地球の章・その3夢と希望を無駄にばら撒く
ワールドホビーフェア・東京大会。
そこのカナンブースでは、鎧騎士の体験会が行われていた。
大勢の人々が参加して、楽しそうに鎧騎士を操っている。
大人の部はマチュアが、子供の部はミャウが仕切っている。
一試合は5分間、その間はどれだけ負けても再起動可能。
とにかく戦い続けるルールである。
慣れない人は時間いっぱい使ってもまともな戦闘にならず、逆に格闘やゲーム慣れしている人は一分もあればある程度は扱えるようになっていた。
セットアップの時点で魔力が足りない人はキャンセルとなり、キャンセル待ちの人に切り替えられる。
次々と戦闘を楽しんでもらうと、次の体験会までのフリータイムは一旦休みとなり、コンパニオンによるデモンストレーションが始まった。
「これは鎧騎士のイメージなのかなぁ?」
隣に飾ってある魔法鎧の写真を撮りながら、大勢の観客が首を捻っている。
ならばとマチュアが近寄ると。
「これは鎧騎士をイメージしたものです。名前は魔法鎧、このようにコクピット部分も作られています」
柵の中でマチュアが説明しながらコクピットを開く。
――プシュゥ
軽い蒸気圧の音でコクピットが開くと、一斉にカメラの音が鳴り響く。
「これは乗れるのですか?」
「はい。このように乗る事は出来ますが、まだそれだけですよ」
「今朝のネットで見ました。スタッフの人が記念撮影しているのを。私達も出来ますか?」
「会場内は危険ですので。いずれ機会がありましたら」
そう丁寧に頭を下げる。
流石に聞き入れてくれたらしく、暫くはマチュアが乗り込んで撮影会となっていた。
‥‥‥
‥‥
‥
午後の体験会も無事に終わると、五時に一般公開時間は終了。
このあとは各ブースの業者専用の時間が六時から八時まで始まる。
一般客が退場すると、マチュアはブースに残って赤城達に休憩時間を命じる。
「八時まで自由。会場内を見て回っておいで。後は私がやってるから」
「良いのですか?」
「この後は大人の時間。楽なものだよ。ミャウ達も一緒に行っておいで」
「は‥‥はい。では遠慮なく」
各ブースで配布されるノベルティ目当てで赤城と十六夜が移動開始。
ミャウ達も適当にプラプラと見て回っている。
「あの、ナウ・バンプレスの宮坂と申します。鎧騎士、使ってみて良いですか?」
「そこの名刺入れに名刺を入れてくれればご自由に。機体はそこにありますし、登録方法はパネルを参照してください」
そのマチュアの話を聞いて、まざまなメーカーの人がやってきて鎧騎士を操作している。
彼方此方からほう、とかうわぁ、と言った声が聞こえてくる。
「これは凄いですねぇ。現代のロボット技術では届かない水準です。等身大ロボットの夢も見えて来ますよ」
「そこにありますよ、皆さんの夢の集大成」
そう魔法鎧を指差すマチュア。
すると、メーカーの人たちは魔法鎧にも集まってみている。
「ロックしてあるので、中に入っても構いませんよ。動力は魔力、登録パイロットのみしか使えない機体ですけどね」
その言葉に、かなりの人たちが集まって機体を見ている。
いつのまにか、カナンブースには三十を越すメーカーが集まっていた。
「いやぁ、商談できないのが残念ですよ。カナンに行けば話は出来ますか?」
「そうですね。担当のアハツェンには話をしておきます。まだ量産が効かないので、すぐに商用にはならないと思いますが」
そういう話をしていると、別の視点で話を持ってくる人がいた。
「京極アニメーションです。これを題材にアニメ化できませんか?」
「集現社です。これはコミック化も可能ですよね?」
「陸王堂と申します。是非ガレージキッドとして作りたいのですが」
「株式会社ウィップです。フィギュアメーカーなのですが、何か協力出来る事はありませんか?」
次々とくる商談。
「待って待って。現在は商談する予定がないのですよ。窓口もありませんし、名刺だけ置いていってもらって良いですか?」
「分かりました。それでは宜しくお願いします」
ポスト型の名刺入れに次々と名刺が入れられる。
やがて八時となり、各社担当も自分のブースに戻っていく。
そして赤城達も戻って来たのだが。
「こ、こんなに貰いました」
「どこのブースも、マチュアさんに宜しくってマチュアさんの分もくれましたよ」
両手では足りないぐらいの荷物。
それを何とかぶら下げて担いで戻ってきた一行。
「はぁ。こりゃまた大変だわ。ミャウ達は空間バッグに貰ったものを詰めて。赤城さんと十六夜さんは鎧騎士と備品のチェック、全てバックに収納宜しく」
手渡した空間拡張バッグに荷物を収める一同。
そしてマチュアは、魔法鎧に搭乗すると、機体を立ち上がらせた。
そして足元に魔法陣を起動すると、空間にそれを収納する。
――ヒョイ
とコクピットから飛び降りると、魔法鎧は全て魔法陣に消える。
カナンブースは、パンフレットとジオラマ以外全て撤去したのである。
「さてと、ご飯食べてホテルに帰りましょうか」
「お寿司食べたいです」
「焼肉がいいです」
「ケーキが食べたい」
「お風呂入りたい」
「魚食べたい」
などなど。てんでバラバラな意見が出る。
「はぁ。ホテルのバイキング行きましょう。全部揃うから」
「「「「「はいはーい」」」」」
まだまだ元気な一行。
マチュア達はホテルに戻ってから、スカイラウンジのバイキングで料理に舌鼓を打つ。
そして明日の本番のためにゆっくりと体を休めた。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
翌日もスケジュールは一緒。
違うのは、販売ブースにて限定販売される鎧騎士。
価格は一体一万円、一人一体、選ぶ事はできず、何が当たるか判らないというTCGのような販売方法である。
売り子はマチュアのみ。
用意したのはウッド素材で作った新型機を500体。
販売用は大人用に200体、子供用に150体。
合わせて350体が販売された。
三時までに売れ残ったら、四時からは在庫をフリー販売する変則販売を開始しようと考えたのだが、昼前にはどちらも完売してしまった。
「完売したよ。またこっちの仕事するね」
にこやかに戻ってくるマチュア。
「おや、随分とお早いですね」
「まあね。メーカー配布用なら在庫あるけど。今回持ってきたのは地球の環境に合わせたウッドゴーレム素体だからね。軽くて丈夫、必要魔力も少なめ。付属の武器は木製ベースに魔法強化、普通に遊ぶ分には問題ないよ」
そう説明するマチュア。
すると、先程購入した親子がやってきて、使い方を教えて欲しいと尋ねていた。
「これ、動かし方がわからないのです」
「ふむふむ。これを手に持ってね、初期登録してあげるわ」
横から魔力のサポートを行うマチュア。
すると機体が淡く輝くと、子供の肩に飛び乗った。
「動いた‼︎」
「おおっと、良かったな。どうもありがとうございました。どうも説明書が良くわからなくて」
「そーですか。少し書き方を変えないとならないですね」
そう話していると、やはりわからない人たちが集まってきたので、一人ずつ対処する事にしたマチュア。
魔法で椅子を作り出すと、それに腰掛けて作業を続ける。
中には子供の鎧騎士が弱そうなので交換して欲しいという人もいたが、それは諦めてもらうしかない。
「ネットで追加販売とかないのですか?」
「買えなかったのですよ。子供が欲しがっていまして‥‥どうにかならないですか?」
などなど、買えなかった人からの苦情というか要望が届けられる。
だが。
「現在は一般販売用の在庫がないので販売する予定はありません。カナンに行く機会があれば、まだ買う事はできます。日本国内での再販は考えていませんが、要望が多かったら検討するかもしれません」
頭を下げながらそう話す。
中には、体験会で使っているやつでいいので売って欲しいという声もあったが、丁重にお断りした。
そうこうしているうちに、夕方五時になる。
『皆さまご来場ありがとうございました。只今五時をもちまして、ワールドホビーフェア東京会場を終了します。皆さまありがとうございました』
会場内アナウンスが始まると、各ブースでは撤去作業が始まる。カナンブースでも一斉に鎧騎士の片付けが始まったが、まだ諦めきれない人たちが集まっていた。
「これは販売してもらえませんか?」
「こちらはカナンオリジナルなので。安全性とかは日本基準でないのですよ、ごめんなさい」
そう頭を下げながら片付けるマチュア。
「そんじゃ。こっち任せて良い?」
「はい。マチュアさんは魔法鎧をお願いします」
赤城の言葉に甘えて、マチュアは魔法鎧に向かう。
――ガヤガヤ
まだ魔法鎧の周りでは撮影が行われている。
「さて。撤去作業を開始しますから離れて下さいね」
そう話してからコクピットを開くと、マチュアはそれに乗り込んでハッチ部分である胸部装甲を閉じる。
「お。今、乗り込んだぞ?」
「まさか動くのかよ」
などなど、あちこちから声がする。
ならばとマチュアは魔法鎧ゼロワンを立ち上がらせると、盾を地面に立てて構えた。
『柵の外からなら撮影は問題ありません。後五分で撤去しますので、宜しくお願いします』
中から外に声を掛ける。
すると次々と撮影が始まったので、マチュアは時折ポーズを変えた。
そして五分が経過すると、魔法鎧の足元に魔法陣を起動、機体はゆっくりとその中に入っていく。
そしてコクピットを開いて外に出ると、機体は全て魔法陣に消えていった。
「え、あの、これ、本物のロボットですか?」
「ゴーレムです。人が中に乗って動かす。この世界のロボットみたいなものですかねぇ」
しみじみと告げるマチュア。
「これ、販売しますか?」
「しませんね。免許がわからないでしょう?」
「そうですか。そうですよね。乗る事はできますか? あの、一般の人が乗るチャンスといいますか」
おずおずと聞いてくる人もいるが。
「試乗会というのは違う気もしますので。申し訳ないです」
「異世界に行ったら手に入りますか?」
「それも無理かと。いや、どうなんだろう?これカナンじゃ需要ないんだよなぁ」
こんなのに乗って戦うほどの危機は今の所考えられない。
クロウカシスやベネリが襲撃してきた時なら、これは使えたかもしれない。
そのための生産なら考えられるが、果たして必要なのか?
「まあ、まだ試作なので。では、本日はありがとうございました」
そう説明すると、マチュアも赤城たちとともに撤去作業を開始した。
そして全てが終わると、先日受け取った名刺を頼りに、一件ずつ挨拶に向かう。
その手土産として、販促用に用意したウッド製鎧騎士を手渡す。
「‥‥これだけあったら、販売分に少し回しても良かったですね?」
「まあ確かに。まだ50体ほど余ってますし。いります?」
「是非とも」
頭を下げる赤城や十六夜、そして手伝ってくれたミャウ達に一つずつ手渡す。
「それじゃあ帰るとしますか。外で報道が待っていると面倒なのでね」
ロビーで転移門を開くと、マチュア達はそのまま異世界大使館に直接帰って行った。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
翌日。
朝から鳴り響く取材と商談の申し込み電話。
自動音声でファックスでの申し込みに切り替わるようにしてあるのだが、それでも直通で電話が鳴っている。
その回線にかかってくるという事は、つまり議員や官僚からの電話。
「マチュアさん、蒲生さんからですが」
「代わります。はい、マチュアですが、ご無沙汰しています」
『どうもご無沙汰。昨日のワールドホビーフェア見たんだが、あの魔法鎧と鎧騎士は兵器か?』
「まさか。鎧騎士はオモチャですよ。魔法鎧は人が乗るロボット。兵器ではありませんよ?」
そう説明するが。
『あれは兵器だという連中がいてなぁ。面倒な事になってるんだよ』
「人が乗るロボットが兵器なら、国内で開発しているロボットは全て兵器ですよ。どこの誰ですか?」
『野党だよ。あれが兵器なら侵略行為だとさ』
「はぁ。また面倒な‥‥カナンの敷地内で遊ぶだけですから、問題はないでしょうに」
『まあ、明日にでも国会に顔出してくれや。そこで話してくれればいいよ』
「わかりましたよ。本当に面倒なんですね」
『暇なんだろうさ。今の野党なんて、国の事よりも与党叩いて政権交代したいだけだからな。じゃあ明日な』
――ガチャッ
電話が終わると、マチュアはソファーに座る。
「はてさて。予習でもしておきますか?」
タブレットを取り出して起動すると、日本国内における兵器の取り扱いを検索する。
ついでにと各国の兵器に対する取り組みなどを調べると、マチュアはふむふむと笑っている。
「マチュアさん、なんか楽しそうですよ?」
「そうだねぇ。紅茶とケーキ持って行って上げてくれる?」
三笠が赤城にそう話すと、赤城は淹れたてのアップルティーと貰い物のケーキをいくつか皿に乗せてマチュアの元に持っていく。
「お熱いうちにどうぞ」
「あらありがと。しかし野党って楽しそうね。何で国会議員出来るんだろう?」
「あ〜マチュアさん、それ殆ど禁句ですよ?あまり国会でその話はしないほうが良いですよ?」
三笠が机から声をかける。
すると赤城もコクコクと頷いている。
「そうなの?面倒臭いなぁ。ま、明日は頑張って来ますよ」
アップルティーを一口飲んでから、またマチュアはタブレットを眺めていた。
‥‥‥
‥‥
‥
翌日、朝九時。
マチュアは国会議事堂で蒲生が来るのを待っていた。
「ありゃ、随分と早いなぁ。もう少しゆっくりかと思っていたのに」
「早くても遅くても変わらないでしょ?私の出番は何時頃かしら?」
「立ち話もなんだ。議員会館で話するか」
そんな話をしながら、マチュアは蒲生と共に議員会館に向かう。
そこの部屋で軽く打ち合わせをすると、秘書を通して、その日の予算委員会でマチュアが質疑に応答すると連絡してもらった。
「蒲生先生、マチュアさんの質疑の許可でました。10時です」
「そんじゃあ行きますか。マチュアさんは議員控室に案内して、俺は真っ直ぐ向かうから」
そう説明してくれると、蒲生は議事堂に向かう。
マチュアも少し遅れて控室に入ると、どうやら他にも証人喚問で呼ばれて人がいるらしく、何名かの人が部屋で待機していた。
「やばいなぁ。何か楽しくなって来たぞ?」
ニコニコと笑みを浮かべながら、置いてあるお茶を飲むマチュア。
そして時間がくると、秘書官がマチュアを呼びに来た。
「お時間です。こちらへ」
「はいはい。相手は誰?」
「椎名議員です。気を付けてくださいね」
「まあ、いいんでない?」
そんな話をしながら委員会室に入る。
「お待たせしました。私はどちらに?」
「では。マチュアさんは蒲生さんの横の席にどうぞ」
委員長が一旦席に座るように促すと、早速椎名議員が手を上げて演台に向かう。
「社共党の椎名です。先日のワールドホビーフェアというイベント会場に兵器を持ち込んだ件ですが、それについての説明をお願いします。明らかな侵略行為ですよね?」
すっと手を挙げると、マチュアが演台に立つ。
「はて?兵器など持ち込んだ覚えが無いのですが?」
「では、この写真を見てください。人型のロボット。これが兵器ではなくてなんだと言うのですか?」
「ロボットは兵器なのですか?」
「兵器でないロボットがあったら教えて頂きたいですね?」
笑いながら話す椎名議員。
ならばとマチュアが応酬を開始。
「車やさまざまな工業用ロボットも兵器であると?」
「論点が違うでしょう?あれは工業用という名前が付いてるじゃないですか?」
「でしたら。そもそもあれはロボットではありませんよ。魔法鎧という名前で、鎧ですから」
「ですが、あれは十分に殺傷能力ありますよね?武器を持てばその時点で兵器ですよ?」
「兵器の基準を教えて頂けますか?そうですねぇ、国連レベルで定められている兵器理論。当然日本も批准されていると推測されますが、私共の魔法で動く鎧の何処がそこに当てはまるのかを説明してくれますか?」
そのマチュアの質問には答えが返ってこない。
当然である。
魔法で動くものなど、何処にも記されていない。
日本の魔法等関連法案でも、ゴーレムに対する記述はない。
魔道具、つまりマジックアイテムの個人所有については、日本の銃刀法に触れない限りは認めると記されているだけである。
何か他の議員たちと話をしている椎名議員。
そして再び前に出る。
「論点をすり替えられたようですが、私達としてはあれは兵器として扱うべきものであると言う結論です。後日改めて質問させて頂きます」
「はぁ。後日じゃなくて今話しましょうよ。それと、先程の私の質問に答えていませんよ?」
敢えて煽るスタイルのマチュア。
すると椎名議員は壇上で一言。
「今調べてもらいましたが、カナンの魔法の鎧は国連レベルでは兵器ではありません」
無理矢理絞り出すように呟く椎名。
更にマチュアは追い討ちをかける。
「では、所持しても問題ないのですよね?日本国であれを所持もしくは持ち込んではいけないと言う法律はないのですよね?」
「‥‥ありません。ですが、あれが盗まれたりした場合、犯罪に使われればそれは個人が所有できる武器です。ならば危険回避という観点からあのようなものを持ち込むのは制限しなくてはならないのでは?」
反撃開始のようだが、詰めが甘い。
「例えば野球のバット、例えばゴルフクラブ。盗まれて犯罪に使われたらそれは武器ですか?」
「当然です」
「なら、それらを個人所有してはいけないという法律も作らないとなりませんが?」
「極論過ぎます。何でも可能性で話しては終わる訳がない。それこそ論点のすり替えです」
「けど正論ですよね? 椎名さんの話では。そこまで異世界嫌いですか?」
そう問いかけるマチュアに、椎名は一言。
「世間が認めても、社共党としてはカナンは侵略行為を行った侵略国家という認識です。今回の件は下げます」
そこで質問は終わった。
マチュアも一礼して控室に下がると、のんびりとお茶を飲んでいた。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
国会質疑が終わって数日後。
マチュアは異世界大使館の庭で魔法鎧を引っ張り出して弄っている。
「マチュアさん、集現社から電話で、先日のキンデュの件で正式にお願いがあるそうで」
「どんな?」
「キンデュの世界大会の会場でデモンストレーションとして参加して欲しいと言うことです」
「担当は高嶋と古屋と伝えて、企画書作って提出するように。それとゴーレム関係のイベント参加は高くつくって説明してね」
「料金は?」
「説明しなくていいわよ。企画書次第って話で」
「わかりました」
スタスタと走っていく十六夜。
「こりゃ、少しは考えないといけない事案かなぁ」
ゴーレムはこの世界の技術では作れない。
だからこそ、マチュアの元に依頼がやってくる。
「カナンの魔法技術ねぇ。どうやって広げられることやら」
ゼロワンに乗り込んでハッチを閉じる。
そしてゆっくりと歩き始めると、ふと柵の外でカメラを回している報道員に気がついた。
――ガシャンガシャン
そのカメラに向かって近づくマチュア。
『盗み撮りとは感心しないわねぇ。なんの御用かしら?』
「い、いえ、取材は無理だと思って、その‥‥」
『勇気と無謀を履き違えない事。政府通して公式にクレームつける事も出来るんですからね』
「はい。それでは失礼します」
そう頭を下げながら、報道陣が退散するので。
『さっきまで撮影していた分は使っていいわよ。お気をつけてね』
とだけ告げて元の場所に戻る。
再びコクピットから出ると、のんびりと作業を再開した。
誤字脱字は都度修正しますので。
その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。






