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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第14部・古きを越えて新しき世界へ

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イェソドから・その2・世界が違うと法則も違う

『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。

 深い森をゆっくりと歩く。


 前方を進むのはライナスとテルメアの二人。

 まだこの辺りの森は危険地帯扱いされている為いつどこから魔物が飛び出すか分からないらしい。

 なので、取り敢えずの現状確認という事で、ウインドウを展開して状態を見てみる。


(いつから見てなかったかなぁ……ステータスオープン‥‥あらやだ人外だわ)


‥‥

‥‥‥


名前 :マチュア

年齢 :1800(亜神としての仮年齢)

性別 :女性

種族 :ハイエルフ/(創造神代行、破壊神の半身(魔力)、カルアドの管理神(秩序)、亜神)

レベル:測定不能


体力 :測定不能/128500(下界顕現時)

瞬発力:測定不能/769800(下界顕現時)

感覚力:測定不能/584000(下界顕現時)

魔力 :測定不能/12690000(下界顕現時)

心力 :測定不能/5860000(下界顕現時)


スペシャルアビリティ:森羅万象、可能性の実体化、神威開放

           創造と再生、破壊の顕現、一期一会

           調理、雑学、世界戦闘神


固有スキル:神威開放、絶対無敵、生活リミッター

      スキルメーカー 

習得スキル:可能性の顕現(この世界のいかなるスキルもLv10にて作成し適用できる)


‥‥‥

‥‥


 これはダメなやつだ。

 何でも出来る子だ。

 そもそも、レベル測定不能って。

 そのステータスはこっちの世界の中でどうなのさ?


 そう考えてから、マチュアはこっそりとライナスとテルメアのステータスを鑑定してみる。


名前 :ライナス

年齢 :18

性別 :男性

種族 :人間

レベル:56


体力 :84

瞬発力:59

感覚力:54

魔力 :0

心力 :45


スペシャルアビリティ:なし

固有スキル:頑健

第一スキル:盾技/レベル4

第二スキル:剣技/レベル4

第三スキル:採取/レベル5

第四スキル:未覚醒

第五スキル:未覚醒


はあ。

これが平均なのかとテルメアも見る。



名前 :テルメア

年齢 :16

性別 :女性

種族 :人間

レベル:48


体力 :46

瞬発力:72

感覚力:61

魔力 :0

心力 :35


スペシャルアビリティ:なし


固有スキル:貞淑

第一スキル:弓技/レベル4

第二スキル:短剣技/レベル2

第三スキル:採取/レベル4

第四スキル:未覚醒

第五スキル:未覚醒



 あ、これが平均なのかと考えると、ふと頭の中に法則性についての説明らしきものが流れて来た。

 空間収納チェストに収めてある生命の宝珠が、マチュアにとって足りない知識を補ってくれているようだ。

 その結果わかったことは、この世界はジ・アースとアファル・アニマスの混ざったような世界らしい。

 この世界の人間の平均ステータスは、おおよそ60前後。

 ベテラン冒険者で大体100から150、英雄や勇者クラスともなると300ぐらいまで上がるらしい。

 魔法を使うには魔力が、コンバットアーツという戦闘技術を使うには心力が必要であるが、どちらも平均は60から100、それも、どちらかが高ければどちらかが低くなるという所まではどうやらどこの世界も共通らしいのだが、問題が一つ。

 このセフィロト世界の人間は、魔力を全く持っておらず、更には魔法自体が存在していないのである。


 そしてスキルについて。

 この世界の人間は最低一つの固有スキルと、最大で五つの習得スキルを保有する事が出来るという概念がある。

 そして習得スキルには1~10というレベルがついている。

 最低は1、最高は10。

 具体的なレベルによる能力はこのようになっているらしい。


 【1~2】一般知識。大半の人間はここに当てはまる。

 【3~4】冒険者や専門職の大多数

 【5~6】ベテラン冒険者や特出した専門家の技術や知識

 【7~8】グランドマスター、達人クラス、世界にはほんの一握りのレベル

 【9】超人分類、殆ど存在しない筈

 【10】 時代の勇者、神代の存在。現代では存在してはいけない


 レベルによる熟練度はこのような感じだが、このスキルがまた面白い事に学ぶ事で自由に入れ替えが可能らしい。

 その為にスキル屋なる特殊な店も存在するようである。


 人間の戦闘力は能力値×レベルで計算されるらしく、例えば体力50、剣技レベル3の人間の戦闘力は150。これに武器や防具の補正などが加わる事でその人物の基礎戦闘力が算出される。

 他にも人間のレベルの概念が凄い。

 普通の人は一年で一つずつレベルが上がる、つまり年齢イコールレベル。これに経験によるレベルが加算されるらしく、レベル合計値の上限は999。

 最も、過去最大と言われているレベルで380、伝説の勇者クラスになると500はあるらしい。

 それらを踏まえてみても、今のマチュアは異常である。


(お。おう……フェイクステータスを有効化アクティベートして。常人設定にするとしますか)


 二人の後ろを歩いているのをいい事に、コソコソと自分のステータスを弄り始める。

 それはもう適当に、害の無い程度に。


‥‥‥

‥‥


「ふう。ようやく大樹が見えて来ました。後半日も歩けば街まで戻る事が出来ますよ」

「大樹?」

「マチュアさんは大樹を知らないのですか?」


 思わず問い返した結果、更なるツッコミが入ってしまう。

 なのですぐさま頷くと、テルメアが説明してくれた。


「大樹はこの世界そのものです。人は大樹の生えている場所に町や村、国を作ります。大樹から溢れる生命の力は膨大で、豊かな実りや清浄なる空気や水を与えてくれます。そこに人が集まり国が作られるのです」

「大樹が大きければ大きいほど、より豊かな繁栄が約束されるのですが、魔物もそれを求めてやって来るので町の外は危険なのです」


 ふむふむ。

 世界樹のようなものだと推論。そしてそれは魔物も狙っているという事は。


「つまり、魔族も大樹を狙っていると」

「はい。大樹から溢れる生命の力は、逆に魔族には毒なのですよ。ですので、魔族は魔物を使役したり特有の技を使って街を襲撃し大樹を破壊しようと考えています。数ヶ月前にも、隣国の大きな貿易都市が魔族によって滅ぼされてしまいました」

「成程。それで二人のいる町も狙われるかもしれないと言う事で、森の異変を調査していたという事か。それで何かわかったの?」

「はい。今までは見かけなかった魔物の軍勢が確認できました。それもコボルトやゴブリンと言った小鬼種ではなく、オーガやオークなどの大型種です。恐らくそれらを統治している魔族がいるかと思われます」


 もしそうなら、急ぎ町まで戻って報告しなくてはならない。

 だが、その途中でオーガに襲われたらしい。


「まあ、これで町に戻れば無事解決‥‥ってなるの?」

「それは分かりません、全て領主様の判断となります。まあ、大抵は冒険者ギルドと騎士団による討伐隊が編成されますから、そこからどうなるかは‥‥」

「ですが、もしもマチュア様が討伐を手伝ってくれるなら、恐らくこの地の大樹は守られるかと思われます。是非とも御協力ください」


 キラキラと期待する目でマチュアを見るテルメア。

 ライナスもコクコクと頷いているのだが、マチュアはまた腕を組んで考えてしまう。


「うーん。どうするかは町に戻ってからね。私としても、色々とやらないとならない事があるのでね」

「そうですか……そうですよね」

「それといくつか教えて欲しい事があるのです、タブーである事は覚悟の上でですが」

「マチュア様のスキル構成ってどうなっているのですか?い、いえ、他人のスキルを教えてもらうということはプライベートな部分にも触れるという事ですので無理には‥‥ですが、あのようなスキルを私は未だかつて見た事も聞いた事もないのです」


 ふむ。

 スキルねぇ。

 一般人の持てるスキル容量は最大5つ、一生涯で手に入れられるスキルレベルは自身のレベルと等しい。

 それを踏まえたとしても、マチュアはうむむと考えてしまう。


「そうだねぇ。ま、教えても問題ないとは思うから一つだけ教えてあげる。万能魔術をレベル10で持っているわ」

「万能魔術?」

「それはなんでしょうか?」

「まあ、例えばさっき、二人の周囲に張りめぐらせていたのは結界といって外部からの攻撃を完全に遮断する魔術。二人の怪我を癒したのは『範囲型エリア高治療ハイヒール』、オーガを焼き殺したのは炎の槍フレイムランサー。全て万能魔術よ」


 そう説明すると、二人がガタガタと震え始める。


「そ、そんな、一つのスキルで複数の事象が起こせるなんて、まるでコンバットアーツじゃないですか」

「それでも、そんな奇跡のような事が起きる事はないのですよ‥‥まさに奇跡なのですね」

「んー。まあ、魔術は奇跡といえば奇跡なんだけどねぇ‥‥」


 頬をポリポリと掻くマチュア。

 するとテルメアが一言。


「マチュアさん、そのスキルはスキル屋に登録すれば大儲けできますよ。いえ、それよりもそのスキルを私にも教えてください!!」


 フンスと鼻息を荒くしてテルメアがマチュアの手を握る。だが、マチュアはゆっくりとテルメアの体内に流れている魔力回路を確認する。


「うわ、魔力回路細っそ。覚えることは出来ても使えるようになるまでは修行だよなぁ‥‥」

「そ、それでも構いませんわ。是非とも町に戻ったらお願いします」

「お、おれも教えて欲しい。あのオーガを一撃で吹き飛ばした蹴り技、あれはスキルじゃないのか?」

「あれはコンバットアーツだよ。体術系スキルといえばライナスは理解出来るよね?」

「そ、そうか、体術でしたか‥‥うん、それなら‥‥って、あの威力は尋常じゃないですよ? オーガの皮膚は鋼鉄も弾き飛ばす強度を持っているのです。それを蹴り技一撃で‥‥それに、朧げに見えたあの副腕は何なのですか?」

「コンバットアーツ‥‥かなぁ。まあ、あまり詮索は無用‥‥と、そろそろ見えて来たんじゃない?」


 マチュアが話題を変えるべく前方に見えてきた城塞を指さす。

 そして一旦話題はおいておき、一行は急ぎ城塞正門へと向かって行った。



 〇 〇 〇 〇 〇


 

 城塞正門前。

 これがカナンなら隊商(キャラバン)の馬車や冒険者が列をなしている所であるが、この正門には誰も人は並んでいない。

 開かれた正門と門番らしい騎士が二人立っており、ライナス達の姿を見ると軽く手を振っていた。


「おお、ライナスとテルメア、無事だったか‥‥それと‥‥え?」


 安堵の表情で二人を見ていた騎士がマチュアを見て言葉を失う。

 堂々とローブを外して素顔を晒しているマチュア、当然ながら長い耳がピクピクと動いている。

 

「ち、ちょっと待て、ライナス、彼女は誰だ? 魔族ではあるまいな」

「いえ、彼女はハイエルフのマチュアさんです。俺達もオーガに襲われた時に偶然助けていただきまして。決して怪しい方ではありませんよ」

「ええ。とても優しくて強いお方ですわ」


 よせよ照れるぜ。

 そんな事を呟きたいところであるが、門番はマチュアに対してどう対処していいのか困っていた。


「そうか。しかし、正門を通していいものか‥‥いや、魔族ではないというのなら‥‥よし、こっちの鑑定板に手を乗せてくれ、もしも犯罪履歴があるのなら反応がある筈だ」

「ほいほい。それじゃあ」


 そう呟きつつマチュアは鑑定板に手を乗せる。

 すると鑑定板はボウっと白く輝いた。


「犯罪歴なしか‥‥ちょっと待ってくれ‥‥ええっと、身分を保証できるものはあるか? ギルドカードでも何でもいい」

「もしそれかなかったら入国料として1万ギルダ、銀貨10枚必要となるが」

「ないから金貨‥‥って、この金貨じゃだめだよね?」


 そっと懐に手を入れて、そのままダイレクトに空間収納(チェスト)から金貨袋を取り出して一枚出してみる。

 すると騎士は受け取った金貨を鑑定板に載せてみる。

 やはりボウッと白く輝く。そして表示される文字を見て、騎士は頭を抱えてしまう。


「なんだこの純度は‥‥これ一枚で我が国の金貨10枚の価値が出ているが‥‥判った、今釣りを用意するから待っていろ」

「あ、おつりが出るのは助かるなぁ。ちなみにこの国の金貨一枚ってどれぐらいの価値? 宿に何泊できるの?」

「そうさなぁ。冒険者用の宿なら素泊まりで33日ってところだな。それで1000ギルダのおつりが出る」

「1000ギルダは銀貨一枚だ。それだけあれば、どこの宿でも晩飯をたらふく食べられるからな」


 ふむふむ。

 色々と説明をありがとう。

 という事はクルーラー金貨一枚はこの世界の金貨10枚の価値があるのか。

 よし、もう使わない、正攻法で金を稼ぐとしようそうしよう。 


 そのまま釣銭を受け取ったマチュアは、正面奥にそびえ立つ巨大な樹を見て思わず見惚れてしまった。

 これが噂に聞いていた大樹、その風体は自律飛行型補給船ラピュータ内にそびえていた世界樹にも引けを取らない程荘厳であった。

 何千もの枝が頭上200mほどでおおきくひろがり、そこに大量の枝葉を広げている。

 だが、光を全て遮っているわけでもなく、太陽光は枝葉をすり抜けて普通に大地を照らしていた。

 その光からは、ほんの僅かであるが光魔力(ソーマ)も感じ取る事が出来る。


「へぇ。これが大樹かぁ‥‥凄いなぁ」

「この先に冒険者ギルドがあるんですよ。俺達はそこで報告に行きますので、その後でよかったら町を案内しますよ」

「この町は初めてでしょうから、色々と美味しい所もご説明しますね」

「おお、それは助かるね。では折角なのでよろしく‥‥」


 そう告げてマチュアも冒険者ギルドに向かう事にした。

 そして待ち受けているのは、やはり異世界ラノベでの遭遇率83%という『初心者冒険者いじめの自称ベテラン』であったという‥‥。



誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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