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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第14部・古きを越えて新しき世界へ

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イェソドから・その5・魔法職として出来ること

『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。

 翌朝。

 実にいい目覚めである。

 美味しいものを食べて、楽しいお酒を堪能して。

 そして見知らぬ地で巡り合った友達。

 今日もいい事があるかなぁ、と、マチュアは窓を開けて外を眺める。


「ふぁ‥‥何じゃこりゃ」


 窓の外には、昨日はなかった光景が広がっていた。

 高さ500mまで伸びている大樹、その枝葉は町の外まで伸びていき、市街地の彼方此方あちこちからも木々が伸び始めている。壁面にはツタが這い登り始め、彼方此方あちこちから驚きの声が聞こえて来ていた。


「と、とにかく『生命の宝珠』っと」


 急ぎ『生命の宝珠』を取り出して手を当てて目を閉じる。

 イェソドの紋章が昨日よりも活性化し、少しずつ力を取り戻し始めていた。

 この町の大樹の根は一晩でマナラインまで届いたらしく、そこから急速に汲み上げられた濃厚な光魔力(ソーマ)によって大樹が大きく活性化したらしい。

 だが、この地の大樹の成長はここまでらしく、他の大樹とマナラインを辿って繋がる事で更なる成長が始まるらしい。

 大樹から放出される光魔力(ソーマ)は都市城塞外まで流れていくらしく、近くの森林に蠢いていた魔物は大樹を求めてこの城塞にやって来る事だろう。


「ほうほうほうほう。成程ねぇ。ここがこの大樹の成長限界という事か。そんじゃ次の町に行ってそこで同じ事をすればいいのか。まあ時間は掛かるけれど、希望は見えて来たという事か」


 のんびりと着替えてから一階の酒場に向かう。そこでも宿に泊まっていた商人や冒険者達がガヤガヤといろんな噂噂話で盛り上がっている所であった。

 それを食事を取りつつ聞いていると面倒な噂まで流れていた。


 曰く、悪徳領主が自爆して騎士団に捕まって大樹が再生を始めた。

 曰く、西の勇者が魔族の四天王を退治して大樹に力が戻った。

 曰く、伝説のハイエルフが大樹に触れて活性化を促した。


「あ‥‥さてと。そろそろチェックアウトして次の町に行くとしますか」


 フードを深々と被っているので正体はばれない。けれど面倒なのでアバターの変更も考えてみる必要もあるのだが‥‥。


『ピッ‥‥アバターの変更はできません』


「何でだよ、またジ・アースと同じ案件かよ。どうなっているんだよ‥‥」


 こっそりとウィンドウを展開してチェックするが、そもそもこっちの世界ではアバターというものが存在していないらしい。外世界から来るときに活性化してあったアバター、つまり来た時の外見で全てを終わらせなくてはならないらしく、シルヴィーやアルフィン、エンジといったアバターは全て使用不可になっているのだが‥‥。


『ピッ‥‥破壊神モード時には真ルナティクスは使用可能』


「くっそぉ。どうしても創造神か破壊神として決着をつけろっていうことかよ。しかし、私は創造神の代行なのに、どうしてこういう所は自由に出来ないのかなぁ‥‥もっと上の存在がいるのかなぁ‥‥と、いいや、このままいこっと」

「おはようございます!!」

「マチュアさんおはようございます。もう食事は終えられたのですか?」


 朝から元気なライナスとテルメアの二人がマチュアの席にやって来た。見知らぬ仲でもないし朝は相席が多いようでなにも気にする事はない。


「今しがたね。それにしてもいきなり大樹が活性化してびっくりしたわよねぇ」

「そうなんですよ。冒険者ギルドや商人ギルドでも今後の対応で協議している所らしいのですよ」

「あ、大樹目当ての魔物の対応だね?」

「はい。それで商人ギルドでも今朝から慌てて護衛を雇うのに依頼を出しているらしくてですね、朝からギルドではてんてこ舞い状態なんですよ」


 そう説明しつつ朝食をとる二人。

 確かに魔物に襲われる可能性を考えると、この町に長くいるのは得策ではない。しかもこの町はここの王国では最東端に位置するらしく、最果ての町とも言われている。

 それでも大樹の恵みにより大地は肥沃化していたので人々は集まっていたらしい。


「なら、この町から冒険者がいなくなる可能性もあるのかぁ」

「外の魔物も素材も高額取引されていますからそれはないかと思いますよ。この混雑も一過性のものでしょうから。ただ、魔族がこの町に目を付ける可能性も高くなりましたので、早く騎士団に来て欲しい所なんですよ」

「へぇ。騎士団なら何とかなるの?」

「はい。王国騎士団は魔族にダメージを与える事が出来る『聖剣術』というスキルを所持しています。逆にいえば、それがないと騎士団に入る事が出来ないのですよ」

「普通の武器では魔族には殆どダメージを与える事が出来ませんから‥‥」


 おおう、魔族意外とハイスペック。まあ神々の説明でも魔族は強いって言っていたからね。勇者に期待するしかないよね‥‥って、勇者?


「そういえば噂で聞いたんだけれど、勇者っているの?」

「はい、いますよ。私達の住むアドラー王国には存在しませんが、西方の海の向こう、イスフィリア帝国には『次元の海』というものを越えてやって来た勇者がいるという噂ですよ」

「まあ、アドラー王国だけでもかなり広い大地なのでね。東端のバルモア海沿岸から西端は隣国ソーダフィル王国の国境にあるグランドフェザー山脈の麓までが王国領だからさ。端から端まで旅をしていたら2年ぐらいは掛かるんじゃないかなぁ」


 おおう、それってラグナ・マリア帝国の倍近くあるぞ。

 具体的にはウィル大陸とほぼ同じ領土の国家ですよ、それは大変だぁ‥‥。


「そうかそうか。そんじゃ私はとっととこの町を出て行く事にしますか」

「「え?」」


 マチュアの言葉に二人は驚く。

 何でそこで驚く必要があるのかな?


「あ、あれ、マチュアさんって、この町に住み着くとかそういう事は」

「考えていないよ。私はほら、旅人だから。この世界をのんびりと旅したいんだよ。だから一つの町にいてもせいぜい一週間って所だね。一週間って分かる?」

「7日ですよね。イスフィリア帝国に召喚された初代勇者のマルメ・クランド様が伝えた暦というものですよね」

「この世界を回る太陽が一周する時が一年でそれは12か月。ひと月が4週で28日。そう伝えられていますし、今ではそれが基本となっていますよ」

「へぇ。マルメ・クランドかぁ、どんな人なんだろう」

「王家に伝わる聖剣術『タイシャー流』の創始者ですよ。世界を救った後、自分の世界へと帰って行ったといわれていますが、その血筋は今でもイスフィリア帝国王家として残されています」


 ん? タイシャー流ってタイ捨流かな? マルメって丸目‥‥とすると、丸目蔵人佐長恵まるめ・くらんどのすけながよし? いやまっさかぁ。

 日本十大剣豪の一人じゃないか。

 ま、まあ、そんな偶然あるかもね、その勇者って帰還したんだよね?なら本人な訳ないじゃない‥‥って、時差十年が一年か‥‥ウルトラありえーるだね。


「そっかぁ。そんな凄い国なら、大樹もさぞかし立派なんだろうねぇ」

「ええ。噂では。それでも今日のこのカダッシュの奇跡を見ると、どうしてもこっちの方が綺麗って思えてしまいますから‥‥」


 窓の外に見える緑豊かな街並みを眺めつつ、テルメアがマチュアに告げる。それもそうだと思いつつ、マチュアは一度大樹の麓へと向かう事にした。



 〇 〇 〇 〇 〇



 大樹のそびえ立つ中央公園へとマチュアはやって来た。

 ライナスとテルメアは先に冒険者ギルドに依頼を見に行っているので、後から合流出来たらするらしい。

 昨日よりも大勢の人が大樹に集まり、時折大樹に触れては何か嬉しそうな表情をしている。

 

「あ‥‥光魔力(ソーマ)の放出量半端ないわ‥‥今日は魔術禁止だ‥‥と、いや、実験するのもいいか」


 そんなことを呟きつつ、マチュアは大樹に近寄ってそっと触れる。

 暖かい脈動のようなものを感じ取るが、それが大地から汲み上げられているマナラインそのものであり、普通の人には全く感じられていない事も理解出来る。


「へぇ。一晩で随分と広がったねぇ。この調子で次の町の大樹も活性化したらいいのかな?」

『オネ‥‥ガイ‥‥シマスジャ』


 マチュアの問いかけに、大樹からも意思が伝わってくる。

 それがイェソドの管理神であるシャダイ・エル・カイ老人である事が瞬時に理解出来た。


「何だ爺さん、還って来たのか」

『ウム‥‥アリガタイ‥‥ガ、イマシバラクハ‥‥ムリ‥‥ジャ』

「はいはい。もっと自我を取り戻せたら、また話でもしようや」


 手を触れてシャダイと会話をしているマチュア。

 そしてマチュアは気付いてはいない。彼女が大樹に手を当てて話しかけるたびに木々がフワッと輝き、大量の光魔力(ソーマ)が放出されている事に。

 そしてそれを公園にいた大勢の人が見ていた事に。

 風が吹く。

 その優しい風はマチュアのかぶっているフードを捲り揚げ、中から黒い長髪のハイエルフの顔が出ていた事に。


「噂は本当だった‥‥」

「伝説のハイエルフさまが、大樹に力を与えてくれた‥‥」


 そんな呟きが彼方此方あちこちから聞こえて来るが、マチュアはシャダイとの話に夢中になっていた。


「へぇ。この町の隣は果樹園があるのか。それってどんなやつ?」

『パイル‥‥カタイ皮ノ中ニ、キイロイ果実』

「パイナップルか、あれってカナンじゃ育たないんだよなぁ。後、特産品は?」

『オークバッファローノ牧場ガアル』

「おーくバッファロー? オークとバッファローを掛け合わせた家畜?」

『ソウ‥‥』

「いいねいいねぇ。思わず涎が出るねぇ。そんじゃ次の町に行くとしますかね。ここの大樹はもう大丈夫?」

『ココマデ活性化シタラ大丈夫ジャ、アリガタイ』

「そっか。そんじゃまた‥‥別の大樹から話しかけるね」

『ウム』


 そこまで話して手を放す。

 そしてフゥ、と一息ついて振り返ると、そこには大勢の人が跪いて大樹に祈りを捧げていた。


「ふわっ!! あ、そういう時間なのね、これはまた失礼しました‥‥」


 ソーッと大樹から離れようとするマチュア。だが、その姿を見た人々からは、マチュアに対して祈るようにこう呟いていた。


「聖女さま‥‥」と。


「ちゃうちゃう、私聖女さまじゃないから、ただの商人だから」

「ハイエルフの聖女様ですわ」

「伝説の聖女さま‥‥」

「この地に恵みを授けていただいてありがとうございます」


 口々に告げられてふと、フードがはだけている事に気が付く。

 そして慌ててフードを被ると、マチュアは一気に走り出してジャンプ、屋根を越えてひたすら大樹から離れて行った。


‥‥‥

‥‥


「ハアハアハアハア‥‥どうにか撒いたわ。しっかし、何でフード外れたかなぁ。これって光魔力(ソーマ)の悪戯?」


 そう呟くと、周囲の光魔力(ソーマ)が集まり小さな妖精の姿になる。そしてマチュアの頬をそっと触れると、クスクスと笑いながらパッ、と散っていった。


「全く。嬉しいのならそれでいいわよ。あまり悪戯が過ぎないようにね?」


 その問いかけに辺りの光魔力(ソーマ)がパパパッと輝く。

 大樹の活性化は光魔力(ソーマ)にも僅かな意思を生み出しているのかもしれない。

 そんな事を考えてふと今いる場所を見ると、目の前には冒険者ギルドがあった。

 なのでちょっと早いがライナスたちと合流しようと中に入って行き、空いているテーブルに座ってほっと一息。

 堂々と空間収納(チェスト)からティーセットを取り出してお茶会の準備を開始すると、その光景に彼方此方あちこちの冒険者が呆然としていたので‥‥。


「あ、これ私の固有スキルだからね。空間収納チェストっていって、別空間に収納スペースがあるんだからねっ」


 堂々と空間収納チェストについてカミングアウト。するとあちこちから『スゲェ』、とか『俺もそれがよかったなぁ』といった声が聞こえて来る。


(よし。何か困った事があったら固有スキルで誤魔化せる。何て素敵な世界なんだ)


 そう考えて辺りを見渡すと、別のテーブルではまた女性冒険者が空間収納チェストから荷物を取り出しているのが見えた。


「あ、空間収納(チェスト)って意外と一般的な固有スキルなんだ。なら隠す必要ないじゃない」

「あら、マチュアさん大樹はもういいのですか?」


 ふと見ると、テルメアが依頼の張り付けてある掲示板からこっちにやって来るのが見えた。なので軽く手を振ってやると、そのままテーブルに座って一息らしい。


「もうこの町での仕事はおしまい。それで、商人ギルドに登録に行きたいんだけれど、どこにあるのか教えてくれるかな?」

「それは構いませんよ。もう次の町に行ってしまうのですか?」

「もう少ししたらね。取り敢えず商人ギルドに登録して路銀を作ってからかなぁ」


 熱いポットを取り出してテルメアにハーブティーを入れてやる。取り皿とフォークも差し出すと、食べたいケーキは自分で取って食べる事と説明すると、テルメアも嬉しそうにケーキを取って食べ始める。


「これ美味しいです。何ていうのですか?」

「それはベークドチーズケーキ。って、この国にはこういう甘い菓子はないの?」

「果物を干したものはあります。後はシュガーグラスを水で煮だして煮詰めたものがありますね。とろーっとしていて甘いので、それを固めたアメはありますよ」

「じゃあこれは? これは小麦粉とチーズと牛乳と‥‥まあその程度で作れるけれど」

「聞いたこともないですね。牛乳はこの国では貴重で、オークバッファローの雌からしか取れないのですよ。小麦は我が国の主食として使われていますから問題はありませんが、チーズって何ですか?」


 おっと。

 これは楽しいことになって来たぞ。

 マチュアの料理人スキルがうずうずしてくる。

 食の文化を広めるのも、また進化だよね?

 それもやっていいんだよね? っていうかやる。

 これは決定だ、大樹の活性化と料理の普及、これでいきましょう。

 あとできそうなものは‥‥。


「テルメア、ちょっと両手を出してくれる?」

「はい、これでいいですか?」 

 

 そっと目の前に差し出されたテルメアの両手を掴む。

 そして彼女の体内魔力回路を確認し、ゆっくりと広げるように魔力を注いでみると。


「ま、マチュアさん、なんですか‥‥これ、体が熱い‥‥」

「いいからじっとしていて。これからあなたの体の中に魔力の通り道を作ってあげる」

「んっ‥‥魔力って‥‥ああっ‥‥熱い‥‥」

「大丈夫。怖くないわ。私にすべてを任せてね‥‥」

「はい‥‥アアッ‥‥んっ‥‥」


 初めての体験でテルメアの体が紅潮し、思わず喘いでしまう。

 その光景に、声に、近くのテーブルに座っていた男たちは前屈みになり、ゴクッと喉を鳴らす者までいる。


「ふう。これでいいかな? あとは‥‥これ食べてみて」

 

 空間収納チェストから取り出したマルムの実。それを受け取って一口食べると、テルメアの体がほんのりと輝き、そしてスッと光は消えていく。

 マチュアの目で見ると、テルメアの体内ではゆっくりと魔力が循環を開始した。

 保有魔力量は110、初めての魔力回路開放とマルムの実で体内魔力の活性化に成功したわりにはいいスコアである。


「ま、マチュアさん、これってまさか‥‥」

「さて、秘薬はないから全て魔力で補うとするか。私の言う通りに言葉をつづってみて。『我が中に宿る魔力よ、小さき炎となりて闇を照らせ』って」

「は、はい。我が中に宿る魔力よ、小さき炎となりて闇を照らせ」


──キィィィン

 すると、テルメアの目の前に光球ライトが生み出される。

 マチュアたちの様子を見ていた者たちは、その突然の出来事に驚き、椅子から転げ落ち、隣の仲間の頬を力いっぱい抓っている。


「こ、これって‥‥」

「自分のステータスを確認してみて。それで判るはずだから」


 そう告げられて、テルメアは恐る恐るステータスを確認する。

 マチュアの読みでは、第4スキルに魔術が増えているはずである。


‥‥‥‥

‥‥


名前 :テルメア

年齢 :16

性別 :女性

種族 :人間

レベル:48


体力 :46

瞬発力:72

感覚力:61

魔力 :110

心力 :35


スペシャルアビリティ:なし


固有スキル:貞淑

第一スキル:弓技/レベル4

第二スキル:短剣技/レベル2

第三スキル:採取/レベル4

第四スキル:一般魔術・第一聖典まで/レベル1(準固有スキルのためロック)

第五スキル:未覚醒


‥‥‥

‥‥


「マチュアさん、私覚えました、魔術を覚えることができました。一般魔術・第一聖典までっていうのですね?」

「お、そう来たか。ということは、鍛えれば第二聖典も覚えられるのか。でも、それは交換したり売っちゃ駄目だよ?」

「はい。準固有スキルのためにロック‥‥って記されていますから、これは譲渡不可能ですね」

「ならもう一ついいものを見せてあげる。これでテルメアもお金持ちになれるよ?」


 そう告げてマチュアは空間収納チェストから魔石を取り出す。

 グレードはD、ちょっと頑張れば手に入る代物である。


「これってゴブリンシャーマンとか、コボルトファイターとかの魔石ですよね?」

「そ。これに手を当てて‥‥『我が体内に眠る魔力よ。彼の物の力を変異させたまえ』」


──シュルルルルルッ

 すると、机の上にあった魔石がゆっくりと溶けて変形し、小さなナイフに変化した。

 これには好奇心に負けて近くにやって来た人達も更に驚き、自分達の席に戻って魔石を取り出して詠唱を始める始末である。

 だが、魔力もなくスキルを持たない彼らでは変異する事はない。


「わ、私もやってみます」


 テルメアも魔石を取り出して両手をかざす。


「我が体内に眠る魔力よ。彼の物の力を変異させたまえ」


──ジワァァァァァァァァァァァッ

 マチュア程綺麗に溶ける事はない。が、それでも魔石は黒いナイフに姿を変えた。


「鑑定眼‥‥と、それはダークナイフね。切れ味強化+2と解体+1つてスキルが付与されているけれど、それって何じゃい?」

「切れ味強化や解体スキルについている±修正は自身のスキルを底上げしたりペナルティーを与えるものですけれど、大体は古代遺跡やダンジョンでしか手に入ることはありませんし、そもそも一度に二つのスキルが付く事などありません。そして大抵の修正値は1か2、合計で+3なんて普通に存在するのは見た事がないのですよ」


 震えながらそう告げるテルメアだが。マチュアはニイッと笑って一言。

 

「それをテルメアが、自分のスキルで作れたんだよ」

「はい、ありがとうございます」


 そう告げてダークナイフを嬉しそうに手に取る。

 そしてマチュアも自分の作り出したナイフを手に取って、やり過ぎたと後悔した。


誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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