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【本編完結】異世界ライフの楽しみ方・原典  作者: 呑兵衛和尚
第十二部 ドタバタ諸国漫遊記

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魔王復活・その1・王道復古と魔族と

『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。

 何だかんだとカノン北方を視察して回ったマチュア。

 ルトゥール森林王国を後にして、その後もいくつかの貴族領をお忍び巡視して回る事、実に三ヶ月。

 平穏なククルカン王国を後にして、残りはカナン辺境王国領のみとなった。

 道中何度も日本とカナン王都を往復し、そろそろやる事もなくなって来たので今回の巡業行脚はこのカナン辺境国で取り敢えず終了。


 いくつもの国境沿い城壁を通り抜けて、やってきました水の都、王都ラマダ。

 大河と面している城塞都市であるにもかかわらず、大量の水路を交通に使うという大胆な都市開発を行っていたラマダ公国の市街をそのまま使用しているので、今でもこの都市の主要交通は船である。



「あ〜、癒されるわぁ。今までみたいな問題がないと良いんだけれどねえ」

「ここはカナン王の国だから、きっと問題なんて起こっていないっぽい。美味しいものが食べられるといいっぽいねぇ」

「ん〜、ポイポイさんや、それをフラグ立てと言ってね、迂闊な事を言うと実際に起こる可能性があるからね?」

「実際に起こる?でも、この国は今はマチュアさんの領地の一つだし、早々問題なんてないっぽいよ?」


 手にしたポップコーンを口の中に放り込みつつ、ポイポイが楽しそうに告げる。

 だが、こう言う時のマチュアの悪運は最強、破壊神属性も持っているので、トラブルが舞い込むのは必然である。


──ドッゴォォォォォォン

 突然の爆音。

 そしてカナン王城のある方角に巨大な煙と炎が舞い上がっている。

 突然の事態に、人々は驚き、ある者はその場でへたり込み、またある者は爆炎から逃げるように走り出す。

 人々の悲鳴が聞こえる中、更に爆発は続いた。


──チュドドドドドドドーン


「ポイポイと十四郎は爆心地へ、逃げ遅れた人の救助を。私は現場に向かいます!!」

「「了解っぽい」」


 マチュアが叫びつつ白銀の賢者モードに換装する。

 そして周囲の風の精霊を集めると、大声で叫ぶ。


「落ち着いてください!! まずは落ち着いて周辺の騎士の指示に従って行動してください、決して王城には近づかないように!!」


 その声を聞いたものは、マチュアの方を見て慌てて跪こうとするが、すぐさまそれを制する。


「自警団と騎士団はすぐに人々の避難を。だーかーら、跪かなくていいから、早く逃げなさいって!!」


 叫びつつ現場に向かうマチュア。

 やや急ぎ足から徐々に速度を上げて、ついでに地上を走るのは面倒なので建物の屋根に飛び上がると、箒を取り出して一気に王城へと向かった。


 ほんの数分で王城に辿り着くと、城門が綺麗に破壊されており、大勢の騎士と見た事のない騎士達が戦っている光景が見えて来る。

 しかも、正体不明の騎士達の後方には、フードで顔を隠した魔術師達が待機、次々と王城に向かって攻撃魔術を叩き込んでいた。

 マチュアはその後方から駆け込むと、すぐさま無詠唱で範囲型沈黙エリアサイレンスを発動する。


──キィィィン

 突然足元に展開した魔法陣に、魔術師達が慌てて振り返る。


「貴様、一体何者だ!!」

「まあ、テレビもねぇラジオもねぇ、おまけに週刊誌もない世界だから、わからない人にはわからないよなぁ‥‥カナン魔導連邦のマチュア・ミナセだ。それ以上無駄な抵抗を続けるなら纏めて拘束するがファイナルアンサー?」


 そう叫ぶマチュアだが、魔導師達は腰から下げているショートソードを抜いて、素早くマチュアに斬りかかった。


──ガギィィィィン

 その一撃を右腕の籠手『フィフスエレメント』で受け止めて流す。

 すると、籠手の表面にヌルッとした緑色の液体が塗布されているのが目に見えた。


「魔族の毒かぁ。また魔族の侵攻かよ、全く‥‥あんたたちはどこの所属だよ? もしもメルキオーレとアーカム、ゼフォンの部下なら素直に下がる事をお勧めするけれど……」


 そう告げるマチュアだが、一人また一人とショートソードで切り掛かってくる。むしろその三人の名前を聞いてから、さらに攻撃の手が強くなったようにも感じる。


「つまり残り四使徒の誰かの部下かよ……参ったなぁ」

「「「我らは偉大なる魔王エルコーンの使徒なり」」」


 そう叫ぶやいなや、魔術師達は手にしたショートソードを自分達の首筋に当てる。そして勢いよく引き切ると、自らの手で自身の首を刎ね飛ばした。


──ズバババァァァァァ

 笑いつつ死んでいく使徒達。しかし、その体から流れる緑色の体液が地面に染み渡ると、巨大な魔法陣が浮かび上がってきた。


「ちっ、沈黙では魔術は発動しないが、魔法陣は別なのかよ……しかも、ご丁寧にまぁ」


 ゆっくりと姿をあらわす上位魔族、マチュアもよく知っているグレーターデーモンである。


『わわわわわ我らが王の望みは人間どもの殲滅なり。貴様の魂も、我が王に捧げるとしよフベシッ』


──スパァァァァン

 そこまで話が聞けたならもういいか。

 すぐさまハリセンを引き抜いてジャンプすると、グレーターデーモンの顔面に叩き込む。


『おのれ、貴様も我が王の復活を良しとせぬか』

「あ、洗脳されているわけじゃないのか。なら手加減無用でいくわ」


──ガギィィィィン

 召喚されたグレーターデーモンが精神支配を受けていないのを確認すると、マチュアは『フィフスエレメント』を素早く打ち鳴らす。

 そして両肩の左右に浮かび上がるように『魔神の腕』を生み出すと、半身に構えた。

 ジ・アースの魔人グラントリの技である魔力腕、それを自分なりに改造した魔力と心力。そして亜神の神威により構成された新しい腕。実体と魔力体、そして神威体の三つを自在に切り替えられるのが『魔神の腕ルシフェロン』。

 身長5mものグレーターデーモン相手なら、これぐらいは必要だと判断。


(脳筋グレーターデーモンなら、いきなりメルトブラストの詠唱からくるから楽なんだよなぁ。その、タイミングで始末すればいいんだから……)


だが。目の前のグレーターデーモンは右腕を手刀のように構えると、力一杯マチュアに向かって振り下ろした。


──ガギィィィィン

その手刀を、マチュアは『魔神の腕ルシフェロン』を頭上で交差して受け止めた。

マチュアの装備はそのまま『魔神の腕ルシフェロン』にも受け継がれるので、その両腕には『フィフスエレメント』が装備されている。


「だよなぁ。あんたは『名前持ち』かよ。この籠手じゃなかったら身体まで真っ二つだよ」

『我が名はサブナック、王から頂いた名前である』

「名前持ちどころか侯爵級かよ。今のメレスには、魔族の支配階級はなかったんじゃないのか?」

『我が王が復活したならば、支配階級もまた甦るのが摂理なれど』

「あーそうかいそうかい。それは別に構わないけど、そういうのはメレスでやってくれない?人間界に迷惑かけるなってぇの」


──ブンブンブン

魔神の腕ルシフェロン』は防御に回し、マチュアは素早く印を組み韻を紡ぐ。


「偉大なる悪魔の主よ、かの者をあるべき場所へと送還したまえ……ソロモンの帰還陣っ!!」


──キィィィン

 マチュアが魔術を発動する刹那、サブナックを中心に巨大な魔法陣が生み出される。

 すると魔法陣から幾重もの赤い鎖が吹き出していくと、サブナックの身体を次々と束縛していく。


『な、何だこの魔術は!!我も知らない魔術だと?』

「まあ、知らないだろうなぁ。偉大なるイスラエルの王、72柱の悪魔を従えた存在なんてねぇ。そのソロモンの作りし悪魔送還魔術式だ、これで帰らない悪魔は存在しない……筈だ」

『おのれぇぇぇぇぇ』


 既に魔法陣から逃れられないと悟ったサブナックは、渾身の力で右腕を天空高く掲げた。

 その他の中に魔力が高まり、灼熱の焔が生み出された。


「ちっ、最後っ屁がメルトブラストかよ!!」


 すぐさまその手を止めなくてはならないのだが、今印を解くとソロモンの悪魔送還魔術式が消滅する。

 地球の魔術ゆえ、マチュアでも多用する事が出来ないのだが。


──スパァァァァン

 サブナックの右腕が肘から切断される。

 集まっていた魔力は消滅し、サブナックは絶叫と共に魔法陣の中に引きずり込まれ、やがて消滅した。

 そしてクルクルっと空中で回転しつつ、ポイポイがマチュアの横に着地する。

 両手から伸びたアダマンタイト鋼糸を収納して、ニィッと笑う。


「マチュアさんのグレーターデーモンよりも強いっぽい」

「やっぱり頼りになるわねぇ。あんがとさん」


 すっと印を解除すると、マチュアは全周囲魔力感知を発動。周囲に魔族の反応がない事を確認すると、急いで王城へと駆けていった。



◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 城塞の半分ほどが廃墟と化したカナン王城。

 元々は軍事に長けたラマダ公国の王城であった為か、王城本丸にも被害があったものの、それはまだ修繕可能なレベルであった。

 周囲にいた騎士達に人々の避難と周辺の被害状況の確認を頼むと、マチュアは一目散に謁見の間へと走る。

 この王城で最も堅牢に作られているのが謁見の間である事は、何度もやってきてライオネル王と喧嘩をしたマチュアならご存知であった。

 そしてその読みはズバリ的中し、謁見の間は物理障壁により守られており、内部には避難した王城勤務の人々が集まっている。


「こ、これはマチュアさま……とんでもない所を見られてしまいまして」

「あ、カナン王は無事でしたか。怪我人は?」

「教会の治癒師が手当てしています。しかし、突然の襲撃で何が何だかわからなくて……まさか隣国の侵攻か何かですか?」

「ここの隣国はククルカンとうちと、南はサムソンだよ。どこが攻めて来るってさ……本当に心当たりはないの?」


 そう問いかけるマチュア。

 こっそりと嘘発見水晶ライアーオーブを取り出して遠隔発動してみる。


「はい。心当たりがなさ過ぎまして、逆に困ってしまいますよ」

(……反応なし。まぁ、カナン王はうちの連邦トップのお人好しだからなぁ。自分では気づいていないだけかもしれないし……となると、なんだろう)


 すぐさま嘘発見水晶ライアーオーブを仕舞ってから物理障壁を解除してもらうと、マチュアも怪我人の手当てを始める。


「外にいたのは正体不明の騎士と魔導師、そして召喚された上位魔族だよ。なんでここが狙われたかなぁ。うちが狙われるんなら、まあ分からなくもないんだけれど、ここはそんなに物騒な話はないでしょ?」

「ええ。努めて平和ですね。旧ラマダ公国の執務官とかもうちには残っていませんし、人から恨まれるような事はしていない筈なんですけれど」


 マチュアが白銀の賢者モードなので、カナン王も畏まった話し方はしない。長年マチュアのもとで補佐官を務めていただけの事はある。

 すると、ひとりの執務官が何かを思い出したかのようにポン、と手を叩く。


「まさかとは思いますが、ひょっとしたら旧ラマダ復興派の可能性もありますか」

「それだ!! と言いたい所だが、それはどこのどいつなんだ?」


 そうマチュアが問い返すと、カナン王がマチュアに説明を始める。


「旧ラマダ復興派はですね、元々のラマダ公国時代にもいた『ラマダ王家再興派』が集まった組織です。まあ、今でこそラマダ王家は無事にラグナ・マリアに帰属して南方にしっかりとした王国を築いていますが、それを良しとしない派閥がありまして。ライオネル王に最後まで苦言を唱えつつ、最後には派閥解体されて散っていった者達です」

「あ〜、そこが魔族と手を組んだと?」

「元々、ラマダ復興派には魔族の執務官もいましたから。彼らは自分達こそが王家を復興させなくてはならないと、そしてライオネル王こそがラグナ・マリア帝国皇帝に相応しいと宣言し、自らを王立貴族院と名乗ってから影に消えて行きました……」


 あー。

 成程、王立貴族院ねぇ。

 それでこの騒動かよ。

 見方によれば、カナン王がここに就任するためにラマダ王家は南方に送られたとも言えるからなぁ。

 それなら、カナン王を恨むのは分からなくもないが、何故その矛先を私に向けないのかと。

 私なら正々堂々と叩き潰せるのに。


「だからマチュアさんには矛先向かないっぽいよ?」

「へ? ポイポイさんなんで私の心の叫びが聞こえるの?」

「声に出ていたっぽい。一部ドン引きっぽいよ?」


 そう言われてカノン王たちを見る。

 ふむ。

 一部ドン引きなのはこの際、無視という事で。


「まずは王城の修繕と警戒を密にして。ポイポイさんは十四郎とカナン王の護衛、ついでに城塞警備を強化して」

「了解っぽい。それでマチュアさんは?」

「監督不行き届きでライオネルの所に行ってくる」


それだけを告げると、マチュアは一旦カナン王都に転移すると、転移門ゲートを使ってラマダ王国王都へと向かって行った。


………

……


 ラマダ王都、シルバーレオン城。

 元々はシュミッツの居城であったこの城は、現在は改築されてライオネルの居城となっている。

 その正門まで箒に乗って飛んでいくと、マチュアは正門前で警備騎士に一言。


「ラグナ・マリア帝国王室顧問のマチュア・ミナセである。ライオネルに謁見を、いや、勝手に入るがいいな」


 威風堂々と叫ぶ。

 このラグナ・マリア帝国で王室顧問を誰が止められるだろう。

 すぐさま騎士の一人がライオネルの謁見室まで案内すると、そのままマチュアを室内に案内する。


「‥‥あのなぁ、来るなら来ると一言連絡をくれないか? こっちにも事情や用事がある時もあるのだぞ?」

「へぇ。王立貴族院にでも連絡を入れるのか?」

「なんだ、白銀の賢者殿はその名前を存じているのか。今日はその件か?」


 悪びれずにそう告げるライオネル。ならばとマチュアはソファーに座ってティーセットを取り出す。

 そして一息いれると、すぐさま本題を切り出す。


「カナン辺境国の王城が襲撃された。手口から見て魔族が関与している、事実上位魔族を召喚していたからな。ライオネル、この件に何処まで関与している?」


 真剣な表情で問いかけるマチュア。だが、ライオネルも差し出されたハーブティーを一口飲んでから一言。


嘘発見水晶ライアーオーブ持っているんだろ、出せよ」


 そう言われてマチュアもすぐに嘘発見水晶ライアーオーブを取り出す。ライオネルもそこに手を当てると、ただ一言だけ。


「俺は王立貴族院とは無関係だ、カナン王城襲撃についてもな。そもそも初めて知ったぞ、襲撃されたなんて」

「反応なしか、なら信じるわ。恐らくだけど、ラグナ・マリア帝国皇帝退位ののち、あんたを擁立してラマダ公国再興を企んでいるんだろうさ」

「なるほどなぁ、大方そんな事を考えているのは、魯粛(ルー・シュー)辺りだろうな」


 魯粛?

 誰だそれ?


「魯粛って誰だ?」

「ああ、マチュアは知らんだろうな。孔明が来る前までは、俺の側近を務めていた男だ。魔族であり、代々のラマダ家に仕えていた行政執務官だ。だが、俺は孔明を拾ってからは魯粛には一線を退いて貰っていたからな」

「はぁ、成程、その魯粛とやらが後ろで動いておる可能性があると?」

「俺はそう見たが、どうかは分からないな」


 そのライオネルの言葉を全て鵜呑みにはしない。が、魯粛という魔族が関与している可能性は充分に考えられる。

 だが、その魯粛と復活した魔王エルコーンの繋がりがどうなっているのか、それは分からない。


「そうかぁ。まあ、ライオネルの監督不行き届きだな」

「待て、魯粛は俺がこの南方に来るときに正式な手続きを経て退官しているぞ、今は何処で何をしているかなんて知るわけないだろうが」

「魔族の執務官をあっさりと退官させるなや、内情に詳しい魔族なんて百害あっても一利もないわ。それもライオネルを王にする為なんて。なんでそこと魔王復活が繋がるんだか分からんわ」


 そのまま腕を組んで考えてしまう。

 だが、余りにも情報がないのでこの件は保留。


「それでライオネル、お前本当に皇帝位を狙っているのか?」

「女皇帝は国が滅びやすくなる。しかもシルヴィーには荷が重すぎるだろうが、ミストがやると締め付けが強くなる、パルテノがやると宗教国家じみてくる。ブリュンヒルデは論外、ケルビムの息子にはその器はない。なら、俺しかないだろうが」


 そう説明するライオネルに、マチュアはキョトンとしてしまう。


「ありゃ、随分と辛辣な、それでいて的確な判断だ事。でもな、シルヴィーの後ろには剣聖ストームがいるぞ?」

「だから駄目なんだ、女帝の背後に剣聖だなんて、欲をかいた貴族はすぐに擦り寄ってくるし、隣国はラグナ・マリアを危険視するだろうが。国民は何かあっても剣聖が何とかしてくれると気が緩む、そこが一番危ない」

「へぇ。でも、私から見るとあんたなら帝国は軍事国家になるように見えるが?」

「周辺諸国に見せつけるには十分だ、経済的にはカナン魔導連邦を中心に繁栄している、それこそ他国からカナン魔導連邦への侵攻はあり得るだろうからな」


 そこまでの話を聞いて、マチュアはウンウンと考える。

 仮にもラマダ公国を永年纏めてきたラマダ王家ではない。

 やや武力頼みにも感じられるが、現行の六大王家の中では、最も皇帝が似合うかもしれない。

 何よりも発想がケルビム現皇帝に近い。


「まあ、そこまで言うのなら私は中立を保つ事にするわ。ストームが皇帝になったら一番いいのかもしれないけどね」

「ありゃ駄目だ、民意を汲みすぎる。それもまた正しいのかも知れないが、汲みすぎるのも問題がある。むしろマチュア、お前が皇帝になればいいとは俺は思うが」

「こ、と、わ、る。私が皇帝になったら天照王家のような事やりかねない。私は自由に生きたいのよ」

「今でも自由に生きているのに、何が違うんだ?」

「私の事はもういいから。そんじゃあ帰るわ、王立貴族院がライオネルと関係ないという事実が分かっただけでいいわ、それと、魯粛だけと、こっちで処理していいんだね?」

「構わぬよ。退官した時点でラマダ王国とは関係ない」


 それが聞けただけでも充分に収穫はあった。

 そのままマチュアはラマダ王都を後にして、再びカナン辺境王国へと戻って行った。



誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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