ラグナの章・その6 黒幕も纏めていってみよう
大会初日の試合は全て終了。
取り敢えずは、ウォルフラムを急ぎシルヴィー邸に運び込まないといけないので、身内以外の人が居なくなるのを確認してから、マチュアは先に『転移』でウォルフラムを屋敷へと運び込んだ。
その後、ストーム達は馬車で屋敷へと向かう事にした。
屋敷に到着したマチュアは、取り急ぎウォルフラムの部屋まで彼を運び込むと、再び魔法陣を起動する。
(死者蘇生は、一瞬で意識が戻るわけではないのか‥‥)
頭の中で魔術の精査をしているマチュア。
結果としては、死者蘇生は意識はすぐに戻るが、体はすぐに回復しないらしく、離れていた魂と肉体の定着には時間がかかる事も理解した。
だが、ウォルフラムの意識は未だ戻らない。
これについては原因不明である。
「おや、マチュアは戻っておったのか‥‥」
とシルヴィーがウォルフラムの部屋にやってきた。
「はいはい。ウォルの怪我の手当が大変で。まあ七日もすれば意識が戻るかとー」
と笑いつつ告げる。
「そうか。なら良いのだが、明日の試合は無理をせず頑張るのぢゃぞ。今日の妾は鼻が高かったからのう、鼻たーかだかぢゃ」
と嬉しそうに告げるシルヴィー。
幻影騎士団の三回戦進出には、やはり他の騎士団や王侯貴族から色々と聞かれたらしいが、全ては『幻影騎士団は実体の無い騎士団ゆえ、全て秘密なのぢゃ』という事で話を通したらしい。
「あ、もう少ししたら皆も戻ってきますので」
「そうか‥‥と、マチュアはどうやってここまで戻ってきたのぢゃ? 迎えの馬車は一台しか出していなかったのぢゃが」
とシルヴィーに問いかけられたので、例の『転移の祭壇』までシルヴィーを案内する。
そして使い方を一通り説明してみたが。
「ふむ。これが?」
とシルヴィーも手をかざす。
「ほう。サムソンと、此れはカナン郊外か。本当に行けそうぢゃな。これをマチュアが?」
「その通りです。こう見えても私はトリックスター、こんな変な事は得意です」
と大見得を切ってみせる。
「まあ、あまり派手に使わなければ問題は無いぢゃろう。それに妾も此れを使ってみたいしのう。これは、妾の住むベルナー領の、妾の城にも繋げるのか?」
「私が直接向かえば可能かと。もし祭壇を作るのでしたら、誰も許可なしでは入れないような部屋を作るのがよろしいかと。これ、実は魔力が一定量あれば誰でも使えるのですよ」
とシルヴィーに告げる。
「ほほう。そうか。では、此れは妾達、幻影騎士団の秘密ぢゃ」
と二人で悪巧みの最中に、ストーム達は戻ってきた。
そして初日の簡単な報告とウォルフラムの容態の説明をした後、一行は食事を終えてから明日の打ち合わせを始めることにした。
「明日の試合なんだが‥‥」
とストームが、その場にいる騎士団とシルヴィーに話し始める。
「ちょっと気になる事がある。それを確認したいので教えてほしいのだが、シルヴィーは貴賓席から試合を見ていたのだろう? 何故ウォルはあんなに酷い怪我をするまで、敗北宣言しなかったんだ?」
ウォルフラムなら、あそこまで酷いことになる前に敗北宣言は出来たはず。
そこが納得いかないストーム。
「そこなんぢゃよ。どう見ても敗北は明らかなのに、ウォルフラムは戦い続けていたのぢゃ。途中でなにかラグナとやらと話をしていたようだが、そのまま戦闘は続けられた。審判が近くでみていたのぢゃが、審判は止めなかったのぢゃ」
明らかに何かあったことは確実である。
だが、何が起きていたのかは、当事者達のみしか分からない。
「審判は誰が選んだ?」
「王都の護衛騎士の中から、副団長クラスのものを選抜しておる。まさか審判が買収されている可能性があるとでも?」
シルヴィーが告げる。
「可能性はある。が、それよりも。マチュア、一寸耳を貸してくれ」
「はい? なんで私?」
「頼みがある、明日なんだが‥‥」
とストームがマチュアに何かを告げている。
「あ、あーーー。了解さ。そういう事ね‥‥ではちょいと準備してくるね」
と告げて、マチュアはその場を後にした。
「ん? ストーム、何を企んだのぢゃ?」
と問い掛けるシルヴィーに、ストームは一言。
「最悪の事態を回避するべく、マチュアに保険を掛けてもらうだけだ。明日はシルヴィーにも協力を頼む」
とだけ告げる。
それ以上は何も話をせず、ストームも自室へと戻っていった。
○ ○ ○ ○ ○
翌日。
大会二日目は第一試合から大荒れの模様だった。
試合もさることながら、貴賓席でも別の争いが見え隠れしている。
今日の貴賓席には、シルヴィーの隣にマクドガル侯爵の姿もあった。
にこやかな表情のマクドガル侯爵と、それを横目に渋い表情をしているシルヴィー。
「さて、貴方が何かを企んでいるのは判っています。ですが、それも今日までです。さて、楽しい試合でも観覧しましょうか」
「そうじゃのう。こちらも楽しみじゃ。貴公が絶望に打ちひしがれる姿が見えそうじゃからな」
「はっはっはっ。所詮は子供の考えること。現実はもっと残酷な事があるのを‥‥いえ、そろそろ試合に集中しましょう」
とマクドガル侯爵が告げる。
その言葉に対しては返事など返さず、シルヴィーはじっと会場を見つめていた。
(頼むぞストーム‥‥)
「大変おまたせしましたっ。これより第三回戦の第一試合を開催しますっ」
昨日に引き続き、解説の声が風の精霊魔法によって会場に響き渡っていた。
「鍛冶師というのは仮の姿か、戦闘のプロフェッショナル、ボディービルダー・ストームの入場だっ」
――ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
会場全体に歓声が湧き上がる。
それに合わせて、ストームが静かに会場に入ってくる。
その姿は先日と同じ、着物に日本刀、陣笠という出で立ちである。
「さて、問答無用で行かせてもらうか」
静かに開始線まで向かい、そこでじっと待つストーム。
「そして対戦相手は異世界の勇者・ラグナだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
――ワァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ
再び喝采が巻き上がる。
解説の紹介と同時に、ラグナが会場に入ってくる。
昨日と同じレザーアーマーにロングソード、スモールシールドという出で立ちである。
そして静かに開始線に付くと、ストームに頭を下げる。
「宜しくお願いします」
静かに頭を下げたラグナ。
そして審判が二人の間に立つと、試合開始を叫んで走って下がっていく。
「それではっ、試合はじめっ!!」
――ヒュンヒュンッ!!
試合開始の合図と同時に、ラグナが素早い乱撃をストームに向かって放つ。
それは先日までの速度よりも遥かに早い。
「うーーーむ。昨日とは全く強さが違う。これが、君の本当の力なのか?」
と、全てを紙一重で躱し続けて、ストームがラグナに問い掛ける。
「昨日は大した事なかったからね、貴方は強いんでしょ? お母様から聞いている‥‥ヨ」
と笑いつつ、どんどん乱撃の速度を上げてくる。
が、それらの攻撃は一度もストームには当たらない。
「お母様か。まあ、そろそろ此方も仕掛けさせて貰っていいか?」
――ヒュンッ‥‥チン!!
「いつで‥‥も‥‥え?」
ストームの言葉と同時に、ラグナの右腕が肘から落ちる。
ストームの居合い斬りの一撃である。
だが、ラグナにはその軌跡が見えていなかった。
「ウァァァァァァァァァァァッ。何で、何で僕が、僕の腕が‥‥」
後ろに下がり、傷口を抑えるラグナ。
その傷口が淡く輝き、出血が停止した。
「これは昨日のウォルの分な。さて、どうする?」
と刀で自分の肩をトントンと叩くストーム。
「‥‥使徒のくせに‥‥」
と呟きつつ、切断された腕を手に取り、それを肘に付ける。
――シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥツ
見る見るうちに、ラグナの切断された腕が接合していった。
――ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ
その光景に、会場は正に興奮状態である。
「フン、腕の接合ごとき、もう見飽きたわ‥‥一般的には不可能だが、うちの天才的阿呆はそれが得意技だ」
「ウルサーーイ、ウルサイウルサイウルサイ‥‥悪魔ノ使徒ガ、シルヴィーノ使徒ハミナ殺シダ」
ラグナの瞳が釣り上がり、ニイッと口角が上がる。
その瞬間、ストームは自分たちの周囲に結界が張られた事に気がついた。
「結界か‥‥」
「ソウダヨ。コノ結界ノ中ノ音ハ、ソトニハキコエナイカラネ‥‥君ガマケヲミトメテモ」
「聞こえないってか。そういう事か。ウォルがどうしてあそこまで傷ついたか判った」
と呟くと、再びヒュンッと刀を抜く。
――ズザッ
とギリギリの間合いで、それを躱すラグナだが。
――ズバァッ
と今度はラグナの左腕が肩から落ちた。
「グァァァァァッ、ナンデ‥‥」
そんなラグナの言葉には一切耳を貸さず、ストームはチラリと審判を見る。
だが、審判は此方を見ているものの、試合を止めるような素振りは見せない。
「‥‥ギブアップしないのか? それとも審判には見えていないのか?」
と、ニイッと笑いつつ告げる。
「気ガツイテイルノカ?」
「結界だろう。この中で起こっている事は、外からは見えていないんだろうさ。もしくは俺とラグナの普通の戦いを幻影として投射しているのか?」
と呟く。
「クックックックックッ、ソコマデ分カッテイルノナラ‥手加減ハイラナイナ」
とラグナの姿が肥大化を始めた。
「まあ、これは予想外だったが‥‥ほれ」
とストームも刀を抜いて、素早く振る。
――ガキィィィィン
突然、ストームたちの周囲に張り巡らされていた結界が破壊される。
そして観客たちは、ストームと彼の目の前に立っている、異形の姿になり始めたラグナの姿に驚愕した。
――キャァァァァァァァァァァァァァ
絶叫が響く。
ラグナの身長はゆうに3m、全身に竜の鱗を身に纏い、背中からは蝙蝠のような翼を生やしている。
そして頭部には、竜の角と悪魔の捻れた角の両方が生えていた。
カーマインによって作られた疑似生命体‥‥『人造悪魔』。
それがラグナの正体である。
受肉に使われた竜などの魔物の力を持ち、カーマインによって様々な知識を授けられた作られた勇者。
「なんとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。勇者ラグナの姿が突然、伝説の悪魔の姿に変化したぁぁぁ」
――チッ
とその光景をじっと見ていたマクドガル侯爵が舌打ちする。
(あの馬鹿が、しくじったな‥‥)
「さて、悪魔はどうやら君のようだが。何か言い残したいことは?」
とストームが呟く。
「ナニォォ。悪魔ハ貴様タチダ、シルヴィーガ悪魔ナノダ、マクドガルサンハ、ソウイッテイタ!!」
絶叫しながらストームに向かって駆け寄ると、ストームに向かって拳を叩きつける。
――ドドドドドドドドドドドトドッ
と拳による乱打。
幾つかは躱していたものの、数発がストームの体に直撃した。
一気に後方に吹き飛ばされるが、どうにか倒れる事なく大地に踏ん張る。
だが、ストームの口元からは血が流れている。
(ちっ、肋骨と内臓を少しやられたか‥‥まあ、死ななきゃなんとかしてくれる筈だから‥‥)
その場で居合の構えを取るストーム。
「ソノ技ハモウ見タンダヨ、勇者ニハ、一度見タ技ハキカナインダヨォォォォォ」
スゥゥゥゥッと息を吸い、そこから一気に炎を吹き出す。
――ゴゥゥゥゥゥゥッン
『竜の息』がストームに向かって吐き出された。
それをなんとか躱してみるが、逃げる時に右足を燃やされてしまう。
「グッ‥‥熱い‥‥これはやばいか」
燃え落ちてはいないが、酷い火傷である。
居合の構えを解除し、再び間合いを取って構え直す。
「しかし、ドラゴンブレスはな、連続では使えない筈なんだよ」
と告げると、じっとラグナの方を見る。
どうやら図星らしく、今度は体表の鱗が銀色に輝いた。
「コノ鱗ハ、ドラゴンノ鱗ダ。オマエナンカノ武器ジャ、傷ツカナイゾッ」
と叫びつつ、一気に駆け寄ってくるラグナ。
「ふぅ。済まないなぁ‥‥」
――ガギィィィィッ
とストームもラグナに向かって駆け寄ると、すれ違いざまに居合抜きを叩き込んだ。
ストームの右頬はラグナの爪によってざっくりと抉られ、そしてラグナの胴体は真っ二つに切断された。
――グァァァァァァァァァァァァァァァァァ
そんな姿になっても、まだ死ぬことはなく絶叫するラグナ。
「浮雲という居合の技の一つだ。まあ、斬れないものはない‥‥」
すかさず振り返り、今度は刀身に『波動』を注ぎ込む。
もはやラグナはドラゴン化した体を維持できていなかった。ラグナの肉体を作るために使われたのであろう、様々な化物の混ざった肉の塊になっていた。
「マダダ、オカアサン、マクドガル、マダタタカエルヨ、ダカラチカラヲ‥‥」
――ヒュゥンッ
と、ストームが肉塊に向かって『波動』の乗った一撃を叩き込む。
ラグナだったものの傷口が淡く輝き、ゆっくりと霧散していった。
「これでお終いか。ん?」
と、ラグナの姿が全て消えたのち、ストームの右腕には見たことのない文様が浮かび上がっていた。
○ ○ ○ ○ ○
そして貴賓席でも、ひと騒動が起きていた。
化物の姿となったラグナについて、王国騎士団が詳しい話を聞きたいと詰め寄っていたのである。
「さて、私は彼の正体など知りませんでしたよ。彼は自分で大武道大会に出てみたいと売り込みに来ていたのです。ですから、私は推薦しただけでして」
と、笑いつつ告げるマクドガル侯爵であるが。
「ナニォォ。悪魔ハ貴様タチダ、シルヴィーガ悪魔ナノダ、マクドガルサンハ、ソウイッテイタ!!」
と会場でラグナが叫んだ時、騎士団は素早く抜剣した。
「これは詳しいお話を聞かせて貰わなくては行けませんが、ご同行願います」
マクドガルに向かって4人の騎士が近づいていく。
「ふん、もはやこれまでか‥‥カーマインっっっ」
とマクドガルが叫ぶと同時に、彼の足元の影から悪魔の姿をしたカーマインが姿を現した。
「俺は此処を突破する。貴様は皇帝を殺せっ!!」
マクドガルがそう叫ぶと、カーマインは笑いながら外に飛び出した。
そしてマクドガルは何かを口の中に放り込み、飲み込む。
――メキョメキョッ
見る見るうちにマクドガルの体が膨れ上がり、異形の化物の姿に変化し始めた。
「ば、化物だぁぁぁぁぁぁ」
その光景を見て、貴賓席の貴族たちが次々と出口に向かって走り出した。
そしてマクドガルを押さえ込もうとした騎士たちに向かって拳を振るうと、貴族たちをその怪力で後ろに跳ね飛ばした。
「クックックッ。最初カラこうすればヨカッタノカ‥‥」
と笑いつつ、隣の席から逃げようとしているシルヴィーに向かって走り出すと、右手の爪を鋭く伸ばして襲いかかる。
「先ニ貴様カラ血祭リニアゲテヤルゥゥゥゥゥ!!」
と駆け出して、シルヴィーの体に触れようとした時。
振り向きざまに、シルヴィーが震脚と呼ばれる踏み込みを行うと、そのまま肩口と背中でマクドガルに向かって体当たりをした!!
――ドッゴォォォォン
「鉄山靠っつっ!!」
その一撃で後方に吹き飛ぶマクドガル。
何かを叫んでいるようだが、口から大量の血を吹き出しているので聞き取ることは出来ない。
――シュゥゥゥゥゥゥ
とシルヴィーの姿が、覆面をした忍者の姿に代わる。
「私はシルヴィー殿の影武者‥‥貴公の企みもこれまでだ‥‥」
と忍者が呟く。
その横には、ベルナー騎士団のスコットの姿もある。
「この者は公爵に対しての狼藉を働いた!! その罪は万死に値する!!」
とスコットが叫ぶと、王国騎士たちはマクドガルを捕らえて連行していった。
そしてその光景を、カーマインは上空からじっと眺めていた。
「残念ねマクドガル。ラグナが負けた時点で、この楽しい遊びはお終いなのよ‥‥私如きが皇帝を殺せるわけないじゃない‥‥」
と呟いて、すっと消えていく。
○ ○ ○ ○ ○
「し、試合の方もどうやら結着がついたようです。勝者、幻影騎士団ストームゥゥゥゥゥゥ」
解説の勝ち名乗りが上がったところで、ストームはそのまま控室へと戻っていった。
そして本日の試合だが、マクドガル卿の引き起こしたこの事件について詳しく調べるのと、会場にいる観客の安全を考えて、本日は三回戦の残り試合を行って終了とし、準決勝と決勝は後日改めて行うこととなった。
「さてと、あとはマチュアの出番か‥‥」
と控室を眺めるが、いる筈がないのは判っていた。
「ストーム様、マチュア様の姿がまだ見えないのですが」
「ああ、出るかどうかも分からないなぁ。あいつ魔力まだ残っているのかなぁ」
と笑いつつ返事を返すストーム。
「そ、そんなぁ。ストーム様の怪我も直さないといけないのに、どうすれば」
「ただーいまっと。お、ストーム随分と酷い怪我してるじゃん」
とシャーリィの言葉の途中で控室に戻ってくるマチュア。
「よ、そっちの方は?」
「黒幕は今頃投獄されているはずだよ、そろそろ出番かな?」
「その前に、俺の怪我を直してくれ。正直、痛い。脚が酷い」
と呟くストームの怪我を魔法で癒やすと、マチュアは武道着に装備をつけなおして、ウォーミングアップを開始した。
そして三回戦の最終戦、マチュアは意気揚々と会場に向かい、1時間程で試合を終えて戻ってきた。
対戦相手はこの王都の拳闘士のチャンプ、ジャガーマン。
今日も相手のペースを考えつつの試合運び、そしてギリギリの戦いを行いつつどうにか試合に勝ったらしい。
「一撃で終わらなかったが‥‥」
「いや、アレは無理、正直言って、負けるかもと思ったわ」
マチュアの本気を知らない人は、その言葉に頷く所である。
「さて、それじゃあ屋敷にでも戻りますか」
とストームが告げたので、一行は馬車に乗って屋敷へと戻っていった。
誤字脱字は都度修正しますので。
その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。






