反撃の狼煙・その25・やってやるぜ、いや、やらんでいいです
『異世界ライフの楽しみ方』の更新は、毎週火曜日、木曜日、土曜日を目安に頑張っています。
ルーンスペース・日本。
その日、ナーヴィス・ロンガは東京湾沖合に停泊していた。
まあ、この世界での目的は既に達しているので、後は関係者達に挨拶回りをして行くだけである。
そのため、煩わしい艦内の点検などはノインとララに任せて、マチュアは空飛ぶ絨毯に乗ってフラリと東京のYTV支社までやって来ていた。
「ミナセ陛下、ネットニュースを見せてもらいました。ウルルドラゴンの討伐おめでとうございます」
その日の緊急生放送で、マチュアは梅津アナからのインタビューを受けていた。
これには異世界の女王らしく、凛とした表情でほほ笑みを返し、危なくない範囲で質問に答えていく。
ルーンスペースの現在の興味の大半はこの異世界について、映画や漫画、小説の世界がすぐ隣にあるという事実が、彼らの好奇心と探求心を煽っている。
もっとも、各国のトップはそんな事よりも異世界が自国に齎す利権について、それをどのように手に入れるかを模索している。
地球ではマチュアが最初に接触した日本がもっとも多くの利権を手に入れ、ついでアメリゴ、ルシアという順番で異世界の恩恵にあずかっている。
当然ながらマチュアに対して敵対行動を起こした国はそれらの利権を手に入れる事は出来ず、日本やアメリゴなどに揺さぶりをかけて少しでもマチュアの機嫌を損ねないようにするのが現状である。
そしてここルーンスペースでも、やはり各国首脳陣はマチュアとの接触を求めている。当初はアメリカを拠点としていた為、各国はこぞって大使館に連絡し、マチュアと接触すべく様々な手を尽くして来る。
だが、それもむなしくマチュアはアメリカを旅立つ。
次にやって来たのは日本、そしてマチュアはここを拠点とし、最後の事務処理をする事にしていた。
「では最後に。私は残務処理が終わったら、カリス・マレスに帰還します。またいつかこの世界にフラッと遊びに来る事はあるでしょう。ですがそれが一体どれぐらい先になるのか、また、いつやって来るのかはお約束出来ません。私はハイエルフという種族、ゆえに不老の民ですので‥‥」
この生放送の最後に、マチュアはまもなく地球から撤退することを告げると、放送を見ていた人々に激震が走った。
異世界が離れていく。
それだけで、どれだけの不利益が起こるのか。
このままでは、異世界の加護を手に入れたアメリカの一人勝ちとなってしまう。
そう考えた各国首脳陣はて日本にある大使館に連絡を入れると、マチュアとの会談をセッティングするように指示を飛ばす。
そして放送が終わるころには、YTVの周辺には各国大使館の車両が所狭しと集まっていた。
だが、マチュアはまるでそれをあざけ笑うかのように、YTV正門前に出ると、転移門を開いてスッと消えて行った。
‥‥‥
‥‥
‥
翌日、東京・市ヶ谷駐屯地
その日の昼、マチュアはお忍びで陸上自衛隊・市ヶ谷駐屯地にやって来た。
既にYTVの梅津と佐藤アナには連絡を入れてあったので、YTVの中継車は市ヶ谷駐屯地の外で待機している。
許可なき報道は敷地内に入る事は出来ない。それも、異世界の女王が来たとなると、どのような機密情報が手に入るかわからない。そんな好機を放置するなど愚の骨頂である。
新しい利権は日本が手に入れる。
だが。
「YTVの中継が行われないのでしたら、私はすぐさまここを離れますわ。密室でのやり取りなんて御免こうむります
このマチュアの一声で、小野寺大臣はYTVのみ市ヶ谷駐屯地に入ること、そして施設内からの生放送を許可した。
そして敷地内にある庭園で緊急中継が始まると、マチュアは足元に3つの魔法陣を起動する。
──キィィィィィン
カリス・マレスの古代魔術語によって紡がれた多層魔法陣が展開する。そして、そこからゆっくりと現れる3体の魔法鎧。
中継の邪魔にならないように離れた場所でモニターを見ていた小野寺の目の前で、マチュアは陸上自衛隊仕様の魔法鎧・15式機動甲冑を召喚したのである。
小野寺は思わずフラフラとマチュアに歩み寄り、震える口調でマチュアに問いかける。
「こ、これは陛下、一体どうしたのですか?」
「この日本国では、YTVの皆さんに大変お世話になりましたので。それで、折角ですのでアメリカと同じく交渉のテーブルに付かせてあげましょうと思いまして。魔術で動く機動甲冑、欲しくはありませんか?」
──ゴクリ
思わず息を呑む小野寺。
さんざん野党の突き上げにあい、異世界の技術を手に入れろという各省からの押しつけにも耐えてきた小野寺。
それが今、目の前にずらりと並んでいるのである。
「こ、これはどうしたものか‥‥」
「なあに、まずは話し合いと行こうじゃねぇか‥‥初めましてミナセ陛下、俺は朝生太郎、この日本国の副総理大臣を務めている者だ」
スッとマチュアに右手を差し出す朝生。これにはマチュアも笑いを堪えてしまう。
中継が始まった時点で、朝生は駐車場で待機していた。
そして小野寺が中継に割って入っていったので、これは好機と出て来たのである。
「この世界では初めまして、朝生さん」
「お、その言い方だと」
「ええ。フェルドアースにも、蒲生太郎という副総理大臣がいらっしゃいますよ。ボルサリーノがよく似合う、マフィアのような方ですよ」
──プッ
このやり取りには佐藤も思わず吹き出してしまう。
「参ったなぁ。俺は異世界でもマフィアかよ」
「ですが、私と最も懇意にしていた日本の政治家ですわ。あなたが交渉に就くのでしたら、多少は融通しますよ‥‥ですので、彼らに今後も自由な報道許可をお願いしますわ」
その言葉にボリボリと頭を掻いて。
「よし、特別許可だ。ここじゃなんだから、議事堂まで行こうか」
「ええ。それではお願いします」
にっこりと笑って空飛ぶ絨毯を取り出すと、マチュアはそこに朝生を座らせる。そしてゆっくりと国会議事堂に向かって飛んでいくと、その後ろを中継車がカメラを回したまま追従していった。
──ポカーーーン
そのやり取りを、小野寺防衛大臣はただ見ているだけであった。
‥‥‥
‥‥
‥
実に熱い交渉であった。
マチュアサイドからは魔法鎧・15式機動甲冑を4騎と選抜された隊員の3日間の特訓が提供される。そして日本政府は現金で500億円と、鋼材などの材料総計120tが提供される。
議会を通さない超法規的措置により、この会談と交渉は僅か3時間で締結、すぐさま首相官邸で調印も行われた。
それらの報道の殆どがYTVを通じて全世界に中継される。
その視聴率、実に79%と訳の分からない国内視聴率をキープしていた。
夕方には魔法鎧の引き渡しも完了し、明日からの3日で隊員の選抜が始まる。
後はマチュアはのんびりと待機、東京湾上にゆっくりと浮上しているナーヴィス・ロンガでのどかな休日を堪能している。
‥‥‥
‥‥
‥
「うわ、これが異世界の戦艦ですか」
ナーヴィス・ロンガ後部格納庫で、梅津アナが驚きの声を上げている。
会談翌日、マチュアはYTVの申し出を受けてナーヴィス・ロンガの取材を許可していた。
案内はノインが行い、中継時間は気が済むまでという大盤振る舞いを敢行した。
結果、生放送は2時間とし、その後はとにかく艦内を案内してもらい、取れるだけの映像を撮りまくるという事になった。
その間も、マチュアは静かに艦橋に待機し、ララからの報告をじっと聞いていた。
「はぁ、この光点が異質体ね」
「ええ。最初の確認地点はアメリカ・オレゴン州のグースベイです。そのままゆっくりと43度線を西に向かって進行、時速100kmほどて移動を続けています」
正面モニターをじつと眺めているマチュア。報告にあった光点は、今なおも進行を続けている。
「これって、こっちから仕掛けることはできないの?」
「地下なんですよ。どうやって移動しているか見当もつきません」
そう告げられると、マチュアも腕を組んで考えてしまう。
「札幌だろうなぁ‥‥予想到着時間は?」
「75時間後ですね。どうしますか?」
そうなると、丁度自衛隊の魔法鎧搭乗員の選定が終わるころである。
「あまり大事にはしたくないなぁ‥‥上陸地点の算出はできている?」
「ムリですねぇ。最悪、居酒屋・冒険者ギルドの真下っていうことにもなりますが」
「それは駄目だ。トラップの術式を仕掛けます。場所は根室沖合、私はすぐに出るので、ナーヴィス・ロンガは取材が終わったら追いかけて来て」
「一人で大丈夫ですか?」
「まあ、今の私は無敵だよ。倒したかったらストームでも連れて来いってね」
あ、ストームには勝てないんだ。
ララはウンウンと頷いて、マチュアが艦橋から出て行くのを見送った。
‥‥‥
‥‥
‥
根室沖、80km。
イーディアスⅢの高機動形態で海中に飛び込むと、マチュアはゆっくりと海底に向かって進んでいく。
「さて、こっからが勝負だなぁ‥‥地中を進んでくる敵か。聖域範囲・魔術障壁・可変っっっ」
──キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
一瞬でマチュアは地下に向かって魔術によるバリアを張り巡らす。
地下1000m、左右に5000mの巨大な魔術の定置網、それを設置して、マチュアはそれを維持するためにイーディアスⅢを海底に固定する。
「続いて、アクティブセンサー展開、GPSコマンドと連動して‥‥まだ範囲外かぁ」
静かにモニターを眺める。
後は敵が範囲内に入った時に対処するだけ。
そのままマチュアはしばし仮眠をとる事にした。
〇 〇 〇 〇 〇
二日後、根室沖。
ナーヴィス・ロンガは東京湾からゆっくりと北上し、マチュアの眠っているイーディアスⅢ上空で待機している。
『‥‥マチュアさま、異質体は前方2500m、速度上がっています』
「こっちでも確認済みよっ。イーディアスⅢ、戦闘モードに変形っ!!」
──シュンッ
イーディアスⅢが変形した直後。
異質体は地下から海中に上がってくると、一瞬でイーディアスⅢの真横をすり抜けていく。
そして海上に飛び出すと、体長10mほどの小さな竜の姿になって札幌へと飛んでいく。
「ちぃっ、網から逃げたか!!」
すぐさまイーディアスⅢを高機動モードに変形させると、海中から飛び出して一気に竜を追いかけていく。
だが、竜の速度とイーディアスⅢの速度はほぼ同速度、前方を飛んでいく竜になかなか追いつく事が出来ない。
竜は僅か5分で根室から札幌上空まで飛んでいくと、一直線に居酒屋・冒険者ギルドに向かって急降下していった。
‥‥‥
‥‥
‥
「緊急速報?」
「へぇ。またマッチュ様が何かやらかしたか?」
時間は昼休み。
のんびりと遅めの昼食を取った真央は、テレビのニュースをじっと見ていた。
傍らでは善も週刊誌を読みつつ、番茶をすすっている。
──ピンポンパンポーン
『緊急速報です。根室沖に出現した未確認飛行物体が札幌上空に到着、市民の皆さんは慌てず騒がず避難所に移動するようにお願いします。繰り返します、根室沖合に‥‥』
「なあ善さんや、これってまたウルルドラゴンとやらかねぇ」
「まさか。あれはマッチュ‥‥じゃない、ミナセ陛下が倒したんだろう?」
「報道ではそう言っているねぇ。でもあれだ、その中に残っていた核みたいな意識体が自我を持って暴れてとか、そういうパターンだったりして」
「それこそ映画の世界だよ!! ありねぇ~」
そんな馬鹿話をしていると、突然建物の上空で空を引き裂いたような音が響く。
そして建物の外に何かが落下したような衝撃波と同時に、すべての窓が吹き飛んだ。
──ガッシャァァァァァァァァァァァァァァァン
席がカウンターであったのが幸いし、真央と善は割れた窓ガラスの被害を受けることはなかった。
だが、何が起こったのか外を見ると、純白の竜がじっと真央たちを睨みつけていた。
『ミツケタ‥‥ミナセマオ、キサマヲコロス』
そう咆哮にも似た声を上げたかと思うと、白い竜はゆっくりと点滅して縮んでいく。
やがて一人の女性の姿に変化すると、ゆっくりと居酒屋の扉に手を向けて‥‥。
「ジェリコの鐘式・スラッシュキーーーーック」
マチュアはイーディアスⅢを人型に変形すると、上空から超高速で飛来し女性の姿に変化した異質体に向かってスラッシュキックを叩き込む。
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォッ
その一撃で異質体は建物の左に吹き飛んでいく。
身長5mの人型起動兵器のキック、じつに数十トンの威力の直撃を受けたにも拘わらず、エクストラはかすり傷程度しかついていない。
だがマチュアもイーディアスⅢのコクピットから飛び出すと、建物自体に聖域範囲・敵性防御を展開する。
「二人共事情は後で説明します。建物に結界を施しましたので、そこから出ないでください、関係機関に連絡を、この辺りは戦場になりますので避難するようにと」
「「は、はい!!」」
それだけを告げて、マチュアは外に飛び出す。
そして近くの路上でゆっくりと立ち上がる女性を確認して、すぐさま白銀の賢者モードに換装した。
「あら、どっかで見たと思ったら、ウルルドラゴンの上半身さんか‥‥まだ生きていたの」
『私にはエクストラという名前がある‥‥マチュアめぇぇぇぇ』
メキメキと拳を鳴らすエクストラ。
瞳は吊り上がり、マチュアのクローンとは思えないほどに醜悪な形相をしている。
だが、マチュアはそんな姿を見ても涼しい顔である。
「深淵の書庫起動‥‥過去の全戦闘データの統計、私とあいつ本気でやりあった場合の周辺の被害は?」
『ピッ‥‥札幌と同じ直径のクレータが発生する確率88.259%』
「あ‥‥詰んだ、あっちは全力でもこっちは駄目だわ‥‥」
ブツブツと呟きつつ、エクストラの出方を見る。
だが、エクストラは全開でマチュアに向かって攻撃を仕掛けてくる。
「何処まで守り切れるかしら‥‥英霊よ。燃え盛る槍を与えたまえっ」
──キィィィィィン
エクストラの周囲に12個の魔法陣が浮かび上がる。
「やらせないよ!! 自動追尾型・理力の盾っっっっ」
次々と炎の槍が生み出されると、次々とマチュアに向かって高速で飛来する。だが、マチュアの周囲に魔力によって形成された盾が4枚生み出され、飛んでいく。それはマチュアの意思とは無関係に、飛んでくる炎の槍を自動的に受け止めていった。
しかし、炎の槍の何本かはマチュアとは全く関係ない方角にまで飛んでいくと、着弾した建物を次々と燃やし始めた!!
あちこちの民家が、ビルが燃え始め大勢の人々が建物から飛び出してくる。
だが、エクストラはそれらの人々の方を向くと、さらに炎の槍を起動させて‥‥。
──キィィィィィィィィィィン
「聖域範囲・敵性結界っっっっ」
一瞬でエクストラの周囲に結界が広がる。
放出された炎の槍はその壁に直撃して霧散し、その効果を失ってしまう。
「ふん、こんな結界程度‥‥結界中和能力があるのを忘れたのかしら?」
エクストラが吐き捨てるように呟いて結界の内壁に手を当てる。そして壁を中和しようとして、いきなり弾かれてしまう。
──バジッ
「な、何よ、どうして中和出来ないのよ」
動揺して再度壁に触れるが、それでも結界は中和出来ない。
ならばとエクストラは神威を掌に集める。
「これならどう?
あなたの神威の集まった中和能力よ‥‥これなら、貴方の作った結界なんて無に等しいわ‥‥」
そう呟いて壁に触れるが、それでも結界からはじき出される。
──バジッ
「な、何よ、どうしてなのよ、この神威はあなたのものよ、この肉体だって‥‥なのに、どうしてあなたの結界を越えられないのよ?」
絶叫するエクストラ。これにはマチュアも判っていないが。
『神威の方向性変換です』
脳裏に深淵の書庫の説明が走る。
それでマチュアは理解した。
「あんたの持っている神威って、私が亜神で創造神の眷属だったものよね? それじゃあ無理だわ‥‥」
「な、何故、どうしてよ、同じ力を持つ、同じ神威を持つ存在なのに」
「それは誤解だわ。だって、今の私は‥‥1/4無貌の神なんだから‥‥創造神とは対をなす存在、この体内の私の神核も、破壊神だぁよ‥‥」
それゆえ、以前のマチュアの力では絶対的に勝てるはずがない。
そしてマチュアは勝利を感じ取った。
「惜しいわぁ。以前の私だったら負けていたかもね。でも、あなたはもう何も出来ないわ……
『悪魔マチュアのスキル全て有効化』……と、さて」
すうっと息を吸う。
そして瞬時に女王モードに換装すると、マチュアは結界の中のエクストラに向かって一言。
「マチュア・ミナセが真名において命ずる‥‥真名マチュアエクストラよ、その場にひれ伏しなさい‼︎
──ガクッ
突然その場に跪くエクストラ。
当然、自分の意思で跪いたのではない。
「な、何よ‥‥一体何があったの‥‥どうして体が動かないのよ‥‥」
「まあ、神様から問答無用で魂縛られちゃあねぇ、そりゃあ動けなくなるわよ」
そう告げてから、マチュアは空間から一振りの剣を引き抜く。
愛剣ザンジバルの柄だけ‥‥刀身はレイフェが使っていた際に砕かれて未だ再生途中である。
「問答無用で、一撃で屠ってあげ‥‥れないじゃない、いったいどうなっているのよ!!」
思わず動揺するマチュアだが、すぐさまザンジバルを空間収納にしまい込む。
「やり直し‥‥ゴホン、エクストラ、そなたの罪は断じて許すわけにはいかないわ。カリス・マレス式‥‥いや、マチュア式の処刑を行います」
──ブゥン
両手を合わせて『魂のスフィア』を形成する。だが、その中身は空のまま、外殻だけを形成した。
「貴方も危険なのでね‥‥作られたその命、私のクローン、神の寵愛を受けていない者よ‥‥未来永劫、闇の中に眠りなさい」
そう呟くと同時に、マチュアは右手に魂のスフィアを手にしたまま、一気に跪いているエクストラに向かって駆け寄ると、そしてその顔面に向かって力いっぱい右ストレートを叩き込む。
──ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
そしてすぐさま『捕獲』の魔術式を発動すると、エクストラの魂をスフィアの中に吸収した。
そうなると残った肉体は徐々に塵となっていく。
所詮は作られた存在、魂が消失してしまえば存在する事は出来ない。
「おおっと、右腕だけ返してね」
素早く右腕を掴んで引っ張ると、マチュアは過去に失った右腕を引きちぎって空間収納に放り投げる。
これで全ては終わり。
近くの派出所から駆け付けた警官によって大勢の人々が誘導されていく。
それを見送ってから、マチュアは酒場・冒険者ギルドに歩いて行った。
誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。






