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俺、神様になりました。  作者: 商 秋人
26/61

第24話神と神と神と人






―リア、ラミア、エルタ―

          サイド



 


 「さて、どうしましょうか?」


 場に満ちていた沈黙を始めに破ったのは以外にもリアさんだった。

 彼女は、リョウタさんが修行に出掛けたあと、ずっと考え事をするように俯いていた……だが考えても仕方ないと思ったのか、すぐに元に戻った。


 が……


 その瞬間リアさんはすぐに気付いた……私は始めから気付いていたあることに……


 そうっ! 私たちは基本リョウタさんがいるから話せているのであって、普段は全然話さないのだ。

 しかも、私がいるせいで彼女達二人とも妙に気遣っているようでケンカ? もしない……

 今日はマクウスさん(バーの人)が休みというので誰も居ない静かなバーに沈黙が転がる。


 …………


 10分後にリアさんが初めのセリフを言ったというわけだ。


 「や、やっぱり服を買いに行きましょうか?」

 「そうですね」


 ははは……と二人で笑いあう、もちろん乾ききっているが……


 リアさんを先頭にエルタさん、私で並んで歩く。

 ギィイイ、というドアの音が妙に大きく聞こえました。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 前、リョウタさんと一緒の時とは違う街並みを3人で歩く。

 

 全員が一緒の時は全然気づかなかったが、結構みんなこっちを見ている。やはりあの二人は美人なので超目立つ……


 場違い感が拭えない……


 はぁ~なんで私がここにいるんだろう? いやそんなの私が家出したからか……

 ……

 よく考えたら全部私のせいなんだよな……こうなってるのも……

 申し訳ない……

 私はやはり戻った方がいいのかも知れない……

 そんな風にネガティブな気持ちのなか街を練り歩く、西街、さまざまな雑貨や食べ物が売っていた入口側のストリートとは違い、ここには服屋や宝石類の装飾品が売ってある。

 本来ならはじめての場所にドキドキするところだがやはり自分のせいだと思うとどうしてもそんなことは思えなくなってしまう。


 「さ、さー! 頑張って仕立てますよっ!」

 「そ、そうですね」


 二人ともやはりぎこちなく笑ってしまう……


 「先ずは……そうですね、うん、小物を買いましょう、軽いものから買った方が効率的ですから」

 「は、はい」


 効率的に、と言うのは歩いたときの重量の事を言っているのだろう。

 服から買っていったらずっとそれを持って他の物も買って行かないといけないから……だと思う。

 

 「……………………」←私


 「……………………」←リアさん


 「……………………」←エルタさん

 

 く、空気が、空気が重いっ!


 「ちょっといいか」


 わりかしあっけらかんとエルタさんが言う。


 「エ、エルタ? どうしたんですか?」

 「いや、正直この空気もう耐えられんから言わせてもらうが………まず打ち解けないか?」

 「「…………」」


 つい黙り込んでしまう……

 ……で、ですよねー

 そう、よく考えたら私たちは名前ぐらいしか知らない、あの二人は過去の事があるからまだましだけど……私の場合完全に初対面な訳で……


 「だから買う前にバーに戻ってさっさと打ち解けよう……いや、こんな提案自分でもどうかと思うけどさ」

 「じゃあ戻りましょうか」


 そう言うと、はは、と今日朝から何度目かわからないため息をリアさんはついた。


 本当に申し訳ない……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 戻ってきた。

 戻ってきたらマクウスさんが居た。


 ?

 「あれ? 帰ってきてたんですか? マクウスさん」

 

 私はさっきよりキレイになったバーをキョロキョロとみながら話し掛ける。バーにある客用の丸机を拭いている。他の丸机もバーのなが机もピカピカなのを見るとずっと掃除していたのかもしれない。


 「? どうしたんだい? たしか服を買いに行くんじゃなかったけ、いや、話を外から聞いていた限りだけど……」


 相変わらず渋い声だなー


 「いえ、そうだったんですが……」


 私が申し訳ないながら帰ってきた理由を話そうとしたとき。


 「やっぱり」


 ポツリとリアさんが声を出した。


 「何処どこかであった事ないですか?」


 あごに手をあてて黄色の瞳でジーとマクウスさんを見つめる。

 

 「どうしたんだい……リアくん……だっけ? 急に?」

 「いや? ちょくちょく誰かに似ている気がするんですよね……」

 「はは、気のせいだよ私は神だが君のような美人な神の知り合いは居ないよ」


 へーー


 ………………?

 !?


 「え!? マ、マクウスさん神だったんですか!?」

 「? ……あぁ、いっていなかったか、そうだよ一応ね」

 「こ、こんなところに神が3人もっ」


 お~~,と、おろおろとしてしまう私。


 「そんなかしこまらないでもいいよ、所詮は下っぱだからね」

 「そ、そんなもんですか?」

 「そんなもんだよ、何よりそこの二人の方が凄いだろうしね」

 

 「「??」」


 マクウスさんが謙遜しながら二人に指をさし会話を続ける。


 「彼女ら、多分だけどゼウス君とオリジン君だろ? 懐かしいな、昔は世話を焼かされっぱなしだったのに」

 「? ん~? あーっ、ぎりぎり思い出せないっ!」


 頭をぐんぐん回し悩ませている。悩み方が独特だなー

 リアさんが悩んでいるとマクウスさんが会話を断ち切り思い出したかのように元の会話へと話を戻す。


 「あ、それはともかくとして君たちなぜ帰ってきたんだい?」

 「お、そうだったそうだった、じいさん、酒とかないか?」

 「いや、何言っているんですかエルタ、あるに決めってるでしょ、バーなんですから……て、お酒飲むんですか? ラミアさん未成年ですよ?」

 「ふっ、小説家になろう的表現だよ、異世界はお酒の年齢が低い的な」

 「そんなどや顔でメタネタ入れるのやめてください、でも確かにそのあたりどうなでしょうか?」

 「小説家になろうの年齢問題?」

 「この世界のお酒の年齢問題ですっ」

 「あ、そっちかー」

 「はー、もういいや、で、お爺さん、お酒に関してはどんな感じなんですか?」

 「甘い物なら大丈夫だよ、」

 「分かりました、では飲んでみても大丈夫でしょう」


 うーん、でも昨日は甘いのでもやばかったって言ってたし呑まない方がいいんじゃ……

 そんなことを頭で思うもやはり今回の事柄は飲まなきゃやってられないと思ってしまう私がいるわけで……


 「よし、どうせ今日は休みだしね、僕がうちの店流のおもてなしをしようか、せっかくキレイにしたしね」

 「よっしゃっ! 久しぶりの酒ダーッ」

 「ふふん、さすがに亮太さんの前では羽目は外せませんからね」

 「わ、私も、が、頑張りますよっ」


 少し無理矢理感がある、そんな事を作者は思いながら、私たち三人の女子会は始まるのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 5分後

 

 「私の方がリョウタさんの事が好きですっ!!」

 「いえっ! 私の方が亮太さんの事を好きに決まっていますっ!!」


 結果敵に私たちの心の距離感は近くなっていた。

 悪い意味で……

 たった5分で私もリアさんもベロベロ、とは行かないまでもお互い本音が出るまでには酔っぱらっていた。

 両方とも頬を赤らめ、目は据わっている。据わっているが妙にぎらぎらしていた。

 ちなみにエルタは一口目で倒れた。

 そんな様相で酒瓶片手に私とリアさんは会話を続ける。

 


 「私なんてっ、デートもしたしコスプレ見られたし、ちっっさいときから知ってるし、だから私の方が愛してますぅ~っ!」

 「で、デートなら私もしましたよっ! しかも2回もっ、暗い夜道も、バーでの大人なデートしましたよっ! さらに命まで救ってもらったんですからっ!」

 「まぁ、仲良く仲良く」

 「「じいさんは黙っててくださいっ!」」

 「あ、あぁ……」


 しょんぼりしながら奥へ戻って行くマクウスさん。


 止める人物がいなくなった事で私たちは止まる事なく会話は続いていく。


 「て言うかなんでそんなにリョウタさんと一緒にいるんですかっ!」

 「神の加護ですねっ!」

 「んなもんあるかーっ!!」

 「ありますぅーっ! 神が付き合えっていってるんですぅー!」

 「神にそれをいいますかっ!!」

 「言いますよっ!! いい続けますよっ!」


 

 10分後


 「「はーはーへーへー」」


 息も切れ切れな状態の私たち。

 あれから私たちはリョウタさんの何処が好きかとか、リョウタさんの好きな食べ物とか、リョウタさんの最近悩んでいる事の予想など、リョウタさんのほくろの数とかとか……とにかく知っておることを話しまくった。

 正直言ってリアさんはリョウタさんについて知りすぎだとおもった。

 「はっ、らちがあかないですね、ではこうしましょう……今回の王への挨拶に使う服、それのついで……いえ、本命にリョウタさんにプレゼントを買います。どちらが嬉しいかをリョウタさんに選んでもらい勝敗を決する。それでどうでしょう」


 いつから勝負になったんですか?

 とも思ったが、私もこれは勝負だと思うので言うのは野暮だろう。

 何よりどちらにせよリョウタさんへの好感度は上がる訳だし。

 

 「いいです、分かりました、そうしましょう」

 

 そんな訳で。女による女のための戦いが、話の中心にいる男を外して始まるのだった……


 あ、ちなみにマクウスさんははしっこの方でずっとお札と数字? を書いていたが気にしたら敗けだと思ったのでスルーしてました。

  



 


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