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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第15部・異世界ライフの楽しみかた

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エピローグを語ろう・その8・世界と宇宙と引っ越しの準備

『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。


――ピッピッピッピッ

 自立思考型機動要塞・モーガン・ムインファウルの制御室で、マチュアはじっくりとモニターを観察していた。

 制御盤にセットしてある魔導制御球(デウスエクスマキナ)に神威を全開で注ぐ。

 すると、モニター及び深淵の書庫アーカイブに見た事のない画像が表示され始めた。

 それは、広大無辺に宇宙の全図。

 それが透き通った線で格子状に分割されている。

 辺の一片の長さはマチュアには理解できない。

 ただ、この全図によると、宇宙とは目に見えない正四角形によって無数に分割されている。


「‥‥いゃあ、これは‥‥知りたくなかったわ‥‥」



‥‥‥

‥‥


 『始祖たる神カルリマコス』の作りし世界とは、この宇宙そのもの。

 そこをカルリマコスの神威による壁によって小宇宙として分割され、それぞれの創造神に分割貸与されたものが、今の世界。

 一人の創造神に与えられたのは、一つの小宇宙と、それを24の多次元世界へと作り替える権利。

 神々は一つの小宇宙を、全く同じ姿の24の世界まで作り出す事を許されていたが、隣り合わせの創造神同士の世界は全て神威の壁によって閉ざされていた。


 だが、その神威の壁は決して人の目には触れる事がない。

 人の文明が進化し星から飛び出し大いなる宇宙へと進出した場合、いずれはその神威の壁にたどり着くと思われているが、実際は辿り着く事は出来ない。


 この全ての世界で、今だ、そこまで高度な文明を持つ世界は生まれていなかった‥‥。

 いや、正確には『今は存在していなかった』というのが正しいであろう。

 壁を越えた時、彼らは壁の向こうの未知なる存在に出会う。

 その結果、一つの例外もなく『星間戦争』となっていた。勝ち残った世界の管理神は新たな世界に進出し、負けた世界の管理神は勝利した世界の管理神に世界を譲渡するというルールがあるらしく、それに従って世界は拡張を続けられるらしい。

 そして負けた世界の管理神は‥‥次元潮流に流され、『外なる世界の神』となって漂う存在となる。


 このような神々の歴史が彼方此方あちこちで繰り広げられ、神々は淘汰を繰り返していた。

 


‥‥‥

‥‥



「はぁ。これって特秘情報じゃないかなぁ‥‥何でこんなデーターが、魔導制御球(デウスエクスマキナ)に封印されていたんだ?」


――ピッ

 マチュアの問いかけに、深淵の書庫アーカイブが高速演算を開始する。


『これは封印ではない‥‥全てカルリマコスの残した碑文であり、それを見る事が出来たものに与えられる権利である‥‥』


 深淵の書庫アーカイブに表示される文字配列。

 そこに記されているのは、過去にこのデータを見ることのできた幾人もの創造神の名簿。


 フィアデルイェーリヒ

 シュテッヒ・パルメ

 ザ・レッドキャッスル

 ツバメ

 等々

 

 誰もが自らの世界を手に入れた創造神たち。

 その中に、マチュアやストームの名前が記されているのに気が付いた。 


「ふぅん‥‥取り敢えずは、私達もカルリマルコスに認められたのか‥‥それで、この制御球は浮遊大陸シリーズの制御球としての存在であり、次元潮流を移動する為の鍵でもあると。これを授けられたものが、創造神として小宇宙を得られると‥‥ふむふむ」


 まるで新人創造神マニュアルのように様々な説明が記してあるので、マチュアはモーさんの設定を放置してマニュアルをじっと読み始めた。



 〇 〇 〇 〇 〇 

 

 

 一週間。

 マチュアはのんびりとマニュアルを確認し記憶し、そして必要な手順を一つ一つ吟味して魔導制御球(デウスエクスマキナ)にインストールしていた。

 よりスムーズに新しい世界を作るため、星の創造などの手順を確認すると、マチュアは最後に必要なものを吟味し始める。


「生命体‥‥だよなぁ」

「ほほう、マチュアはまだ知らなかったのか。新しい世界はな、三通りの作り方があるのじゃよ」


 ちょうど食堂で夕食を食べているマチュアとイェリネック、アーカムの三人が、今後の手順について話していた。


‥‥‥

‥‥


 イェリネックの説明では、世界の創造についてはおおよそ3つのパターンがある。


 一つ目は、現存する創造神から譲渡してもらうか奪い取る。

 これはすでに存在している世界の権限を書き換えてもらうだけなので、一から作る必要がないので楽である。


 二つ目は、世界創造スキルを使って星から作る方法。

 ぶっちゃけると星の完成から生命体の誕生、進化までをフローチャートのように綿密に入力して始めるのであり、完成まではとんでもない時間が経過してしまう。


 そして三つ目が、二つ目の方法をチートスキルで加速する手段。

 単純に説明すると、二つ目の手順をインプットした直後に、自分の小宇宙の時間を何十億年、何百億年単位で加速するという方法。

 大抵の新人創造神はこの手で世界を創造し、自分の知っている時代まで時間を進めてから元の時間軸に調整する。

 ただし、これは失敗して世界が崩壊するという緊急事態には対応が効かず、気が付いたときには折角出来上がった文明が崩壊しているという結末を迎える事も珍しくない。

 特に新人創造神はこのパターンで自身の管理出来る世界をいくつも失っていく事もあり、最悪は作るのをやめて他の創造神に世界を譲渡してもらう事もあるらしい。


‥‥‥

‥‥


「成程なぁ。さすがはイェリネックだね。そのあたりは詳しいんだ」

「先日も、stormが第9世界ラグナ・マリアを創造したばかりじゃからなぁ。ちなみに使った方法は三つ目。全ての管理神もサポートしたので消費神威もかなり抑えられておった。それでも半分以下まで削られたので、守りが薄くなってあのざまじゃよ」


 先日の外なる神の侵攻のことをイェリネックは告げている。


「なら、私達三人だと?」

「アーカムはまだ眷属レベルなので、マチュアの世界で管理神となる必要がある。それはまあ、任命するだけでなれるから問題ないのじゃか、三人で世界を作るとなると‥‥せいぜい作れても一つだけじゃなぁ‥‥」

「あら、私もついに神の仲間入りなの?」

「そーだね。アーカムにも管理神を頼むことにするよ。魔法を管理する神、魔導神アーカムね。イェリネックは今まで通り魔神で。ああっ、神が足りない‥‥」


 頭を抱えてしまうマチュアであるが、だからと言ってむやみやたらにこっちの世界の人間を連れていく事は出来ない。

 それに、こっちの世界ではまだ破壊神であるので、うかつに眷属を増やす事も出来ない。

 マチュア麾下が増えれば増えるほど、こっちの世界が歪んでしまうのである。


「足りないねぇ‥‥それでどうするの?」

「アーカムは何かいい案はない?」

「私にはないわよぉ。裏技のデパートって言われているマチュアにないのですから、同じ思考パターンを持っている私には‥‥せいぜい、今の時点でマチュアの加護を得ている方に協力を要請する程度とか?」

「私の加護ねぇ‥‥カルアドでは加護なんてばら撒いた記憶もないし、私の加護なんてせいぜいシスターズとかしかいないわよ? でもあの子たちは駄目。こっちの世界には神格が管理神にまで高まった私が残っているんだから、あの子たちにもサポートして貰わないとね‥‥」


 そう告げると、マチュアはもう一度考える。


 カルアドでの加護、ジ・アースでの加護

 カリス・マレスでの加護、オフィル・アニマスでの加護

 フェルドアースでの加護、ルーンスペースでの加護。


 6つの世界と干渉したマチュアだが、人に与えた加護となるとそうそうない筈である。

 だが、破壊神の与えた加護ならば?

 先代破壊神であるナイアールの与えた加護は、今はマチュアの加護に上書きされている。

   

「そうか。破壊神の加護を得た者達、破壊神の眷属を集めるという手もあるのか」

「うむ。この世界には、破壊神の加護を持つものはもはや必要ないからのう‥‥」

「そこだよイェリネック。ではリストをさっそく見てみましょうかねぇ‥‥」


 すぐさま深淵の書庫アーカイブを展開すると、マチュアは破壊神の加護を持つものをリストアップしてみる。

 だが、残念なことに破壊神の加護を得ていたもので生き残っている人間は皆無であり、魔人族や魔族の一部が本当に微小な加護を得ていただけである。

 そのような者達では、マチュアの眷属化に耐えられる事もなく、ましてや管理神への昇華など期待出来るものではない。

 微小な加護故、こっちの世界でも大したことを起こせる筈もなく放置しておいてもいずれは消滅してしまうだろう。


「ありゃあ‥‥つてあれ? アーカムとかエクストラって使えるんじゃね?」

「アーカムは無理じゃのう。あれはstormが管理しておる。マチュアの管理しておるエクストラ程度なら、マチュアの管理神に使えるようには出来ると思うが、ここではやめておくのじゃ」

「そっか。なら、この件は保留しますか‥‥とお昼も終わったから、次のステップに進みますか」


 ニイッと笑いつつ立ち上がると、マチュアは制御室へと戻る事にした。



 〇 〇 〇 〇 〇 



 一か月後。

 ただひたすらに世界を作り出す設定を繰り返していたマチュア達。

 それも最後の手順以外は全て完了した。


「命の樹形図、生命の樹、進化の調整、DNAの変異‥‥チェックおっけー」

「星の創成プログラム‥‥と、ふう。やっぱり管理神一人と眷属一人では、手順を省くのも不可能であるのう‥‥マチュアよ、ここまでで出来る事は終わらせたぞ」

「も、もう無理。私は寝てもいいわよね? マスターアップ前のゲームプログラマーのような経験はもうやりたくはないわ」


 椅子から転がり落ちて床に突っ伏してしまうアーカム。

 すぐに寝息を立ててその場で眠ってしまいそうになっている。


「もうだめ‥‥動けないわよ」

「はいはい、ありがとうね‥‥イェリネック、申し訳ないけれどアーカムを寝室まで届けてあげてくれるかしら?」

「ん? 別に構わぬが、マチュアはどこかに出かけるのかえ?」

「管理神マチュアはエーリュシオンで神様研修しているから、私が代わりにカナンで仕事してくるわよ。ま、あっちもこっちも私だからダブルブッキングする事はないんだけれどね‥‥それで、アーカム、あんたのマジックジャーはどうするの?」


 元々、アーカムもマチュアと同じくマジックジャーをカリス・マレス世界に置いておく事にしていた。

 目的は特になく、ただ楽しそうだからという理由でこっちに置いておく事にしていたのである。


「そうよねぇ‥‥どうしましょうか?」

「私と同等の魔力‥‥とまではいかないけれど少なくともうちのメンバーでもあんたを超える事は出来ないだろうからなぁ‥‥幻影騎士団に入る?」

「お・こ・と・わ・り。私は気ままな旅でもしてくるわよ。こっちの世界も、まだ半分しか知らないからね。マチュアだって、この星の裏側までは行った事ないでしょ?」

「ないなぁ‥‥そっか、じゃあアーカムはそれでいいよ。そんじゃ、後はよろしくねー」


 手をひらひらと振りつつ、マチュアはモーさんから出て行った。

 


誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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