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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第14部・古きを越えて新しき世界へ

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破壊神と魔神・前編・なんだかんだで6年で


ストーリー進行などもない、一部を改訂しました。

基本的には説明部分の修正のみてますので、ご安心してお読みください。(2020-03-11改訂)


 マチュアがアドラーから飛び出して海を越えて。


 あれから6年。

 アドラーのあった大陸から隣の大陸であるイラルアムにやって来たマチュア達。

 一気に話を付けるべく大陸を 中央のイスフィリア帝国まで向かう事にした。

 

 そしてイスフィリア帝国に到着したマチュアは、面倒な事は全て終わらせる為に国王との謁見を求め、一瞬ではあるがマチュアが皇帝の地位につき己の力を示した。

その後すぐに退位し、努めてスムーズに。というか嵌められたかのように大公家の爵位を得る事が出来た。

そしてマチュアとアーカムは帝都に『カナン魔導学院』を設立し、魔術と心力スキルを広めるために五年間、魔術講師を務める事となったのであります。

 その間にもマチュアは広大な大陸を縦横無尽に走り回りつつ大樹の活性化を続けては、転移で帝都に戻ってきて学院で魔術を教えるという忙しい毎日を送っていたそうで。

 

 当然ながら、この帝都でもマチュアはカナン商会を登録し、暇なときには商人としても行動していたりと、何かと忙しい毎日を送っていました。

 その他にも、『魔術は選ばれた上位貴族しか使ってはいけない』という旧態依然の派閥の妨害や、突然やって来たドラゴンの群れ、大陸最強の魔物・リククックとの死闘など、二人のやらかし‥‥功績は数知れず。

 どうにか6年で大陸全土の大樹を回り完全活性化に成功したのでありまして。


‥‥‥

‥‥

 

 イスフィリア帝都・中央公園横・大樹のふもと・カナン商会馬車


「はぁ‥‥こっちに来てもう7年なるのかぁ」

「そんな感じよね。私としては楽しい時間だったわよ? それで、これからどうするのかしら?」

「そうだねぇ‥‥じっちゃん、ここはもういいのかい?」


 窓辺から大樹に向かって問いかけるマチュア。

アドラー大陸とイラルアム大陸、この二つの大樹の活性化によって、管理神であるシャダイは完全復活をなしえている。

 大樹教会にも神託を授け、すでにイェソドからは魔族は撤退を開始している状態である。

 大陸各地にあった転移門ゲートも、魔術を習得した人間たちによって次々と制圧され、残りは大陸中央にある大転移門ゲートただ一つ。

 そこに魔族の四天王も集まっており、最後の防衛線にまで発展しているようである。


『うむ。この世界はすでに問題あるまいて。後は次の世界を救うか、それとも直接魔神と対立するかどちらかじゃなあ』

「あっそ。それなら答えは一つしかないわなぁ。アーカム、その大転移門ゲートまで向かいましょ。直接魔神ダートとやりあった方が早いし、何よりあと一か月ちょいで帰らないと、シルヴィー達の子供か生まれてしまうじゃない」

「‥‥世界の命運よりも、友達の出産が大事かぁ‥‥こりゃあ魔神も浮かばれないわ」


 既に魔神ダートが滅ぼされる前提で話をするアーカム。

 本来ならば、もっと魔人族の拠点を探し出すのには時間がかかると考えていたのだが、イラルアム大陸に魔術が浸透する速度が予想よりも速く、加えて大樹の活性化が加速度的に早まっていった為、魔人族としても転移門ゲートを解放してこの世界から逃げるしか生き残る手段がなくなっていたのである。


「ま、そういう事なので。とっとと座標まで向かいましょ。どうせアーカムの事だから大転移門ゲートの座標まで理解しているんでしょ?」

「当然。私もとっととカリス・マレス世界に帰りたいからね、という事でこれが座標ね、とっとと転移門ゲート開いてちょうだい」


 スッと知識のオーブを生み出してマチュアに差し出すと、マチュアも受け取ってすぐに座標軸を確認、いっきに神威を高めて転移門ゲートを開いた。


「そんじゃ行きますか‥‥」

「ええ。それではシャダイ様、またご縁がありましたら」


 腕をぶんぶんと回しつつ転移門ゲートに突入するマチュアと、外に生えている大樹に軽く挨拶をしていくアーカム。

 見方によれば主人とメイドという雰囲気で、二人は転移門ゲートに突入して行った。



 〇 〇 〇 〇 〇

 


 イラルアム大陸中央、魔洞窟

 大陸中央にそびえ立つ霊峰カラマンシー。その麓にある、大陸の全ての穢れが集まり生み出された洞窟こそが、魔界でありダートの居城のある世界・アルドノアへと続く道である。


 その手前にあるキャンプでは、大陸全土から逃げ延びて来た魔人たちが、大転移門ゲートが開放されるのを今か今かと待っていたのである。

 大転移門ゲートは、こちらの世界からは開く事が出来ない。

 万が一にも人間たちが侵攻してこないようにと、アルドノアへとつながる道は向こうからしか開く事は出来ないのである。

 そして、洞窟の最奥に位置する巨大な扉、その手前では魔人マジソンが静かに扉に手を当てている。

 

「後2時間というところですね。そうすればダート様の魔力が扉に溜まり、私達はアルドノアへと帰る事が出来るのです‥‥」


 マジソンも疲れ果てていた。

 同胞であったシドニー、デトロイド、ボストン、そしてハルモニアまでもが人間に、そしてマチュアとアーカムという二人の伝承種によって魂まで滅ぼされてしまった。

 残ったマジソンは生き残りの魔人たちを集めて、この世界から逃げる準備をしていたのである。

 

 相手が普通の人間なら負ける事はない。

 相手が魔術を覚えた人間だとしても、一方的にやられる事はない。

 だが、相手は魔人を滅ぼす力を持っていた。

 魔術の質が違う。

 魔人達にとって弱点でもある『聖属性』の魔術など、この世界の人間には使う事も出来ない筈。

 それをもたらした神々は滅んだ、ダートがそう宣言していた。

 にも拘わらず、伝承種たちは聖属性の魔法を用いて、魔人達を浄化していった。

 抵抗する事も敵わず、次々と。


――ブゥゥゥゥン

 やがて扉が赤く輝く。

 ダートの魔力の充填が終わり、これから扉を開く為の鍵の解除が始まるのである。


「おお、ダート様。どうか我々を助けてください‥‥」


 扉の輝きに気が付いた魔人達は、ゆっくりと洞窟の奥へと足を踏み入れる。

 けっして慌てる事なく、それでいて目に見えていない何かに怯えつつ。

 

 そして一時間もすると、扉にいくつもの鍵穴が浮かび上がる。

 それらは時間の経過によって一つ、また一つとやゆっくりと回り、ガチャンと鍵を開けていく。


――ザワザワザワザワッ

 そんな時、

 洞窟の入口が何か騒がしくなって来た。


「何事だ!! まさか人間達にこの場所が気付かれたのか!!」


 マジソンが叫ぶや否や、洞窟の表から絶叫と破壊音が、そして白い光が洞窟内部を幾度となく照らしていくのに気が付いた。


「あ、あれは浄化の光!! 急いで結界を張れ、女子供を先に避難させろ!! 戦える者は時間稼ぎをしろ!! いいか、この扉まで人間達を通すなっ!!」


マジソンの怒声が洞窟に響く。

 それに合わせて、戦闘型魔人たちは次々と体内に取り込んでいた武具を実体化して身に纏うと、洞窟の入口へと走って行った。

 そして入れ違いに女子供が洞窟の奥へとやって来ると、マジソンは急いで子供達を守るように結界を更に張っていった。


‥‥‥

‥‥


「天に揺蕩う銀の雫よ。わが手に宿りて力をなしなさい。わが声は鎮魂、わが祈りは解放‥‥」


 洞窟入口付近。

 アーカムが右手を洞窟に向けて詠唱を始める。

 それを阻止すべく、完全武装した魔人たちがアーカムに向かって走り出すのだが、その手前にいる『深紅の鎧を着た悪魔』を越える事が出来なかった。


「だーれーが深紅の悪魔だよ。赤い彗星と白い悪魔を混ぜたような呼び方しないで欲しいわぁ」


――ズババババハァァァァァァァァァァァァァァ

 深紅に輝く巨大な両手剣・ザンジバルを大鎌状に変形させて構えているマチュア。

 次々とアーカムに向かってくる魔人達を叩き伏せ、切り捨てていった。


 広範囲浄化魔法陣


 その儀式魔術の詠唱にかかる時間はアーカムなら12分。

 この世界の人間なら、最低でも30人は必要であり、時間も63時間はかかるであろう。

 ちなみにマチュアでは、この魔術は発動しない。

 破壊神の神核がこの魔術の発動を阻害するため、発動はアーカムに任せてマチュアは彼女の護衛を務める事にした。

 

「さあ、次に死にたい奴は出て来いやぁ!!」

「ならば、この俺、魔人族でもデトロイドに次ぐ膂力を持つこのオフバァァァァ」


――ズバァァァァン

 目の前に姿を現した筋肉もりもりの魔人相手に、マチュアは一瞬で間合いを詰めて首を切断した。

 その傷口からは青い体液が噴出し、マチュアの深紅の鎧の彼方此方あちこちを青く染め上げていた。


「ア、悪魔だ‥‥青い悪魔騎士だ‥‥」

「ちょいまてや、次はベルゼルガかよ!! 悪いけど私はクエント式高速杭射出装置(パイルバンカー)なんて‥‥持っているけど人間サイズじゃないわぁ」


 叫びつつも次々と魔人達を屠っていく。

 やがてアーカムの詠唱も終わりに近づいて来た頃、生き残った魔人達は次々と洞窟の奥へと逃げて行く。


「‥‥聖なる力もて、世界の理よ、魔の眷属たちに魂の安らぎを‥‥」


――ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ

 アーカムの右手から光がほとばしる。

 それはゆっくりと洞窟内部にまで浸透していくと、内部に残っていた魔族達を次々と浄化していった。


「‥‥ほいお疲れさん‥‥と、内部の、それも最奥までは届かなかったみたいだね」

「ハアハア‥‥無茶言わないで頂戴。私でさえ、この魔術使うのは気が引けるっていうか、以前の私なら、私自身が浄化されていたわよ」


 カリス・マレス世界の魔族すら、この浄化魔法陣は一撃で魂を分解する。

 アーカムがマチュアの眷属だからこそ、その術式には抵抗する事が出来たようなものである。


「さーてと、それじゃあ最後の露払いと行きますか」

「ええ。ボストンから一通りの説明は聞いてあったから、対処方法もわかるわよ。それじゃあ行きましょうか」


 ごきごきっと拳を鳴らすマチュアと、やや後方で肩で息をしながら魔力回復剤を飲みつつ歩き始めるアーカム。

 

 その目標地点である洞窟最奥の扉まで、あと38分。

 そして扉の開放まで、あと42分‥‥。



誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

なお、この6年分のストーリーについては、外電として簡単にかいつまんで後日公開する予定です。

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