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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
NEXT STAGE

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神々の戯れ・トーナメント戦、始まる

『異世界ライフの楽しみ方』のメインストーリーは完結しています。

 NEXT STORYから始まる物語は全て後日談であり、連載されるかどうかは神のみぞ知るです。

 まあ、火金日曜日あたりが順当でしょうか?

 第一ブロック予選が終わると、次々と残りの予選が始まる。

 

 その日の夕方には、無事に本戦参加者の十六名が選出され、掲示板に張り出されていた。

 ドリントル派閥の妨害があったかと思われたが、そこは光の精霊ルクスが公正な処置を行ったのである。



・第一試合

 レイフェ(バッハド派)

      VS 

 フタングル(フリー)



・第二試合

 ティターナ(ドリントル派)

      VS

 カットデール(フリー)


・第三試合

 ズブロッカ(バッハド派)

      VS

 朧蒼月(和国、武田坂昌派)


・第四試合

 ガルシア(フリー)

      VS

 アルペウス・フリード(フリー)


・第五試合

 ラルバ(ドリントル派)

      VS

 ケーニッヒ12世jr(隣国フォンターナ第二王子)


・第六試合

 ストーム(バッハド派)

      VS

 ガルシア・マーレィ(隣国グリスタッド第三王子)


・第七試合

 オットー・デフストア(隣国フォンターナ派)

      VS

 アイゼンナッハ(魔族)


・第八試合

 オデッセア(ドリントル派)

      VS

 一条寺玄(和国、武田坂昌派)



「……見事に和国が干渉してきたか。ついでに魔族までとは、面白くなってきたぞ」

「ストームさん……この二国は隣国でして、ヴィラール精霊王国とは昔から仲が宜しくないのですよ。ですが、先先代王家の時代までは不干渉を決めていた筈ですから、何かあったのかと」


 淡々と説明するズブロッカに、ストームは目を丸くする。


「あ、あれ? ズブさんはこの国出身なのか?」

「ええ。そこそこには内情は理解していますが、先王と現王の時代は分かりませんね」

「そうか。因みに本気で潰したら、相手国はどう出る?」

「さぁ? あんな下衆な国は潰して結構かと」


 あ、何かズブロッカがダークモードに突入しそうである、くわばらくわばら。

 そんなこんなでこの日は皆、航空母艦・翔鶴さんに戻って英気を養う。

 試合は翌日から、果たしてどんな結末になるのか。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 明けて翌日、第一試合。

 フリー冒険者のフタングルという重騎士とレイフェの試合である。

 両者ともに重装甲の両手剣待ち、一発で試合が終わってもおかしくない状態である。


「フタングルさんとやら、貴方はドリントル派ですか? それなら容赦しませんけど」

「あ〜、オラはそんなんじゃねえだよ、フリーの冒険者だ、田舎では猪狩って生活していただよ」

「では、正々堂々と戦いましょう」

「そうだなや、そんじゃ全力で行かせてもらうっぺ」


 実に気の抜けた会話であるが、いざ試合が始まるととんでもない状況となった。


──ズドドドドドドドドト

 両手剣を下段に構えたフタングルが、とんでもない高速でレイフェに走って来る。

 そのまま慣性にまかせた大振りの一撃を叩き込んでくるが、レイフェも大きく弧を描きつつ両手剣で受け止める。


──ガギィィィィーン

 お互いに打ち鳴り響く剣劇の音。

 そして意外にも、レイフェの両手剣が砕け散った‼︎


「「何だと?」」


 それはレイフェと、観客席で見ていたストームの声。まさかストームの鍛えた剣が破壊されるなど思ってもいなかった。


「何だありゃ、どこのどいつが鍛えた剣だよ……鑑定アプライズと」

『ピッ……神剣フラガラッハ、異界の神の剣であり、漂流神具の一つ』


──ズルッ

 思わず椅子から落ちそうになるストーム。

 まさかの神剣の登場に、顎が外れそうになる。


「ストーム様、まさかとは思いますがレイフェはピンチなのでは?」

「かなりヤバイ。ありゃ光神ルーの剣で、ぶっちゃけると『相手は絶対殺す剣』だ。神威がない存在なら、一撃で魂が破壊される代物だぞ……と、やばい‼︎」


 ストームが解説している最中にも、武器を失ったレイフェは壁側まで追い込まれてしまう。


「オラ、これで優勝して王様になるだ、精霊の為の良い王国を作るだよ‼︎」


──ブゥン

 横一閃。

 それはレイフェの反射速度を大きく上回り、彼女の体に直撃した。


「なんのっ、秘技・腹筋白刃取りっっっ」


──ドゴッ

 直撃を受けたレイフェだが、胴体が分断させることはなかった。

 深さ3センチでフタングルの刃が止まったが、レイフェはニィッと笑って手をあげる。


「こうさーん。私負けましたわ、反対から読んでも私負けましたわ」

「勝者、フタングル‼︎」


──ウワァァァァァァァァ

 会場内に喝采が起きる。

 そしてレイフェはフタングルと握手すると、右拳を上げて会場を後にする。

 そしてフタングルも控え室へと戻ると、第二試合の選手が会場内にやってきた。


………

……



 選手控え室。

 レイフェは椅子に座ると、脇腹を静かに押さえている。よく見ると、その傷は体の反対側まで突き抜けている。


「斑目師父の、黄泉送りかぁ……あれ以上動いていたら、本当に死んでいたよ、瞬時に治癒の術式を使わなかったら即死だったよね?」


 傍に立っているストームに、レイフェは問いかける。


「まだまだ世界は広いっていうことだな。俺の自慢の一本だったが、神剣相手だと流石に分が悪すぎだ。まあ、しばらく待っていろ、渾身の一本に鍛え直してやる」

「……ふぇぇぇぇぇ……」


 レイフェは泣いた。

 本気で戦って、そして本気で負けた。

 その悔しさが、また彼女を強くするだろう。



………

……


 第二試合は一方的であった。

 ティターナが召喚したのは、炎の上位精霊・異界の神の名を持つ『ヒノカグツチ』。

 対するカットデールはフリー冒険者ではあるが、ドリントルの庇護を受けている。

 そんな理由など知る由もなく、カットデールは一撃でヒノカグツチの振るう『炎の剣』により敗北。



 そして第三試合のズブロッカVS朧蒼月では。

 

 

「では、朧蒼月、参る‼︎」


──ガチャッ

 目の前の壮年侍の構えは、古強者と呼ぶにふさわしい型。一片の隙もなく曇りもない。

 ただ一撃に命を掛ける、薩摩武士の構え。

 そして、ズブロッカやストーム、マチュアはその構えを知っている。


「斑目さんと同じ型ですか……」

「其方は、我が師をご存知でしたか…。師は今何処に?」

「斑目さんは、幻影騎士団の副団長として、立派な最後を遂げました……」

「……左様ですか。では、参ります。師を嘆くのは試合の後としましょうぞ」


──スン‼︎

 その朧の言葉の刹那。

 空気が凍りつく。

 彼の周囲には、小さな雪の結晶が舞い始める。

 こんな技など、ズブロッカは見たことがない。

 刀術はあくまでも技巧、そこに闘気を載せるのが奥義。だが、刀術に『精霊を乗せる』技など見たことがない。


「精霊刀術・一の型‼︎ 朧雪」


 上段から一気に刀を振り落とす。

 その衝撃波に氷が纏い、幾つもの氷の刃が生み出され、飛来する。


炎の魔神イグニス‼︎」


──ビュゥゥウ

 ズブロッカの呼びかけで炎の魔神が召喚されると、氷の刃を全て溶かした。


「水の精霊魔術・氷結牙を刀術に乗せるとは、貴方、凄いわね」

「お褒めに預かり恐悦至極。では‼︎ 精霊刀術・二の型っ‼︎ 雪月花っ‼︎」


 ズブロッカの周囲に無数の氷の鏡が生まれる。

 朧はその鏡に向かって斬撃を飛ばすと、別の鏡に向かって斬撃を転移させた。

 全く予測のつかない方向から斬撃が飛んでくるが、やはりイグニスが鏡を溶かしてしまう。


「……二の型も通用せぬか」

「初見なら受けていたでしょうね。じゃあ、私もそろそろ行くわよ……出でよクラーケン‼︎」

 

──ドゴォオォ

 突然朧の目の前に水の上位精霊クラーケンが生み出される。

 これには朧も頬を痙攣らせるしかなかった。


「氷結鏡‼︎」


 そして朧の周囲に氷の鏡が生み出された時、朧はその場に正座し、刀を前に置く。


「よもや、相性の問題だけで敗北するとは。ズブロッカ殿は、拙者と同じ水の精霊魔術の使い手であったか……降参でござる‼︎」


 余計な血を流すことなく、第三試合は無事に終了した。

 だが、会場はにわかにざわつき始めている。


「あのエルフ、クラーケンを召喚したぞ‼︎」

「そんな馬鹿な‼︎ クラーケンは先先代王家にしか仕えていないはずだ、どうしてそれを……ズブロッカ?」

「え? ズブロッカってまさか……」


 会場のざわめきが最高潮に達する前に、ズブロッカは慌てて会場から逃げるように走った。

 

 『先先代王家の血』が大闘技会に参加している。


 それだけで、会場はクライマックスに達した‼︎



………

……



「え? あのズブロッカさんって、先先代女王シャルロッカ様の妹君? え? 私の王位は無くなりましたか?」


 貴賓席で呆然としているバッハド王。

 そこから少し離れた場所に座っていたドリスタンも、頭を抱えて椅子の上で苦悶の表情を見せている。


「な、何故だ、どうして先先代の血が、バッハドを応援している? どうして上手くいかない‼︎」


 考えろ、まだ一回戦だ、まだ対策は練ることができる。そう呟きつつ、ドリスタンは椅子から立ち上がると、貴賓席から離れていった。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯

 


「ふぅ。やっぱりバレたじゃない。この国の民の半分近くがエルフなのよ? 私の事を知っている人が居ない筈ないじゃない」


 控室では、ズブロッカが戻ってくるのをストームやマチュアが待っていた。

 当然、神である二人にはズブロッカが何処の血筋なのか理解している。その上で、敢えてバッハド王の代理人を頼んだのである。


「バレたらバレたで、先先代王家が手を貸した王家って言う箔はつくわよ。御免なさいね、ズブロッカさん」

「まあ、うちの八葉騎士団はそんなのばっかりだからなぁ。王様やら王家の血筋やら、勇者の仲間だったやつやら」


 指折り数えると、とんでもない事になっている。


ストーム     :現・創造神 

十六夜厳也    :破壊神マチュア

マチュア     :カリス・マレス統合管理神

筧十四郎     :亜神(創造神眷属)

ズブロッカ    :元ヴィラール精霊王国・王家

ワイルドターキー :ドワーフ

ポイポイ     :元、二代目勇者パーティ

ウォルフラム   :古代種ローディカントの王


「……八葉騎士団で世界を手に入れられるレベルだぁね。でもさ、ターキーさんだけ普通のドワーフ?」

「ええっと、確かターキーはドワーフの中でも古代種ローディガントに属するはずですわ。エルダードワーフ種の筈ですよ」

「へぇ……そんな種族知らないなぁ」

「俺もだ。まだまだ世界は広いと言うことか」


 腕を組んで考え込む神様ズ。

 それを横目に、レイフェとズブロッカは体を休める事にした。


………

……


 事態が急変したのは、第五試合。

 隣国のケーニッヒ王子とラルバというドリントル派の対決で、ラルバは一方的な試合運びを行い、ケーニッヒ王子は何もすることができないまま……。


 首を刎ね飛ばされ、絶命した。


 

誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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