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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第14部・古きを越えて新しき世界へ

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クリスマスSP・サンタが町にやってきた、逆襲のサンタ

『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。

20XX年12月某日。


地球フェルドアースの神域にある亜神の都市『ビブエール』。

 その郊外にある小さな館では、毎年恒例のクリスマスの為に、サンタクロースがハードトレーニングをしている所であった。

 室内で大型パワーラックで必死に筋トレしているサンタクロースを、トナカイチームは生暖かい目で見守っていた。


「去年は腰をやってマチュアさまにお願いしたのですよね。それで今年はそんな事がないようにと、わざわざ密林ジャパンで『ハーフラック&デュアルアジャスタブルプーリー』とやらを購入して頑張ったのはいいですが‥‥なんですかその体は?」


――シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ

 立ち上る汗と蒸気の中、サンタクロースがゆっくりと体の汗をぬぐう。

 その広々とした広背筋、異様に隆起した上腕筋、秀逸極まりない背中の仕上がりと、既に体は完全といっていい程出来上がっていた。


「ふーーっふーーーっ。何かと問われると、ミスターオリンピアにも通用する筋肉美じゃがのう。ほら、どこをどう見てもマーカス・ルールのような仕上がりじゃろうて」

「体脂肪は4%、バルクもフィジークも完璧。神界オリンピアに出る事が出来れば、優勝は間違い無いですが、今年は棄権してくださいね」


そう告げつつ、トナカイのダッシャーがカレンダーを指差す。

蹄なのに指差すとはこれ如何にと、マチュアなら突っ込みそうな所ではあるが。


「ふん、神界オリンピアの決勝は十二月三十一日の夜、何か問題がぬおおおおおおおおお」


サンタは見た。

予選十二月二十四日夜、しかも例年参加者が増えている為、今年は夜通し行われる模様。

これにはサンタも涙を流すしかないのだが。


「ふん、ならば今年もマチュア殿にお願いするまで、ルドルフや、すぐに手配を‼︎」

「あ、そのマチュアさんは、今は異世界なので連絡つきませんよ。担当の方曰く、時間軸にズレがあるようなのでそう何度も行き来できないし連絡はつかないそうです」


──ガクッ

思わずサンタも膝をつく。

この日のために、どれだけのものを犠牲にしてきた事か。

本来のサンタの日課も神託という形で世界サンタクロース協会に一任してきた。信託だけに…って煩いわ、意味もちがうわ。


「あ、あの、サンタさん、声に出てますがダダ漏れですがトナカイ一同ドン引きですが」

「ううう、煩いわ、なら、そのサンタ協会の中で一人、誰でも構わないから派遣して貰えばよい」

「あのですね、生身の人間にサンタクロースは無理ですって。最低でも亜神クラスで神威を持っていないと無理ですってば」


ううむ。

そうなると、このフェルドアースではまだ該当するものは皆無。何処か外の世界のものに頼むしかないという所だが。


──ポン

「お、閃いた。マチュアの相棒のストームに頼むとしよう。ルドルフよ、早速ストームに連絡をするのだ、子供達の夢を壊すなと伝えるのだ‼︎」

「はぁ……落ちが見えてきましたが、まあ連絡だけしてみますか」

 

………

……


「言いたい事はそれだけか?」


サンタクロースのログハウス。

その床に、頭を押さえて転がっているサンタクロースの姿があった。

ルドルフに呼ばれてやってきたストームだが、サンタクロースの勝手な言い分についカッとなっていきなりボディブローからのダブルアームスープレックスを叩き込む。

だが、その程度ではへこたれずに起き上がってきたサンタクロースに、更にダブルアームスープレックスの態勢から、頭から落とすという危険技を叩き込んだ。


「あ、あれは、タイガードライバー91。まさかストームさんが習得していたとは……」


後にその戦いを見ていたトナカイズは告げる。

ストームとサンタクロースの戦いは、往年の三沢と田上の試合そのままであったと。


「す、ストームよ、なぜ分からぬ?子供達はサンタクロースを信じて待っている!その期待を裏切るのか‼︎」

「そっくりそのまま返してやるわ、そもそもなんで本家サンタクロースは行かないんだ?去年は腰を痛めたとマッチュから聞いているが、その仕上がった体でいけない理由を告げてみろや‼︎」


ゴキゴキと拳を鳴らすストームに、サンタクロースはバン、とカレンダーを叩いて叫ぶ。


「十二月二十四日は神界オリンピアの予選日だ、この仕上がった体を披露しないという理由はない」


これでもかと叫ぶサンタクロースだが、その場のトナカイは絶句する。


「あ、悪手だ……ストームさん相手にそれは悪手だ」


ルドルフの呟きもサンタクロースには届かない。

それどころか、ストームは鳩が豆鉄砲食らったような顔をして、そのまま破顔した。


「そうかそうか、そんな催しがあったのか。なら、俺も出るわ」

「「「「「やっぱりかよ」」」」」


トナカイ一同のツッコミ。

そして呆気にとられたサンタが気を取り戻した。


「そんなことが許されると思っているのかぁぁぁ、十二月二十四日をどれだけの子供が楽しみにしてグワォァォァ」


──ガギッ

唾を吐きつつ叫ぶサンタクロースにアイアンクローを仕掛けるストーム。


「どの口がそれをいうかな。という事で、神界オリンピアには俺も登録する」

「ふざけるな、たかが亜神如きで……亜神……」


──カチッ

ストームが首筋のあざに手を当てて神威を解放する。


「そ、その神威は創造神クラスの……いやいや、創造神なればこそ、子供たちの夢を壊すような真似を」


──カチッ

さらに一段階昇華。

創造神から破壊神へ。


「あ、あ、あああ……わしは負けん、負けんぞ。たとえストームが世界を破壊しようとも、わしは絶対にオリンピアにフベシッ」


──スパァァァァァン

突然サンタクロースの後頭部にツッコミハリセンが叩き込まれる。

そのまま意識を失ってズルズルと床に崩れるサンタクロースの襟首を掴んで、ベッドに放り込むヤハウェ。


「いやぁストーム様、サンタクロースがご迷惑をおかけして申し訳ない。しっかりと説教しておきますので、この場は抑えてもらえませんか?私でも、その、蒸散しそうなので」

「あ、それなら良いわ。この暴走サンタクロースをしっかりと躾けてくれ」


神威チャンネルを亜神まで戻すストーム。

ふと気がつくと、ログハウスの外では万が一に備えて天使たちがラッパを構えて待っていた。

さらに完全武装の天使の集団、ヴァルハラのワルキューレなどなど、一触即発の風態を醸し出している。


「マジか。おれ、ハルマゲドンするつもりはないんだが」

「破壊神を止めるためには、その程度の力が必要とお考えください」

「そっか。なら、後は頼んだわ。それじゃあな」


手をひらひらと振りつつ、ストームがずっと消えて行った。


………

……


聖なる夜12月24日。

 NORAD(North American Aerospace Defense Command, 北米航空宇宙防衛司令部)では、毎年恒例のサンタ追跡ブログラムの監視が続けられている。

 最初はとある新聞広告に記されていた『サンタクロースへの電話番号』が誤植であり、北米航空宇宙局に電話が繋がってしまった事から始まった。

 次々と来るサンタクロースの問い合わせに、当日の宿直担当の大佐が下した命令は一つ。


『サンタの現在座標を調べて公開しなさい』


 であった。

 そしてそれが毎年恒例の行事となり、この年もいつものようにプログラムが走っている所であったのだが。


──ビーッビーッ

 突然鳴り響くアラート。

 Noradの宿直担当官はすぐさまレーダーに映っている正体不明の影を精査。同時に衛星軌道からその正体を撮影し、モニターに映し出したのだが。


「ジーザス‥‥」


 そこにはトナカイがソリを引き、夜空を走っているサンタクロースの姿が映し出されていた。

 すぐさま当直が各方面に連絡、その正体を探るべく行動を開始しようとしたのだが、リアル・サンタクロース襲来の報告を受けたホワイトハウスはこの年の例もあるので静観体制。


「今年もマム・マチュアだろ?ならば返答はただ一つだ」

「それが、今年は老人、サンタクロースに間違いはないのですが……」


報告を受けた大統領は、提出された写真を見て絶句する。

赤い色がモチーフのサンタクロースだが、その日、サンタクロースは上半身裸のまま、筋肉美を披露しつつ涙を堪えながら子供たちに夢を配り続けていた。


ボソボソと〇M Networkの〇eyond the timeを悲しそうに口ずさみつつ。


なお、ストームはシルヴィーとカレンの頼みにより、今年も異世界大使館での楽しいクリスマスパーティーに参加していたとさ。


Merry Xmas。

楽しい夜を。


誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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