5. 修行のはじまり
「え?フェイリーの友達?」
まっ暗い部屋でテレビつけて寝転がってるけど、もしかしてこの人が俺とユキトに修行つけてくれる人なのか?
「うんそうだよ、それでジーナにタツキとユキトが戦闘手段を教えてもらうんだよ」
やっぱりかー!なんか、思ってた人と違って残念だ。本当にちゃんと修行つけてくれるのか心配になってくるな……
「私はジーナよろしく~」
なんか、すげーまったりした話し方だな。
「お、おう。俺は上風竜鬼よろしく」
自己紹介が終わったタイミングを見計らってフェイリーが話し始める。
「じゃあそういうことだから。あと言い忘れたけど、ジーナ今日からここで一緒に住むことになったから」
「え!?ここに?住むの?一緒に?」
まじか、そんな急な話あるか?
「お世話になりま~す」
「あ、あぁ、よろしく……」
フェイリーの友達って言ってたけど、ジーナもメイドなのかな?いや、こんなやつがメイドできるわけないしな。ダラダラしてるし。
「あ、ちなみにジーナもボクと一緒でゾアでアイリス様の元でメイドをしていたんだよ」
「え!?そうなの?ってか、毎度毎度心読んでくるけどそういう能力があるのか?」
「いや、ボクにはそういう能力はないよ?」
そうだったのか、毎度毎度タイミングよく考えてることを見透かしてるかのように話してくるからそういう能力かと思ったぜ。はぁー、でも、今日は色々あって疲れたな。もう寝るか
「俺はもう寝るから。おやすみフェイリー、ジーナ」
『おやすみ〜』
ん?いや待てよ?ジーナが来たってことは男女比的に1対2か、まぁ、そんなに気にするほどではないし、いいか。
そして土曜日の朝
「お~い起きて~」
いつものようにフェイリーの声で目が覚める。
が、今日は俺に向けての声ではない。隣の部屋でジーナを起こすフェイリーの声だ。いや、ってか、それにしても声でかすぎだろ。
「お、おはようフェイリー。」
隣の部屋から出てきたフェイリーに朝の挨拶をする。
「おはようタツキ」
「あのさ、そんなに大声じゃないと起きないのか?ジーナは」
「うん、ゾアにいた時も毎朝こんな感じだったよ」
え、そんなんでメイド務まるのか?大丈夫なのかそれ?よくクビにされなかったな。いや、クビっていう制度があるか知らんが。
「フェイリーも大変だな」
「もう慣れてるから大丈夫だよ」
そうか、ジーナはフェイリーが居なかったらメイドとして仕事が務まらないんだな。
「あー、そういえば。今日は修行の日か、修行って一体何するんだ?」
「それは始まってからのお楽しみだよ。まぁ、ボクは修行の内容はよく分かんないんだけどね。もう一回ジーナ起こしてくるよ」
はぁ、それにしても、ジーナがこの家にいる限り毎朝こうだとさすがにきついな。
隣の部屋でフェイリーがジーナを起こす声が聞こえるとその後に続いてジーナの声が聞こえた
「ん~?おはよ~フェイリ~でもあと1時間寝かせて~」
いや、まだ寝るんかい!
「だめだよ?もう起きなきゃ。タツキとユキトに修行つけるんでしょ?」
「うーん、あ、そ〜だった〜。うん今起きるよ〜」
いや、忘れてたのか……ほんとに大丈夫かな。とりあえずジーナのところ行って今日のこと聞いてくるか。
「おーい、ジーナー。今日のことなんだが、って、見てないです見てないです見てないですっ!」
必死に目を抑えてジーナの部屋をでてリビングに駆け下りる。なぜなら俺が入った部屋には下着しか身につけていないジーナがいたからだ。いや、見てないよ?本当だよ?
しばらくしてフェイリーとジーナが降りてきた
「見たの?タツキ」
いや、その質問めっちゃ怖いんですけど。いや、見たって言ってもほんのちょっとだし。
「あ、あの、えっと、」
「びっくりしたよね?ジーナってさ寝る時下着しか着ない癖があるから」
あ、あれ?怒って、ないのか?なら良かったけど。
「おはよ〜。タツキ〜、今日は修行つけてあげる日だよね〜」
「あぁ、そうだけど、って、うぁぁっ!早く服着ろって!」
降りてくるまで時間がかかったから服着てきたと思ったらゆっくり階段降りてただけかよ!
「なんで〜?この方が動きやすいよ〜?」
「いや、そういう問題じゃないんだよっ!」
そうこうしてるうちにフェイリーは服を持ってきてジーナに渡した。
「ありがと〜。」
「ジーナはいいよね、スタイルがいいし背も高いし、胸も大きいし。ボクなんて同い年なのに全然胸ないのに……」
そんなこと気にしてるのか。
「フェイリー、そんなに落ちこむなよ。フェイリーは家事全般出来るし、料理だってめっちゃうまいし、ジーナよりも出来ることたくさんあるじゃねーか!それに、俺は今のままのフェイリーでいいと思うぞ?」
いや、まじで恥ずかしいこといったな、俺。ジーナの方見ないように目隠して後ろ向きの状態でこんなこと言っても全然かっこよくないしな。
「ありがとね、タツキ。ボクもっと頑張るよ!」
ん?頑張るってなんだ?まぁ、いいか。元気出たみたいだし。
それから一時間後
やっと朝飯が食べれる。起きてから何時間かかってんだよ!
『いただきまーす』
全員で声をあわせて言ったあと食べ始めながら時間を確認した。
十時過ぎか、朝飯には遅い時間だな。それにしても、フェイリーの作る飯はどれもおいしいな。
食事が食べ終わったあと、ユキトにこれから家に来るように連絡をして自分の部屋で少し待つことにした。
はぁ、今日と明日の修行でこのボックスの使い方がやっと分かるのか。なんだか楽しみだな。
三十分後
「す、すすすいません。お、遅くなってし、しまって」
「いや、大丈夫。ジーナが寝てて遅くなったのはこっちだから」
ってか、相変わらずおどおどしてるな。
「えっと、そこのソファーに寝転がってぐでぐでしてるやつがジーナだ」
「あ、そ、そうなんですか。よ、よろしくお願いします、ジーナさん」
「うん、よろしく〜。じゃあ、二人とも集まったところだしそろそろ行く〜?」
「そうだな、もうそろそろ行くか」
「は、はい」
「ボクはこれからゾアに報告しなきゃ行けないものがあるから、修行にはついていけないけど、二人とも頑張ってね!」
フェイリーどっかいくのか?まぁ、ボックスの所持者が決まったとか色々話すことあるのかな。
「じゃあ、二人ともまたね〜」
「あぁ、フェイリーも気をつけてな!」
「お、お気をつけて」
フェイリーが行ったあとジーナがよしっと言って立った。
「それじゃあ、二人ともあたしについてきてね〜」
「わかった」
「は、はい」
ん、ここは?家の三階じゃねーか!薄気味悪いところだと思ってたけど、ここに来てなにかするのか?
「二人とも手をかして」
「なんでだよ」
いいからと言ってジーナは二人の腕を掴んだ。そして、そのままホイッと目の前の大きな鏡に向かって二人を投げた。
「うぁっ!なんだ?」
「ぅあああああああ!!!!!」
やばい!ぶつかるぶつかるぶつかるぶつかるぶつかるって、ん???あれ、すり抜けたのか?
「ここは?森?」
「ああああああああ!!!!!」
いや、ユキトはいつまで絶叫してんだよ!
「ここはあたしが作った仮想空間だよ〜。ちなみにここで過ごす二日は元の世界の一日だから、二倍の時間使うことが出来るんだよぉ〜」
いや、あまり変わらないような気がするけど。気のせいか?なんか、こういうのって現世では1日だけどこの空間では1ヶ月たつとかそのレベルだと思ってたからな。
「それで、俺たちはここで最初になにすればいいんだ?」
「そうだね〜、タツキ、なかなかいい質問をしてくるねぇ〜」
いや、こういう状況だったら誰しも聞きたくなる質問だろ!
急にジーナの顔つきが変わっていつもとは違う雰囲気になった。
「ここでは、あたしが出した課題に沿って修行してもらうからそのつもりでね?」
まぁ、それくらいは想像してたが、どんな課題なんだろ。
「それじゃあはじめにタツキとユキトに1つ課題をだすよ」
今回も読んでくださった方本当にありがとうございます。
これからもがんばっていくのでこれからもよろしくお願いします。
できればコメントもしてもらえるとうれしいです。