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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
NEXT STAGE

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神様の戯れ・異世界出向命令

『異世界ライフの楽しみ方』のメインストーリーは完結しています。

 NEXT STORYから始まる物語は全て後日談であり、連載されるかどうかは神のみぞ知るです。


 その日。

 朝から何か嫌な予感がしていた。


 いつものように朝一番での閣議を終え、ストームは謁見の準備の為に大広間へと向かう。

 このルーティンワーク化された日々が始まってから、もう6年が経つ。

 

 マチュアの本体がこの世界から旅立ったのも凡そ6年前、その間は努めて平穏な時間が流れていた。



「ふぅ。この平穏な日常も嫌いではないが、偶には心を躍らせるような何かがあっても良いのだがなぁ」



 ストームの第一子は今年6歳、後4年で学校に通う年になる。

 マチュアがイェソド世界で作った魔導学院を、カナン魔導連邦に作ったのが5年前、その翌年からは子供は10歳になると学院に通う権利を手に入れられる。

 当然ながら入学試験はあるらしいが、基本10歳の子は名前と年齢が言えて、親の許可があれば入学する事が出来る。

 カナン魔導連邦に戸籍がある人間については13歳までの三年間は無料で通う事が出来、授業も午前中で終わる。そしてランチを食べたら帰って、家の手伝いをするのが普通らしい。


 このカナンの制度については賛否両論があったらしいが、このラグナ・マリア帝国でマチュアに逆らえるのは皇帝と剣聖、そして六王会議による全会一致の採決のみ。

 そしてマチュアが否決権を持っているので、実質は皇帝とストームだけがマチュアを止める事が出来る。

 より良い学問は身分あるものが修めるべきであるという、旧態依然の貴族の反発は全てカウンターアタックで吹き飛ばし、カナン魔導連邦では『王立・カナン魔導学院』が始まったのである。

 そして貴族の子息達はこぞって魔導学院への入学を希望したのだが、優先順位の関係で他の王領貴族の枠は少なかった。


 カナン住民 > 他国住民


 この住民の中のランクはなく、貴族も一般市民も一律『住民』である。

 そして貴族が権力を振るうことを良しとしないマチュアの方針により、カナン魔導連邦では大きな騒ぎにはなっていない。

 それでも、他国から実力で入学した子息達は権力を振りかざし、結果退学処分になった者も少なくはない。

 結果として自国の王家に嘆願書を出し、六王会議で否決される。

 この流れが幾度となく繰り広げられているのだが、貴族の持つ権利を守らないとならないという皇帝の意見もごもっともである。

 なので、カナン魔導学院では随時編入試験を行なっている。

 まあ、普通の入学試験よりも難易度が高いので、再編入の道はかなり高い。



「父上‼︎ 父上‼︎」


 ベルナー双王国・王太子のアステル・ラグナマリア・ゼーンは和かに王座に座っているストームの元に駆け寄って来る。


「ん? 今日はベルナーじゃなかったのか?」

「はい‼︎ベルナー双王国にいました。それでですね、これを届けて欲しいと『御使様』から預かってきました」


 背中の収納ポータルバッグから『神々の回覧板』を取り出すと、アステルはストームに、差し出す。

 それを笑顔で受け取るのだが、ストームに言わせると嫌な予感がこれだったと的中した。

 恐る恐る内容を確認すると、いつもの『創造神タイムス』と近所の24の創造神世界での催し物情報などが書き込まれている。

 但し、最後のページを見て、ストームは絶句する。



『創造神ストーム並びに破壊神マチュアに、異世界出向を命じる。期間は無期限、但し帰還時の時間調整は出発から1日後の帰還となる』


 マジかよ。


「はぁ、いくら暇だから何か起こらないかなあっと言っても、ここまでとんでもない事が起きるとは洒落にもならないぞ」

「どうかなさいましたか、父上‼︎」

「まあ、明日から出向だ。翌日には戻るからとシルヴィーに伝えておいてくれ」

「はい‼︎」


 元気な返事をして、部屋から飛び出していくアステル。

 その後ろを、コッソリと十四郎が追いかけていくのはいつもの光景である。

 幻影騎士団・ストーム付き隠密の職からアステル守護に回った十四郎は、このように毎日アステルに振り回されている。

 それを苦笑しつつ眺めていると、謁見の時間になったらしくキャスバルが室内に入って来た。


「さて、とっとと終わらせて、あっちのマチュアと合流するか」


 ゴキゴキッと肩を鳴らしつつ、ストームにとっては退屈な、ご機嫌とりの貴族の相手をする時間が始まった。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 破壊神マチュアの創造世界。

 第三世界であるルナ・アコンカグヤ世界、惑星ルシフェル、ロスフェルド大陸中央山脈。

 その麓に広がる広大な森林のど真ん中に、マチュアの作った国がある。

 国名は『カナン森林王国』、森林を取り囲む12の王国の脅威に晒されながらも、国内はまるで何事もなかったかのように平和であった。


 因みにカナン森林王国はマチュアが冒険者としてこの森林を伐採し、森の主と世界樹にお伺いを立てて建国の許可を貰った。

 当然ながら周囲の国家からの反発もあったのだが、大きな戦争になる前にマチュアは相手国国王に対して『一対一の代表戦』において戦争を終結させないかと提案。

 結果としてカナン魔導王国代表のマチュアと対戦国との戦いとなり、マチュアは連戦連勝を収める。

 一度は負けたにも拘わらず軍隊による侵攻を開始した国もあったが、それもマチュア1人の力で全滅し、やむなく侵攻を停止する結末となった。

 そして12国全てがマチュアに負け、結果として森林地域の支配権をカナン森林王国が握る事となった。


「……はぁ。まさかここにまで回覧板が届くとは思ったなかったわよ。どれどれ、みふぁそらし……ど?」


 一つ一つ確認して納得するのだが、最後のページでやはり目が止まる。



『創造神ストーム並びに破壊神マチュアに、異世界出向を命じる。期間は無期限、但し帰還時の時間調整は出発から1日後の帰還となる』



 何じゃこりゃ?

 まさかの『始祖神カルリマコス』からの勅命。

 これに逆らうほどマチュアは愚かではない。

 殴り合って確実に負ける存在に対して、喧嘩するなどあり得ない。


「はぁ。面倒臭い三割、おらワクワクすっぞ七割の自分が嫌だわぁ。ええっと、出向先は三ヶ所か。詳細はストームと合流後、追って指令書が届くと」


 頭を抱えたくなるが、この後は閣議がある。

 カナン森林王国は王政でありながらも民主主義を貫いている。

 具体的には、『絶対不変の総理大臣』がある日本国って感じかな。国にとって必要なものは選挙によって選ばれた市民と貴族によって構成される48名の『カナン国政院』で話し合いが行われ、多数決によって決定、その後、マチュアの採択によって最終判断が行われる。

 この場合、マチュアは国にとって必要なものかどうかを判断するだけであり、自分の好き嫌いで判断はしない。

 

 結果、カナン森林王国は国民にとっての理想的な国として成立した。

 税金は年に一度の国民税、18歳以上の全ての国民が所得に応じて支払う事が義務として設定された。そして税金を支払ったかどうかは、マチュアが国民すべてに発行した魂の護符(ソウルプレート)によって一律管理されている。

 何といっても、カナン森林王国には大勢の治癒魔術師がいる。

 マチュアが育てた、森林王国内でしか使えない特別な治療魔術を身に着けた魔術師達。

 彼らが『治療院』で国内に住む人々の怪我や病を癒している、いわば病院制度がある。

 魂の護符(ソウルプレート)を持つものは治療費は三割負担だけ、持ってない者は全額負担。

 18歳未満の人々は一割負担となっている。


 尚、この世界には魔法は存在するものの第一聖典(ファースト)までであり、第二聖典(セカンド)が使えるものは賢者とか大魔法使いという立場として国に徴用されている。

 回復魔法に至っては神聖魔法第一聖典(ファースト)の簡単な回復系しか存在しないし、何より『創成教会』という創生神を祭った教会の高位の司祭しか使う事が出来ない。

 結果として魔法が使えるものは国によって徴用されるか、創成教会によって半ば強制的に連れられて行き、無理やり登録させられてしまう。

 カナン森林王国の周辺にある国々の中で、最も大きいものが軍事強大国であり12の小国を属国として所有している『アンガス帝国』、次が創成教会のおひざ元の『ケルン神聖王国』。そして魔法使いが多く所属している『レンネ魔導王国』。後はどんぐりの背比べ程度の国であり、カナン森林王国は常にアンガス帝国とケルン神聖王国、そしてレンネ魔導王国から属国になるように再三、使節団が送り込まれている。


 それでも、全ての使節団はつっぱねられて帰国を余儀なくされ、その都度アンガス帝国の『侵略戦争』やケルン神聖王国による『聖戦』の対象となっている。

 まあ、それでもカナン森林王国には、マチュアが施した『敵性防御結界』が施されており、国やマチュアに対して害意を持つものは全て森に入る事すら出来なくなっている。



「マチュア様、そろそろ閣議のお時間です」

「はいはい。そんじゃあ閣議にいきますよ。後、私一日だけいなくなるから、その間は宰相に全て任せるので」

「はぁ、いつものお戯れですか。ではお気をつけて‥‥‥の前に、急いで決めてしまわないとならない事案を決めてしまいましょう」


 宰相に促されて、のんぴりとマチュアは閣議に向かうのであった。



 〇 〇 〇 〇 〇



 ストーム世界神域・エーリュシオン

 その創造神の間、別名『ゴールドマン・ジム』のソファーに座って、マチュアはテーブルの前に並べられている三つの書簡を眺めている。

 どれもまだ封蝋は開けられておらず、マチュアとストームの二人の神威が注がれないと開く事は出来ない。


………

……



「それで、これが『使徒宅配便』が持ってきた書簡かぁ。どれから開けるの?」

「そこなんだよ、マチュア。今回の指令が、開けたやつからクリアすることっていう条件なので、開けたら最後、必ずそれを遂行しないとならないんだよ」

「はぁ。なんて面倒な……でもさ、逆らえる?」

「無理だよな。まあ、報酬がいいからやるしかないんだけどさ」


 今回の報酬は、この三つ。


『異界の神々に対するプロテクトレベルの上限解放』

『隣接異世界の空きエリアの吸収』

『創造神レベルのレベルアップ』


 まさかそんなものがあるだなんで、わたしもストームも知らなかったから、これは渡りに船である。


「それで、マチュアの直観はどれだ?」

「真ん中。という事で左右のどちらかが正解だと思うよ」

「そうさなぁ。こう言う時のマチュアの直観は、一番危険なものを引くって言うお約束があるからな。俺は右だ」

「なら間を取って左から行くか」


 お互い、自分の選んだものに絶大な自信がある。

 絶対やばいのを引くと。

 だから、お互いのお勧めを選んで、それ以外が正解と判断する。

 

──シュォォォォォォ

 2人同時に神威を注ぐと、封蝋がゆっくりと溶けていった。

 そして開いた中身を見て、思わず絶句してしまう。


「指定された小宇宙は、管理神がいない打ち捨てられた世界か。しかも、色んな創造神が勝手に世界を構築しまくった結果、世界が意思を持ったと」

「一つの歴史を幾つもに分割し、それを好き勝手に改良した単一世界による複合世界か。ここの創造神自体はもう別の次元に行って、ここは見て見ぬ振りと」


 数多くの創造神が手を加え、更に分割した世界が独自に動き始めている。

 但し、元々の世界歴史を大きく変化させる事は出来ないので、創造神はそこに逆らわないように小さな歴史変換をして楽しんでいる。

 だが、歴史的勝者を歪める事は出来ないので、そこに触れないように遊ぶのが暗黙のルール。

 

 だが、今回は違う。

 指名手配された『反逆の創造神』は、その、根幹を歪めて己の欲望のままに歴史を改変しようとした。

 そんな事がまかり通ったとしても、他には影響がないかと言うとそうはいかない。

 『反逆の創造神』のランクが高いため、彼の作りし歴史が正史となり、他の世界が消滅する可能性がある。

 そんな事は起きてはならないと、若い創造神のマチュアとストームに白羽の矢が立ったのである。



「それじゃあ、行きますか。マチュア、詳細設定を頼む」

「ほいほいと。指定された小宇宙は『アルバトミーノ』、時代は宇宙世紀UC0079、一月一日。創造神の開始指定座標は地球、日本国の片田舎からスタート……設定完了」

「追撃対象創造神は『反逆の創造神トークミーツ』、神威コードネームは『信楽焼のアバ王』。修正必要歴史は『一年戦争におけるジオン公国の圧勝、そしてジオン公国によるスペースノイド自治権の確立』か。マチュアや、俺もあっちに付きたいんだが」

「いゃかましいわ、正史は地球連邦の圧勝でしょうが。とっとと行くぞよ」


──ブゥン

 マチュアとストームの足元に巨大な魔法陣が展開する。

 そして深淵の書庫アーカイブが2人を包むと、静かに転移が開始された。

 

誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


なお、次回『小説家になろう』で更新される物語は、今回アップされた三つの世界を救って帰ってきてからの物語であり、宇宙世紀やイルファーロ、◯◯◯◯◯の三つの世界での物語については此方では『書けません、上げられません』のであしからず。

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