第21話 バーの主人は執事顔
遅れて……メンゴっ
やはりライトノベルはおもろいな……
「おーい、ラミアー、起きろー」
間の抜けた、聞き覚えのある声が私の耳にこだまする。ん? と思い、まだ覚めてない頭を上げその声の主を見る。
「お、起きた起きた……お、よだれ垂れてるぞ、よだれ」
「うみゅん?」
不思議な声、と言うよりキモい声が小さな部屋に反芻する。
ゆっくりと自分の状況を確認し、少しずつ意識が目覚めていく。
木で造られた椅子に腰を掛け、木で造られた机に腕をノシッとしている。
この状況から自分が先程まで眠っていたことが解る。
「大丈夫……か?」
声の主、異世界から来たと言う彼、かみのリョウタさんがもう一度心配そうに声をかける。
てっ!?
「りょ、リョウタさんっ!? えっ! ど、どうして私寝てっ! あっ! ヨダレヨダレっ!」
口元をごしごしとふき、わたわたと慌てる。
おそらく顔は真っ赤になっているだろう。
心は冷静、本能はあたふた。
「ま、まぁ、覚えてないのも無理ないって、あんなに飲んだんだし」
ひきつり笑みをこぼすリョウタさん。
飲んだ、という言葉で、寝る前まであった出来ごとを少し思い出す。
た、たしか、アホな不良を倒した後、宿屋に帰って、エルタさんとリアさんが帰ってなかったからと、晩ごはんを食べに行ってバーに入って、リョウタさんが逆ナンされて……
…………
その後の記憶が殆どない……
「あ、あの、私……なんかしでかしました?」
そんな私の問いに
「ま、まぁ、それなりに?」
「ど、とんな?」
「……………」
と、目線をそらすリョウタさん。
「は、はは……」
乾いた笑みしか出てこない……
な、何をしたんです? 私? ともう一度きく事が出来ない…………
え? 何故って? そりゃ怖いからです……怖いからですっ!
というかっ! は、恥ずかしいっ!
リョ、リョウタさんになにか恥ずかしい所を見られた事が恥ずかしいっ!
何を言っているのか分からないだろう……大丈夫だ、私も分からんっ!
「くぁあぁぁっ」
ひたすらに恥ずかしいっ、何したんだろう……
うぅ
「ま、まぁ、あんまり気にするな……そんな恥ずかしがるようなことじゃない……と思う……少なくとも俺は……」
「じゃ、じゃあなんで目をそらしてるんですか……」
涙目ジト目をかます私にリョウタさんは
「い、いやー、どうしようかと考えておりまして……」
「何がですか?」
そう、私が問いかけると彼は立ちあがり木の扉の前で立ち止まりゆっくりとその扉を開ける。
「こ……これ?」
と、言葉をかける。それよりなぜに疑問形?
て……あ…………
「あ………………」
心で出した声がそのまま出てしまう。そこに広がっていた光景"バーの椅子が粉となり、女の人が二人かすり傷だらけでボロボロだ、バーのカウンターは後ろにあるお酒が倒れべとべとになっている。
そんな災厄が舞い降りたかのような光景を目の当たりにし、これまでのことを思い出した。
逆ナンされたリョウタさんをジト目で睨んだ後でバーのマスターに、出来るだけ弱いお酒を、とひよった事を言いつつ、ミルクのようなお酒が出てきた。先程の事を含め少しイラッときたが、理性で我慢、というか一番弱い酒と言ったのは私なので怒るのは筋違いだ。
で、問題はその後、そう飲んだ後だ、私はその弱い酒で、酔い潰れた……
一口で顔が紅くなり
二口で逆ナンしてた女のひとを殴っていた。
………………
や、ヤバイな……
私の心の中でヤバイなんて言葉が出るぐらいヤバイ……
ん? デジャビュ?
ま、まぁそれは置いておくとして……
「とにかく、ラミアがあのあと酔っ払って? それで俺に喋り掛けた女の人を殴って、異能使って、スゲーっ! て周りがなって、ラミアが暴れて、客が逃げて、またお酒飲みまくって……その後に残ったのがこんな感じだ。」
そんな言葉で締め括り、大体のことをまとめてくれた。
ドアを閉め足音をとことこ鳴らしながらふたたびこちらに戻ってくる。
「そ、そうなんですか……」
「い、いや、責めてるんじゃなくてだな……うん、スッキリはしたよ、ちょっとあれな感じの人だったし、それよりあんだけ壊したから……」
「や、やっぱり弁償ですか……」
「いや、バーの人がそれはいいんだって」
「……?」
「それはいいから、孫がいるからその人に魔術を教えて上げて欲しいんだと」
「え? そ、それは、別にいいですよ?……でもリョウタさんの方が適任では?」
「うん、でも俺一人だと、細かい事がわかんないからラミアもと思って」
「? それならリアさんか、エルタさんの方が良いじゃ?」
「うーん……あの二人は」
そう言葉を続けようとしたとき先程のドアが開き髭をたくわえた見たところ還暦を迎えただろうお爺さんが入ってきた。
お、とお爺さんが呟き
「起きたかい、よかったよかった、はは、もうすぐで孫も来るから」
不思議と安心できる微笑みを浮かべながらそう切り出すお爺さん。
「こ、こんにちはっ、こ、今回は、ま、誠に申し訳」
「あ、いやいや、良いんだ、これくらいならよく起きることだし」
「え、そ、そうなんですか……」
「そうなんですよ」
はは、とひきつった、それでいて微笑んだ、優しい表情をする。
そこで、思い付いたように手をポンっとして、そうだ、とひと言
「自己紹介でもしようか」
「あ、そうですね」←リョウタさん
リョウタさんの変わりように私がビクリとしながら、そ、そうですねと、答える。
「それでは、僕はここ、バー酒だらけにてマスターをやっております。好きな物は人間で、こういうバーに来る荒くれ物が個人的に好みですね。名前は……」
お爺さんが、一呼吸おき
「そうですね、“マクウス=Z=スウェル”と申します。特技はコーヒーを炒れることですよ」
そう、私たちに微笑みをむけるのだった。
今回書いている間と言うかなんと言うか、まぁとにかく千葉に行っていました。
ひたすらに濡れ煎餅が旨かったです。
あとサバ。
次回から修行回になるかな?




