8.予想外の多い一日
よーし、一人になったところで、いっちょやりますか!……とか言ってるけど別になにかする訳でもないんだよな。次の課題は自分の武器が何かを知ることだからな。
「自分の武器を知る、か……」
自分の出した本に向かってぼやく。
「……ああもうっ!!全っっ然わかんねえよ!!!」
まぁ、見てても分からないのは当然か。本なんだし、中読んでみるか。
ボロボロの表紙をめくり、適当なページを開く。
「あれ?おかしいな」
こんな字見たことないのに何故か言葉の意味が理解出来ている。これもボックスが俺の頭に情報を叩き込んだ時に分かるようになったのか?……まぁ、なんでもいいか。
「うーん、内容を読んでもよく分からんな」
なにかの名前なのかなぁ……って思う単語はちょくちょく出てくるんだが、この本の使い方とかはよくわかんないな。
「もし、もしもこれが呪文だったら……。復唱してみる価値はあるな」
いや、なんの魔法かも分からないのにむやみに使ってもいいのか?もしそれで世界が吹き飛んだら?……いや、いくらなんでもそれはないか。
「……っくそ!考えても仕方ない、何事もやってみなきゃわかんねぇ!」
そして、最初に読んだページを開くと、呪文らしき単語を読み上げる。
「ヘルデンシュウェルト!」
そう唱えると、空間に歪みができてそこから光とともに剣が出てきた。
「ん?あ、あれ?」
今日は予想外が炸裂してるな。武器を期待してたら本が出てくるわ本の呪文らしきもの読み上げたら剣がでてくるっていう。
「ま、まぁ予想とは違ったが武器らしい武器を手にいれたわけだし。終わりよければ全てよしって感じだな!」
そうこう独り言を言っていたら急にあたりが寒くなった。
ん?なんだ?急に寒くなってきたぞ?
「ぅあああああああ!!!!!」
こ、この声は、ユキトか!
「大丈夫かー!ユキト!!」
駆けつけるとユキトの周辺の木や地面が凍っていた。そして、弓を持ちながら足が崩れて地面にしゃがみこみながら放心状態のユキトがそこにいた。
「だ、大丈夫か?ユキト」
「こ、こここれを、ど、どどどう使うかわ、分からなくて。それで、えと、」
今まで見たことないほどおどおどとして慌てふためいていた。
「……ユキト!いいから一回落ち着けって!」
「は、はいいい!!!」
「まぁ、見たら大体状況は分かるさ。これがユキトの武器の能力なんだろ?」
「は、はい。そ、そうみたいです」
なんか、すげぇ派手で強そうなんだけど……。いや、羨ましいとかじゃないし!絶対違うんだからね?
すると、またタイミングを見計らってたかのようにジーナが戻ってきた。
「二人とも、自分の武器を知ることは出来た?」
「俺は、まだ完全ではないだろうけど、剣を出すことはできるようになったぜ!」
「ぼ、僕は、ゆ、弓を使って地面を凍らせちゃったんですけど、こ、これは武器を知ったことになるのでしょうか?」
「うん、全然大丈夫だよ。二人とも上出来。あたしの思っていたよりもサクサク進んでいってびっくりしてるよ」
いや、ユキト。そんなすごいこと出来て、まだ知ったことにならないとか、ありえないだろ。……羨ましいヤツめ!俺もこの調子でどんどん強くなってやる!
「それじゃあ、今回の修行で最後の課題を出すよ。準備はいい?」
「あぁ、当たり前じゃないか!何だってこなしてやるぜ!どんどんこい!!」
……とは言ったが、準備ってなんだ?ここに来て始めてそんなこと言われたぞ?なんか、嫌な予感がするな。
「いい意気込みだねタツキ。それじゃあ、最後の課題、あたしの作ったモンスター、カンフーゴリラと戦ってもらうよ」
「か、カンフーゴリラ!?」
いや、ネーミングセンスどうにかしてるんじゃないか?でも、名前だけ聞くとすげーヤバそうなんだが。
「た、タツキくん。ぼ、僕まだ全然使いこなせてないんですけど」
「大丈夫だ安心しろ!俺も同じようなもんだから」
いや、何ドヤ顔で言ってんだ俺。全然大丈夫なんかじゃないだろ!
「ほ、本当に、だ、大丈夫なんですか!?」
「や、やるしかないだろ!」
「うん、それじゃあ、準備良さそうだし、もう連れてきちゃうね」
連れてきちゃうって、なに友達紹介するみたいな言い方してんのこの人!
ズン、ズン、ズン、ズン
な、なんだこの音!?まさか足音じゃないよな??
「お待たせ、連れてきたよ」
「……んなっ!?なんじゃごりゃ!!!」
グォォォォォォォォ!!!!!
鼓膜が爆発しそうなくらいの雄叫びが響き渡る。
こ、こんなやつと戦うのか?最初の相手にしてはやばすぎだろぉぉ!!!
全体的に改稿したのでそっちから見てもらえると助かります。
今まで更新がバラバラだったので、これからは必ず最低で週に一度更新するのでよろしくお願いします。