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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第14部・古きを越えて新しき世界へ

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破壊神と魔神・後編・彼女の世界が変わるとき

『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。

 魔人達の逃げて来た洞窟。

 

 後少しで大転移門ゲートが開放される。

 そうすれば、この人間世界から魔人世界へと逃げ延びる事が出来る。

 魔人達の悲願であるセフィロト統一、そして異世界への侵攻が、マチュアという異物により舵取りの方向を変化せざるを得なくなってしまった。

 

「いいか、結界には絶対に近寄らせるな!! 後少しでダート様が大転移門ゲートを開いてくれる、それまでの辛抱だ!!」


 マジソンの声が洞窟内に響く。

 年老いたもの、子供たち、女性は大転移門ゲート近くまで避難し、どうにか次の攻撃に耐えようと身を寄せ合って魔力を高めている。

 その前方、洞窟入り口へと続く道では、武器を手に大勢の魔人達が集まり、最後の抵抗を試みようとしている所であった。


――カツーンカツーン

 そんな中。

 ゆっくりとマチュアとアーカムが歩いてくる。

 抵抗していた魔人たちの返り血を浴びて鎧が真っ青になったマチュアと、対照的に白いローブを身に纏ったアーカム。

 その二人が最奥の大空洞にやって来るまで、それ程時間は掛からなかった。



「はーい、初めまして魔人の皆さん、そしてさようならっ!!!」

 

――ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン 

 マチュアの周囲に6つの魔法陣が浮かび上がると、そこからゆっくりと炎の槍が姿を現した。

 その数、ざっと60本。

 一つの魔法陣から10本の炎の槍が生み出されると、それは獲物を探すように周囲に穂先を向けている。

 マチュアの魔力保有数、そして魔力強度は、デトロイドが倒された時に想像はついていた。

 それでいて尚、マチュアの魔力はデトロイドを倒した時はその1200分の1程度でしかなかった。

 結果、今、目の前で展開している炎の矢が結界をいとも簡単に破壊出来るだろうとマジソンはすぐさま理解した。


「き、貴様の目的は何だ!! 何故無抵抗な魔人にまで手を出す!!」


 既にマジソンは気合で負けている。

 歩いて来るだけで、マチュアの全身から発している魔力が甚大な事に気付いている。


「ん?このセフィロト世界であんたら魔人が何したか言ってみろ!! 8つの世界の人間を滅ぼしただろう? あんたの言うところの『無抵抗な人間』にまで手を出して‥‥」

「それは人間が愚かな存在だからだ。人間など、我ら魔人種にとっては家畜も当然ではないか!!」


――ヒュヒュヒユヒユンッッッッッッ

 そのボストンが言葉を発した刹那。

 マチュアの周囲の炎の槍が一斉に近くの魔人達に降り注ぐ。

 武装していた魔人達は、抵抗する事も出来ずに炎の矢に貫かれ、そして一撃で絶命してしまっていた。


「な、ば、馬鹿な!! 我ら魔人は」

「肉体など仮初めでしかない、だろう? だから殺したよ、あんたたちの言うところの『精神世界面』に対しての攻撃でね」


 ニィィィッと笑いつつ呟くマチュア。すぐさま次の魔法陣を結界の周囲に展開すると、その炎の槍すべてを結界内の女性や子供たちに向けた。


「き、貴様‥‥貴様ぁぁぁぁぁぁ!!」


逆鱗に触れるとはまさに。

 ボストンの全身が漆黒に染まり、体の彼方此方あちこちから無数の棘が生み出される。

 それが一斉にマチュアに向かって放出されるが、マチュアに届く事はなかった。


――ガギカギガギカギカギガギィィィィン

 マチュアの足元、影の中からポイポイが飛び出すと、全ての棘を忍者刀で弾き飛ばしていたのである。


「ふぅ。油断していないとはいえ、ポイポイの出番をわざわざ作る必要はなかったっポイよ?」

「そぉ? ずっと影の中で待機していたから体なまっていたんじゃない?」

影陣屋敷(シャドウハウス)っていう忍者の術式があるっポイよ。影の中に屋敷を立てて、そこで毎日特訓したりたまに外に出て買い物していたりしたっポイ」


 あんたいつの間にと突っ込みたい所であるが、ポイポイはマチュアの護衛ゆえ、ずっと影の中で待機していても問題はない。


「それでも6年だよ?」

「一日一回は外で遊んでいたっポイ!!」

「護衛の仕事はどうしたと突っ込みたいけれど、まあ、まずはマジソンよねぇ‥‥」


 そう呟いてマチュアがマジソンのほうを振り返る。

 だが、マジソンは今の攻撃を受け止められて自信喪失状態、戦意のかけらすら残っていない。

 そして背後で怯えていた魔人たちも、この後訪れるであろう自分たちの運命に、涙を流して助けを乞うことしかできなかった。


「た、頼む‥‥」


 それがマジソンの精いっぱいの声。

 そして直後、状況は一転した。


――Brooooooooooooooooooooooooooooooooooooooom!!


 結界の横にある大転移門ゲートが突然開くと、そこに配置されていたフェアチャイルドA-10サンダーボルトのGAU-8アベンジャーがマチュアに向かって一斉に火を噴いた!!


「なーーーっはっはっはっはっはっ。どや、うちが『オンラインショップ』で購入した、フェルドアース最強の局地戦用戦闘機の威力は!! うちは扱えないのでゴーレムはんに使ってもらっとるが、人間はこれをくらって生きている筈ないもんなぁ!!」


 開いた大転移門ゲートの向かうで、パタパタと飛んでいる小さな妖精の姿をした魔人ダート。

 さすがにこの不意打ちには、ポイポイも影に逃げるのが限界である。

 そしてマチュアとアーカムは涼しい顔をしつつ後方に吹き飛ばされていった。


「うぉぉぉぉ、痛みも何もないけど物理的に吹っ飛ばされるかぁ、アーカムは平気?」

「亜神なのでダメージはないですけれど、どうしても物理法則は曲げられないのですねぇ」


 努めて冷静に吹き飛んでいく二人。

 そしてマチュアたちが吹き飛んでいくのを確認したマジソンは、急ぎ結界を解除して生き残った魔人たちを大転移門ゲートの向こうへと避難させた。


「「「「「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」」


 生き延びる事が出来た。

 嬉しさに涙を流しつつ、魔人たちは逃げた。

 そしてダートもマジソンの横にパタパタと飛んでいくと、彼の肩口にチョコンと座る。


「よくここまで耐えてくれたなマジソン。でも安心せぇ、あいつはうちがやるからな」

「はっ、ありがたきお言葉で‥‥」


――ブシャャァァァァァァァァ

 ダートの手刀がマジソンの頭部を貫く。

 そして青い鮮血で濡れた手を引き抜くと、大量の魔法石をマジソンの体内から引き抜いていた。


「あほうが、大転移門ゲートまで逃げて来たのは半分正解やけどなぁ、敵を連れて来いとはいうとらんわ‥‥。ちゅーことでな、あんたらともバイバイや!!


 すぐさまオンラインショップを発動すると、ダートは『今、この状態でマチュアたちを足止めできる商品』を購入する。

 

――ポーーーン

 洞窟全域に電子音が響き渡ると、マチュアの頭上から大量の『高密度EFP弾』が降り注いできた。


「なっ、あ、あれは自己鍛造弾? なんでクラスター爆弾の代用品が天上から大量に降ってくるのょぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「死ぬ? あれは死ねますわよ!!」

「そんな筈ないって‥‥」


 そう呟いたマチュアであるが、降り注いでくるミサイルから感じられるのは神をも殺す魔力。


「ま、まさか『神滅の咆哮ミサイル弾』だとぉぉぉ、深淵の書庫アーカイブ起動っっっっ」

「同じく深淵の書庫アーカイブ発動よっ!!」


 すぐさま深淵の書庫アーカイブを発動するマチュアとアーカム。

 かろうじて発動した結界に、マチュアはさらに神威解放・破壊神その1を付与する。

 当然ながらアーカムの分と影の中にいるであろうポイポイにも付与するのだが、同タイミングでミサイルは連鎖爆発を始めた。


――ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ

 大爆発、そして轟音と超振動が大地を襲う。

 洞窟だった場所には直径で1200Mのクレーターが生み出され、内部温度は1500℃を超えていた。


 それが冷えて、やがて固まって深淵の書庫アーカイブの外に出られるようになるまで、マチュアはただひたすらに結界の維持に魔力を注がなくてはならなかった。

 結果としてダートの手によってマジソンは殺されたものの、マチュアはダートの後を追い掛ける事が出来なかった。


‥‥‥

‥‥


 翌日

 どうにか冷気放射によって溶岩地帯を固めて外に出て来たものの、既に大転移門ゲートは消失している。


「はっはっはっ。こりゃあ初戦は私の負けだぁ。まさかあんな手があったとはねぇ‥‥」

「敵がまさか科学兵器を所持していたとは予想外よ。魔術でも対処出来なくなったら終わりじゃない‥‥ってマチュア?」


 深淵の書庫アーカイブから出て来たアーカムがマチュアに話しかけたが、そこに立っていたのはいつものマチュアではなく魔神ルナティクスである。


「ん? お、おおお? 破壊神モード解放しすぎたか、すっかりルナティクスモードになっているなぁ」

「笑っていていいの? それ戻るの? 放出している神威がシャレにならない量よ?」


 そういわれてマチュアは首筋に手を当てる。

 そして破壊神モードを解除するのだが、ふと頭を横に傾げてしまう。


「あれ? The・onesモードのチャンネルが消滅しているぞ? 体内にあったはずの創造神の加護も消滅しているなぁ‥‥その変わり『破壊神覚醒モード』っていうのが増えているし」

「そ。それってやばくない?」

「んー。どうだろ、私が私でいる限りは問題ないんじゃない?」


――シュンッ

 一瞬で元の姿に戻るマチュア。

 すぐさま影の中にいて潜入したポイポイに念話を送ってみる。


「ポイポイさーん。今どこ?」

『ダートの居城っぽい。A10サンダーボルトの陰に隠れているっポイよ』

「そかそか。そのまま座標を確認するから。定期的に念話送るからね、可能なら潜入調査よろしく」

『了解っぽい!!』


 そこで一度念話を切ると、マチュアはホッと一安心。


「ポイポイさんは無事だしアーカムもいる。覚醒モードも使えるようになっていたので負ける要素が全くないんだよなぁ」

「なら、今すぐにでも向かわないと」

「いゃあ、魔力枯渇中なので、少しチャージタイムだよ」


 そう呟くと同時にマチュアの意識が消失する。

 既に神威も枯渇しており、回復までは『眠り』につく必要がある。

 幸いなことに真横にはアーカムがいる。

 なので安心してマチュアは『休眠モード』に突入した。

 

 ただ、そうなる直前にちらっと見たステータス。

 そこには、とんでもないものが記されていた。


『名前 :マチュア・ミナセ


年齢 :1

性別 :女性

種族 :ハイエルフ/破壊神

レベル:存在せず


体力 :測定不能/1~∞(概念でのみ存在)

瞬発力:測定不能/1~∞(概念でのみ存在)

感覚力:測定不能/1~∞(概念でのみ存在)

魔力 :測定不能/1~∞(概念でのみ存在)

心力 :測定不能/1~∞(概念でのみ存在)


スペシャルアビリティ:森羅万象、可能性の実体化、破壊神覚醒

           創造と再生、破壊の顕現、一期一会

           調理、雑学、絶対魔力


固有スキル:神威解放、絶対無敵、生活リミッター

      スキルメーカー 


習得スキル:可能性の顕現(この世界のいかなるスキルも如何なるレベルにて作成し適用できる)



 既に、マチュアはハイエルフでありつつも、立派に『破壊神』に覚醒していた。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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