。
それと同じくして俺はメルをかつぎ上げ大きくジャンプする。
うぶっ!? と、メルが驚きつつ声をあげる。
現在地はゴブリンの頭より少し上だ。
そして、思ったことがひとつある。
このゴブリン、攻撃力お大きさが比例している、と言ったがそうではない、こいつは大きさより攻撃力の方が大きいのだ。
全然比例してない。
物理の法則を超越している……
なにか理由があるんだろうか。
「ひゅへっ! た、たかっ!!」
メルが起きた。
まぁ、一瞬目を瞑ってただけだが
「て、そ、そうだったっリョウはあれ倒せるのっ?」
「わからんっ!」
さっきのあの攻撃力を見ると自信がなくなる。あの攻撃はカランより2倍ぐらい強かった。
「じゃあどうするのっ!?」
「やれるだけやるっ!」
メルが顔色を赤く怒るがそれでも確信はもてない。
当たり前と言えば当たり前だが俺は神の資格が有ると言われても神ではない。
そんな大層なものになるきもない。
なのであえて言おう
俺は強くもないし弱くもない
だから倒せるかは本物の神……リアやエルタぐらいしか分からない。
て訳で謎の結論に至った俺は確信がもてないのだ。
空中から戻り地面にシュタっと立つ。
「おいっ、そこの騎士団長らしきひとっ!」
「な、なんだっ」
無精髭をはやした他より高価な鎧の人が他の騎士たちと加勢しようと近くまで来ていた彼を呼び、とりあえず倒した時のための布石を用意する。
「今から国へ帰って王さまかギルドの人にこの事伝えてきたくれ」
「ひ、一人で大丈夫なのかっ!」
「多分」
「た、多分てっ!! もし負けたらどうなるか分かってるのかっ国に関わることだぞっ!」
「もうっ、さっさと行ってくださいっ、邪魔になるだけです」
しっし、と最後にメルが手を降り無理矢理終わらす。
騎士団長も自分が邪魔になるだろうことは分かったらしく騎士たちに撤退の指示をだす。
「よしっ、これで上手くいったら王にあえる理由と俺への(とっ!)っ信頼をゲットできるな」
俺の台詞と被せて攻撃するな。
さっきの攻撃を右下へ受け流し地面に陥没した。
そんなことは気にせずこちらも一撃目を与える。
「はっ!!」
魔術を発動せず左手で受け流した右腕を攻撃をする。
俺の左手は、赤黒いゴブリンの肌に刺さる。
そう、文字通りだ。
少しだけ穴があいた。
ただそれだけだ
「なにしてるんですか?」
「本気で貫いた……んだけど……」
なんでだよっ!
いや、でもこれで俺の筋力とかの必要性が分かった。
ほぼ100%で要らないな。
なので魔術にシフトする。
貫いた左手に魔力をありったけ込める。
そのままの状態で俺は魔術、氷魔術レベル20《ワールドオブアブソリュート》を放った。
が、怪物は右手に異変が合ったのを感じとったのかそのまま右手を引く。
それにより俺の右手がグンッと引っ張られる。
空中に怪物の右手とともに飛ぶ。
腕が逆を向く。
あ……
「りょ、リョウっ!」
ヤバイって!
どうするどうする。
魔術を発動するか?
うん、それしかないな
「逃げとけっ、メルっ!」
「ふぇっ!?」
彼女がしっかり逃げたかは確認する余裕もないのでとりあえず折れた腕に全力で神経を通す。つまり左腕に神経を集中させなおす。
いっ
痛い……腕がつったんじゃないかと言う痛みだ。
だが、普通っ子の俺が尊敬するラノベ主人公は……もっと多くの痛みを味わっているんだ。
こんな腕一本つったぐらいで音を上げるなっ。
そう、嫌みを言うぐらいの気概で行かないでどうする。せっかく主人公になれるような力を得たんだ。
「《ワールドオブ―っ!』
わざわざ長い技名を叫び気合いをいれ魔術を構築、発動。
世界が赤く染まった。
「ヴェスタっ!》」
太陽がもう一つ出来た。
わけではなく、相手の大きさをちょうど覆うくらいの火球が創造された。
俺自身さえも火球はおおい、肌にところどころ火傷の後が見える。
だが俺はそこからさらに魔力を左手に集中させる。大きさは大きくならずその威力だけが上昇した。
「くきゃーーーーっっつ!!!?!」
今日2度目の怪物の咆哮だが、俺にそんなものは効かない。
ていうかそれどころではない、肌が爛れ始めた。
あっつ!?
くっ! がっ!?
なんだなんだなんだ……これは……こんなに痛いのか……
炎髪灼眼さんスゲーことやってんだな……
そのうち、怪物は咆哮を止め痛みが限界に達し気絶した。
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「……ねぇ、一ついいかしら?」
と、メルが言う。
「おお、どうした?」
「あんたもしかして神……なのは確定として、なんて強さの神よ? ランキングに入ってるレベル?」
「あー、なんかあったなーそんなの……残念だか俺はランキングとかあんまし知らんから、実際どうかはわからん」
「ふーん、まぁ神なのは否定しないのね」
「……誘導尋問をするやつは嫌われるぞ」
「いいわよ、どうせそんなの要らないし」
「あっそ、まぁ実際問題おれは神じゃない……資格は有るらしいが」
さっきも言ったが、俺はそんな資格……があったとしても心意気が圧倒的に壊滅的だ。目立つのは好きじゃないし、我慢するという意味でも主人公にはなれない。俺は我慢に慣れすぎているから……
勿論痛みとかじゃなく、精神的な意味だ。
……話がそれたな、つまり俺には神の強さがあっても、それに見合う心が足りないという話だ。
「ふーん、資格……それ誰に言われたの?」
「ん? あー、あれだよ、酒場にも来てた黄色の髪の人」
「……うーん、あの人苦手なのよね……」
「……そうか? 結構話しやすいだろ、確かにはじめと性格ちょっと変わったが」
「そんなんじゃないの、直感的によ」
「なんだそれ?」
「さー」
んな適当な……
「で、それどうするの?」
それ、とはさっき倒したモンスターの耳である。デカすぎて持ちものを入れる袋に入らないので引きずっている。時刻は日がぎりぎり落ちないぐらいだ。なので綺麗な夕焼けに照らされて出来たゴブリンの耳の影は……滅茶苦茶シュールだ……
「うーん、まぁ王さまにでも見して報酬もらって何とかするか」
「なんとかって?」
「いや? 修業とかでちょっと遅くなっただろ、だから王に会いに行く暇ねーなって」
「王? あぁー、あの役立たずですか」
「うわ、辛辣だな、なにかあったのか?」
「いや、なんでもないわ、それよりさっさと帰りますよ」
珍しく敬語と笑顔でそう言った彼女の顔が少しだけリアに似ていたのは……気のせいだろう。
多分……
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王国門前……つまり、国の入口に俺達はさまざまな喝采を浴びていた。
「うぉおおおおおっ!!!」
「ほ、本当にやってきやがったっ!」
「あの怪物は何とかしないとって思ってたんだよ」
あの騎士様たちは、しっかりと仕事をしてくれていて、ホッとした反面、なぜこんなにテンションが高いのか謎だ……
たまたま出会った大型モンスターだと思ったがそうでもないのか?
しかも信じない方が自然だと思ったがそうでもないのか??
俺の心が腐ってるからこういった詮索、もとい計画性を感じるんだろうか……
「な、なんでこんなにテンション高いんだろう?」
「……さぁ……」
メルも珍しく寡黙になっている。
ここまで人がいると緊張の度合いがヤバイんだろう。かくいう俺もちょっとキツい、“元”性格おとなしめの俺からすると、この緊張感は生まれて初めてと言ってもいい。
いや、まぁ、それよりさっさと換金しにギルドに行かなければ……
トコトコ
トコトコ
ギ・ル・ド
相変わらず荒んでんなー
酒や肉は食い散らかしているし、壁にはところどころ穴が空いている。
が、やっぱり何故か気品があるように見えるのはなぜだろう?
やっぱり対応している女の子達だろうか?
それともちらほら見える一升瓶どろうか?
あー、わからん……
注目の的、て言葉を初めてつかうな~
変わらず周りからの視線が凄い……
あ、俺の冒険者レベルをチェックしてくれた人だ。
その人はこちらをみるなり、あっといいドタドタと走って来た。
「た、確か貴女ですよねっ、珍しい黒髪の冒険者って貴女でしたよねっ!」
「は、はい、そうですが……」
「お、王が、王が貴方を呼んでいるので来てくださいと仰っていました。ていうかギルドにそういう御達しが来ております。」
「え?」
「とりあえず来てもらいますよっ」
と、なにがなにか分からないまま、最初の目的、王に会うを達してしまうのであった。
「ついでにそこの金髪幼女さんも来てくださいね」
「え?」
メルと一緒に……
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