日常の章・その12 冒険者救出作戦
カナン東方森林。
カナン魔導王国東方、草原地帯を抜けた先にある広大な森林には、動植物を始めとした様々な資源が豊富に存在している。
その為、それらを狙って他の大型モンスターやゴブリン・コボルト・オークといった亜人種までもが徘徊している危険な地域である。
「はてさて、どの辺りにいることやら‥‥」
隠蔽で箒と一緒に姿を消し、のんびりと森の中を探してみる。
一時間ほど森の中を奥へ奥へと飛んで行くと、ひらけた場所にゴブリンの集落があるのを見つける事が出来た。
丸太や枝を組んだ簡素な作りながら、戸数は20以上、周囲には丸太で柵まで作ってある。
「おおう。普通に村として機能している。ここ襲撃したら、スライムの王様とか出て来ないよなぁ。出て来たら勝てる自信ないぞ‥‥と」
村の入り口の柵が開き、馬に乗った人間が村に入って行く。
全身をレザーアーマーに包み、ショートソードを下げている。
冒険者装備に身を包んでいるが、クラスがあやふやでわからない。
その男たちの元に、恐らくは村の長であろう体格のいいゴブリンが近づいて行くと、なにやら話を始めていた。
(もう少し近くでないと聞こえないか‥‥)
――ス――ッ
ゆっくりと高度を落として、人間たちの上空に待機する。
「人間を捕らえたと聞いたが、今度のは上玉だろうな?」
「ヘッヘッ、以前とは違う、女二人と男一人、わからない言葉で叫んでる、いくらで買う?」
「ものを見てからだな。何処にいる」
「こっちだ、ついてきてくれ」
そう話してから、奥にある倉庫のような建物に向かう。
マチュアも上空をスーツとついて行くと、ゴブリンが扉を開くのを待っていた。
――ガチャッ
南蛮錠を開いて中に入って行くゴブリンと人間。
その後ろをそーっとついて行くと、小屋の奥には猿轡をつけられ、両手足を縛られた人間が転がっている。
「ム――ッンッングンググッ」
レザーアーマー上下の男性と、ローブ姿の女性が二人。
報告にあった三人組の地球人であろう。
幸いなことに陵辱されたりという感じはなかったらしいが、もし売り飛ばされたらそこで終わりである。
「男は金貨5枚、女は20枚だな」
「男は5枚でいいが、女は一人30枚だ、こいつらの荷物もつける」
ゴブリンがバッグを三つ持って来ると、中の荷物までばら撒いた。
そこにはビニール製の袋やらスマホやら、着替えとおやつまで入っている。
「ほお、こいつらはあれか、最近になってカナンを出入りしている地球人らしいな。さっきの金額でいい。馬車の手配に二日掛かるから、二日後の昼に来る」
それだけを告げると、男達は小屋から出て行く。
そして馬に跨ると、ゴブリンの集落から出ていった。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
――シュンッ
異世界ギルドの執務室に戻ったマチュア。
部屋の外に出てカウンターに座ると、今の状況を確認する。
「デビット、今はどうなってる?」
「マチュアさん待ちでした。今、応接間で棚橋大使がフィリップさん達と打ち合わせというか、話を聞いてます」
「成程ねぇ。じゃあ行って来ますか」
そう話してから、マチュアも応接間に向かう。
扉を開いて中に入ると、ツヴァイとフィリップ、棚橋大使、それと棚橋の秘書官が座っていた。
「マチュアさん、囚われたという人々は?」
「今はゴブリンの集落にいたよ。明後日の昼には盗賊団に売り飛ばされるから、早く助けにいった方がいいね」
あっけらかんと話すマチュア。
だが、棚橋大使は不機嫌である。
「そこまでわかっていて、どうして助けてくれないのですか?マチュアさんなら一人でも大丈夫だと伺いましたが」
「あの程度のゴブリンの集落から助けるなんて楽勝ですけど、それは異世界ギルドの仕事ではないですよ。冒険者ギルドに救出依頼を出す事をお勧めしますよ」
「それで間に合わなかったらどうするのですか?」
「まあ、冒険者ギルドに登録する際に、命の危険があることは説明してあります。カリス・マレスの冒険者は常に命のやり取りをしているのですよ?それに対して、地球人の冒険者に何かある度に異世界ギルドが動くのは無理ですよお」
その説明には棚橋も理解している。
だか、助けられるものを助けないマチュアに対して苛立っているのだろう。
「冒険者ギルドには依頼を出します。やり方を教えてください。しかし‥‥マチュアさんが動かないのは意外でしたよ」
「棚橋さん、誤解ないように説明しますが、今回の拐われた人達は運がいいのですよ?拐われる瞬間を見ていた人がいて、私の所に連絡してくれたのですから。そうでなければ人知れず拐われて売り飛ばされ、行方不明の地球人がリストに上がっておしまいですから」
「それについては感謝します。私達もカナンの、カリス・マレスのやり方を覚えさせてもらいます」
「では、ツヴァイ、棚橋さんを冒険者ギルドへ。登録のやり方を教えてあげてきてください」
マチュアの言葉にコクリと頷くと、棚橋は秘書官とツヴァイとともに部屋から出ていった。
「しかし、わざわざ悪者にならなくてもよろしいのでは?相変わらず遠回りなさいますなぁ」
棚橋達がいなくなってから、フィリップがマチュアに話している。
だが、マチュアはニコニコと笑うだけ。
「ドライ、この座標にいる地球人の影に潜り込んで待機。もし三人の身に危険が及んだ場合は分かるよね?」
小さめの記憶のスフィアを作り出して、カウンター業務中のドライに投げて渡す。
――バシッ
すぐさま魔力分解して取り込むと、ツヴァイはマチュアに敬礼する。
「これこそ俺の仕事なんですよ?」
「いいから早く行きなさい。どうせツヴァイにはこうする事ぐらいバレているから」
「だったら回りくどい事しなくても良いのでは?」
「いいのいいの。こっちにも考えがあるんだから。早よ行きなさい、私が行ってドライはここで仕事してきても良いんだよ?」
そう話した刹那、ドライは異世界ギルドから出て行った。
後は募集した冒険者が素直に救出してくれれば良しである。
「そんじゃあ、ちょいと冒険者ギルドに行ってきますよ。様子見てこないと」
――シュンッ
久しぶりのエンジに換装すると、マチュアは箒に跨って冒険者ギルドへと飛んで行った。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
箒に乗って移動した為、棚橋達よりも先に冒険者ギルドに到着したエンジ。
ならばとカウンターに向かうと、エンジは冒険者ギルドのギルドマスターを呼び出した。
「おや、どなたが私を呼びつけたかと思いましたら。どうなさいました、エンジさん」
「人払いして。ちょっと難しい話なので」
「はっはっ。ではこちらへどうぞ」
あっさりとギルドマスターの執務室に案内されると、エンジはソファーに座る。
「その姿でここに来るということはお忍びで。何か緊急ですね?」
「物分かりがよくで助かりますよう。実は‥‥」
カナンの各ギルドマスターは、マチュアとエンジが同一人物であることを知っている。
もっとも職員は知らないので、マチュアがこの格好で来るという意味を、ギルドマスター達は理解している。
地球人が拐われた件を一通り説明すると、ギルドマスターも腕を組んで考える。
「私達ギルドは、特定個人に対して贔屓するような事はありません。依頼人がいて、報酬さえ支払われるならば、全て等しく扱います」
「それで良いと思いますよ。今日私が来た理由だって、こういう事が今後もあるので、その時は手続きを宜しくという挨拶だけだから」
「では、地球人絡みの依頼が来る時はと、全員に説明だけしておきますので。しかし東方森林とはまた、厄介な所ですねぇ」
カナン周辺に潜伏している盗賊集団。
中でも南方と東方の盗賊団は規模が大きく、裏社会にもかなり精通している。
「あの辺りはどこの組織だっけ?」
「南方のナイトウォーカーズと東方のカゲロウ、西方のサンドラットが有力ですね。人身売買はカゲロウとナイトウォーカーズが専門にやってますけど、カナン魔導連邦では、外の盗賊団の取り締まりはしないのですね」
「やってもすぐに復活するし。冒険者ギルドに任せますよ。さて、それじゃあ私はこれで失礼。一杯やって様子を見ますので」
スッと立ち上がってギルドマスターに頭を下げると、エンジは部屋から出てギルド内併設の酒場へと向かう。
――スッ
その途中。
ちょうど入り口から棚橋とツヴァイ、秘書官がやって来たので、エンジは知らないふりで酒場に向かうが。
――ピッピッ
『久しぶりにエンジを見たので忘れる所でしたよ。何してるんですか?』
「ギルマスに話は通した。後は棚橋さんに経験を積ませてあげて。万が一用にドライを拐われた連中につけてあるから」
『だと思いましたよ。では』
――ピッピッ
念話で話を通してから、エンジは酒場でエールを飲む。
しばらくすると、高額報酬の依頼が一枚貼り付けられたので、彼方此方の冒険者がこぞって見に行く。
すぐに二つのチームが依頼を受諾したらしく、酒場にやってきて依頼人である棚橋から詳しい説明を聞いていた。
「安全に拐われた人達を取り返すねぇ。難しくはないが、中に潜入して連中の安全を確保しないと暴れられないか」
「そうなると手練れのシーフやアサシン、ニンジャの手も必要だ」
地図を広げて場所の説明までしているらしく、やはり潜入部隊の冒険者が必要と判断している。
(あ、これはやばい。とっとと逃げるしかないか)
そーっとその場から離れると、エンジは建物の影でアルフィンに切り替わる。
そしてもう一度ギルドに入った時、棚橋の席にはチーム・西風のサイノスとメレア、フィリアも合流していた。
その近くの席に座ると、アルフィンは傍で聞き耳を立てて様子を伺っている。
「では明日の早朝に集まってください。よろしくお願いします」
早朝出発からの移動。
夕方には目的地に着くため、日が暮れてからの襲撃で奪回するらしい。
「ふむふむ‥‥なら、私の出る幕はないか」
ならばと、アルフィンはのんびりと異世界ギルドに戻った。
執務室でマチュアに戻ると、いつものようにカウンターに座る。
「エンジだったりアルフィンだったり忙しいですねぇ。今、棚橋さんとフィリップさんが応接間で話し合いをしていますよ」
「ツヴァイは話し合いには参加しないの?」
「私が出る必要はないでしょう。フィリップさんに全てお任せですよ」
「そうなの?」
「ええ。冒険者ギルドに依頼をして話してきたら、マチュアさんの行動にも納得したらしいですよ。日本人という立場なら、異世界や渡航先で何かあったら助けるっていうのが当たり前なんですけど、カリス・マレスの『全て自己責任』っていうのも理解出来るってね」
どうやらギルドで依頼を行なった際に、職員に色々と話を聞いたらしい。
「そこで、人の扱いに関しては百戦錬磨のフィリップさんが、カリス・マレスの事を色々と教えているそうです」
「何て適材適所。それじゃあ私の出番はないなぁ、後は任せて帰っていい?」
「お好きにどうぞ。とっくに勤務時間終わっているのでしょ?」
「そりゃあもう」
そう話してから、マチュアは馴染み亭へと戻っていく。
本当ならこっそりとついて行きたい所だが、明日も仕事。
ドライが付いているから、後は問題は無いだろう。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
「‥‥何でこうなったんだろう‥‥」
翌日早朝。
拐われた地球人救出作戦のメンバーと共に、マチュアも東方森林へと向かっている。
朝一の6時、教会の鐘の音と同時に異世界ギルドにやってきたマチュアは、そこで待機していたサイノス達とばったり出会った。
「マチュアさん、緊急事態です。地球人が東方森林の盗賊団に拐わらたらしくて、救出依頼がギルドにあったのですよ」
「あ、それは見たけれど。何でサイノスたちはここにいるのよ」
「今からギルドで依頼を受けたメンバーと合流するのですよ。早く向かいましょう」
「へ?私も?」
「当然じゃないですか。異世界ギルドのギルドマスターなら、顛末を見届けなくてはならないのでは?」
「んんん?この件は日本大使館が冒険者ギルドに依頼した時点で私は関係ないわよね?」
そう話しているが、メレアが頭を左右に振る。
「マチュア様、今回は同行した方が宜しいですわ。依頼人である棚橋大使も同行するのですよ。今後の方針を考える為には、大使自ら見る必要があるとかで」
「はぁ?あの人は一般人だよ?もし何かあったらどうするんだ?」
「ええ。万が一という事もあり得ますわ。なので、マチュア様にも同行して頂きたいのですよ」
腕を組んで考えるマチュア。
既にカウンターの中では、ツヴァイが日本に向かう準備をしていた。
「はぁ‥‥」
深くため息を着くと、マチュアは手の中に記憶のスフィアを生み出す。
――ポイッ
それをツヴァイに投げると、ツヴァイはすぐさま取り込んだ。
「予定より半年ぐらい早いんだけどね。ツヴァイ、あっちは任せたわ。三笠さんにはあらかじめ話を通してあるので、後は宜しく」
「こっちのゴタゴタが終わりましたら、正式に挨拶回りに向かいますか。では行ってきます」
すぐさま転移門に向かうツヴァイ。
それを見送ってから、マチュアはサイノス達と共に冒険者ギルドに向かう事にした。
‥‥…
‥‥
…
「おや、依頼を受けたのはザックスのチームとサイノスのチームなのか」
冒険者ギルド外で集まっていた一行と合流したマチュアは、その場の面々を見て頷いている。
どの連中もランクAの猛者揃い、マチュアの出る幕などない。
「ん?マチュアも受けたのか?そうなると治療師が増えて助かるなぁ」
「そうそう。ゼファーには専業治療師はいないから、万が一の時には頼むよ」
「あのね、私は依頼受けてないからね。棚橋大使が同行するっていうから、見届ける為にいるんだからね」
箒に横坐りになってプカプカと浮いているマチュア。
やがて絨毯に乗った棚橋大使もやって来ると、マチュアの顔を見て不思議そうな顔をしている。
「今回の件、異世界ギルドはノータッチなのでは?」
「ノータッチですよ。私は冒険者としてここにいるだけですから。同行する棚橋大使か死んだら、蘇生しないとなりませんからね」
「憎まれ口は得意技なのですか?」
「私の関与した事案で死人が出るのは嫌なのよ‥‥サイノスに丸め込まれたっていう話もありますけどね。とっとと終わらせて帰りますよ」
そう話をして、マチュアは東門へとゆっくりと飛んでいく。
やがて馬や馬車に乗った冒険者もマチュアの前に出て走り始めると、一行は東方森林の中を走る街道に向かっていった。
‥‥…
‥‥
…
ゴブリンの集落手前の森。
一行はそこで作戦を考えている。
マチュアは持ってきた羊皮紙に村の構造を書き込むと、おおよそのゴブリンの数を書き記していく。
「これが配置ね。戦闘型ゴブリンは大体15ぐらい、術師型は不明、問題は盗賊団。以上、後宜しく」
それだけを説明すると、マチュアは後ろに下がってティータイム。
絨毯を広げてプカプカと浮かぶと、そこでハーブティーを楽しむ。
「本気で手伝う気は無いのかよ」
ザックスが笑いながらマチュアに問い掛けるが。
「手伝うさ、後方で棚橋大使の護衛さ。だから突入と救出は任せるよ」
――シュンッ
すぐさま白亜のローブを身に纏うと、横にいる棚橋にもハーブティーを差し出す。
「‥‥マチュアさんの考えが分からないですねぇ。心配だからついてきているのでしょうけれど、どうしてマチュアさん自ら陣頭指揮を取らないのですか?」
――ズズズッ
棚橋の言葉を聞きながらハーブティーを一口。
「私が出来るなら、昨日の時点で救出しているわよ。今後もこのようなケースは出るから、棚橋大使にも覚悟を決めて貰わないとならないので。それに」
「それに?」
「依頼を受けているチームはあっち。なので救出作戦の主導はあっち」
マチュアはザックスたちを指差しながら説明する。
それが棚橋にも理解出来た。
「私は昨日、フィリップさんと話をしました。危機管理についての日本人とカリス・マレスの違い。この世界の人間は、城塞の中で普通に生活している分には安全だが、一旦外に出ると、常に命のやり取りが生じる」
「そうそう。今だからこそ、畑などはグランドカナンにあるけれど、昔は城塞の外だからね。カナンだってここまで大きくなったら、また外に果樹園や畑を作らないとならない。魔物やモンスターの徘徊する土地にだよ?」
淡々とだが、マチュアはしっかりと話をする。
外の世界、冒険者の危険性。
地球初冒険者である山田くんや和泉くん、山本さんのような覚悟でなくては、地球人に冒険者は務まらない。
「それに、この世界の人にとっては、地球人は金ヅルでもあるよ。異世界の見た事のない物品なんて、商人にとっては儲け話以外の何物でもない。けど、その、価値を地球人は知らない。もっと地球人は知識を持って自衛能力を身に着けるべきだよ」
一連のマチュアの言葉を、棚橋は真剣に聞いている。
そしてサイノス達冒険者も、マチュアの方をポカーンと見ていた。
「駄目ックスターの割には、ギルドマスターらしいこと話しているなぁ」
「お、おい、何か悪いもの食ったか?」
「まさかAランクになっておかしくなったんじゃないだろうな?」
ザックスのチームメンバーが心配そうにマチュアを見ている。
その後ろでは、サイノス達が笑いをこらえるのに必死である。
「‥‥こっちはいいから、とっとと救出作戦考えろよ」
「ああ。基本的にはメレアさんとうちのカリーナの範囲魔法でゴブリンを眠らせる。その後で起きている奴は俺達が始末して、フィリアがその間に小屋から地球人を助け出す」
一般的な救出作戦。
スタンダードな作戦であり、特に問題はない。
「盗賊団が村にいたら?」
「先制で仕掛けるよ。派手に囮になってフィリアが助け出すまでは粘るさ」
「まあ、いんでない?余程の予定外が発生しない限りは」
腕を組んでそう呟くと。
――グゥォォォォォォォォッ
遠くから何かの咆哮が聞こえてくる。それも一つではない、聞こえる限り三つ。
「お、おい、なんだあの声は?」
「聞いたことあるような、無いような‥‥」
「なんだなんだ?大型生物でも徘徊しているのか?」
ザックス達が周囲を警戒しているが、サイノス達はすぐに臨戦態勢を取った。
そしてマチュアも、すぐさま棚橋に防御魔法を施す。
「あっちゃあ‥‥予定外が発生したよ‥‥」
マチュアは絨毯から飛び降りると、すぐに箒に乗り換えて飛び上がる。
森の木々よりも高い場所に向かうと、前方のゴブリンの集落あたりで起きている火災と、その、上空を飛んでいるスモールドラゴンを確認した。
――スーッ
ゆっくりと高度を下げて、ザックス達に一言。
「集落がドラゴンに襲われているぞ?」
「は、はあ?」
「ドラゴンに襲われているといった。スモールドラゴンが三匹な、早く行かないと殺されるわ」
そのマチュアの言葉に、あの十年戦争を生き抜いた冒険者が怯む事はない。
「臨時収入だ‼︎スモールドラゴン三匹なら、二十年は遊んで暮らせるぞ」
「上等だぁぁぁぁぁ」
すぐさま馬車と馬を走らせると、一行はゴブリンの集落へと向かって行った。
誤字脱字は都度修正しますので。
その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。






