第1話 俺と神様
「あ、あなた今の……ど、どうやったの?」
赤い髪の女性が頬をひきつらせつつ聞いてくる。
目の前にあった標高1500メートルほどの山の約半分が丸くえぐれていた。
俺も頬をひきつらせながら言う。
「言われたとうりやっただけなんだけど……」
時間は結構前までさかのぼる。
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俺の名前は神野亮太15歳だ。
高校生だ。
何てことはない、普通の高校。少し偏差値は低いが、やはりそれを除いても普通だ。
入学したとき、入学と言う普通の事を、普通に喜び、周りもそれぞれ普通におめでとうと言う。
そんな普通な俺。
趣味はラノベを読んだり、漫画読んだり、ゲームをしたり、でも好きなだけで別にそこまこまで得意でもない、一家言持っていることもない。
まさしく普通、最近の高校生と言った感じだ。
自分で言っていて悲しくなるほど普通だ。
そう悲しくなるほど、だから高校生になったら変われるかなと普通に思った。
……
だがそれも無理だった。
まずそんな機会さえないのだから。
だが、現実とはえてしてそういうものだ。
そんな感じで7月上旬、俺は死にかけの猫を拾った。
今にも息を引き取るんじゃないかと思うほどの重症。俺の家はペットを飼っていたので近くの動物病院の場所は知っている、お金もある。
そして何より、これで変われると思った、なにかが……そんな理由で俺はこの猫を助けることを決めた。
だが、その猫を助け隠れて飼うこと2ヵ月……
その猫を助ける際に事故に遭った……
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目が覚めたら、真っ白なごく普通の椅子と机があるだけの部屋に俺はいた。
「あなたが死ぬ寸前だったので助けさせていただきました。」
え、えっ?
「……クスクス」
「ど、どういうことですか?」
声の主を探す、だが見つからない。
「少し試したくなったんです、あなたの可能性を」
なるほど
……意味が解らない……
いや、意味は分からないが、とても主人公感のある台詞を言われている。
それだけは分かる。
てかそう思いたい。
「そんなに警戒しないで大丈夫よ」
気持ち悪い笑いが出てしまいそうだった顔が警戒色に見えたらしい。別に警戒していたわけではないが、少し肩に力が入っていたのかなだめられる。
とりあえず一番気になることを聞くことにした。
「ここはどこですか?」
「世界の狭間という感じかしら…………」
「俺、これからどうなるんですか?」
「うーん、そうね、神の力か竜の力、どちらが欲しい?」
「両方ですね」
「珍しい回答ね、しかも、即答」
「この流れは、ほぼ間違いなく異世界に飛ばされると思われるので、多いに越したかとはないかと」
「大正解、なら私が誰か解るかしら、クスクス」
そこで少し考える俺、先程神の力か竜の力か、言っていたのでその2つよりは上だろう、だがその割には、部屋が簡素というかなんというか、まさか誰かに頼まれたのか?だが頼まれてそんなことするか?ならお金を貰っている?はっ!
「バイトの……神様っ」
足を組ながら(キリっ)…………あっ言い方まちがいた……
バイトで、来た神様と言おうとしたのに…………
「っ…………ぷっっ!」
「ど、どうしたんですか」
「い、いやっ……バイトの神様てっ……」
先程いった俺の渾身の言い間違えを笑っているようだった。
いや笑われるのはいいんだけど、この方の感性がわからない。
ひととうり笑ったところで、「ふー」と一息いれ。
「残念ながら違います」
ニコッと上から吹き出しがでて
「私は全神を束ねる、最高位の神です」
「あ、そうですか」
…………
「は、反応が薄いですね!?」
「は、はは…………」
「くっ! ま、まぁいいでしょう、私も別に敬って欲しいわけでは御座いませんから」
「で、結局力は貰えるんですか?」
「あ~、その事ですが、条件があります」
「と、言うと?」
「少し、恥ずかしいですが」
お、おほんと咳払い、
「もともと行く予定だったのですが、」
すーはーと深呼吸をする声
「一人で異世界行くのが寂しいので一緒に行きましょう!あ、ついでに私の力あげますっ」
と早々と言った、
「は、はい、いいですが……」
「い、言いましたね! で、ではっ!」
一拍入れ彼女は言う
「汝、神野亮太に異世界への道と共に我が力、その全てと、今は亡き、伝説の竜の宝珠を!!」
そう言うと俺の体が少しずつ光の粒子となり、消えていく
最後に彼女が一際大きな声で、
「我が名は、ゼウス!!」
と言い放ったのだった。
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意識が少しずつ戻る。
ゆっくりと目を開ける。
眩しい、強い光が自分に当たる。
現在の位置確認、そして先程までの記憶を思い出す。
「夢じゃ、なかったのか……」
と腕を組ながら言う
「当たり前じゃないですか、」
……………………誰!?
となりを見る。
金髪美少女、背は普通?、とりあえず、
あったことはないはず……だよね?
「だ、誰ですか!?」
「え、さっき話してたじゃないですか、私ですよ、私」
「も、もしかして…………はっ……ワタシワタシ詐欺ですかっ!?」
バシッとどこからか取り出したハリセンで叩かれる。
「いてっ」
微妙に痛い、と思いながら頭をさする。
「も、もう忘れたんですか!? ゼウスです!最高位の神、ゼウスです!!」
「えっ、えっっーーー!? こ、こんな美少女だったんですかーーー!?」
とビックリしつつ、
これからのことに心踊らせるのであった。