2. 二つ目の人生
「まぁとりあえず約束どおり自己紹介するね」
ベットに飛び乗ったあと猫は話し出した
「ボクの名前はフェイリーよろしくね」
「お、おうよろしくフェイリー、俺は上風竜鬼だよろしくな」
「まぁ名前は知ってるんだけどね、でもよろしくタツキ」
名前知ってるって、エスパーかなにかか?さっきも俺の心を読んでいたようだし。
「あ、あの聞いてもいいかフェイリー」
「ん?どうしたの?ちなみにボクはエスパーではないよ?」
「い、いやそのことじゃなくて、いまいち状況が理解できないんだが、教えてくれたりってする?」
「いいけど、少し長くなるよ」
いや、長くなるのか。
「あぁ頼む」
「オッケー、事の始まりは約500年まえにさかのぼるんだけど」
「え!?そんなにさかのぼっちゃうの?」
驚きのあまり大きい声を出してしまった
「いや、冗談だよ」
なんなんだよ、猫のくせにニヤニヤした顔がはっきり伝わってくるぐらいニヤニヤしやがって。
「ま、まぁいいや続けて」
「まず、天界と地獄界があってその間でボックスのやり取りがあったんだ」
ん?ボックスってなんだ?まぁ、話聞いてるあいだに説明してくれるか。
「あ、ボックスの説明が先だったか」
いや、忘れてたのね。まぁいいか。
「ボックスって言うのは色や形はさまざまで、属性、武器、盾、身体的な能力などを呼び出すことができるいわゆる媒体なんだよ」
「そうなんだ、じゃあさっき拾った黒い箱もそれなの?」
「そうだよそれが君のボックスだ」
これが俺のボックスか。ってことは、これで盾とか武器とか出せるのか。
「そうか、それでさっき言ってたボックスのやり取りってなに?」
「あー、天界と地獄界でそれぞれ生まれた白い球体と黒い立方体のボックスがあってね、それが2つそろうと世界を滅ぼせるほどの力になるから天界と地獄界でそれぞれ所持していたんだ。だけど、それが最近地獄界の方のボックスが盗まれて、天界のボックスを守らなきゃいけなくなったんだ」
ん?さっきの話を聞く限りだとそれは。
「やばくない!?大丈夫なのそれ?」
まぁまぁとフェイリーは言って続ける
「それを守るには誰かがそのボックスを所持しなきゃいけないから、ボクはその黒のボックスを所持できる人間を探していたんだよ」
ん、待てよ?それってつまり、俺が持ってるこのボックスが……
「その通りだよ。タツキが持ってるそのボックスこそが今死ぬ気で守らなきゃいけない天界の黒のボックス」
「えぇぇぇぇぇ!!!!????それマジで言ってるの?」
「うん」
いや、あっさりだな。
「あのさ、さっき所持できる人を探してるって言ってたけど、所持できない人もいるってこと?」
「おー、察しがいいね。そうなんだよ、ボックスは現世で死んじゃった人の中から選ばれた人だけが所持できるものなんだ。しかも、そのタツキが持っている黒のボックスは、その中でも選ばれた人しか所持できないんだ」
ってことは俺選ばれし者ってことか!なんか、マンガの主人公みたいでいいな。
「それじゃあ、俺がこのボックスを守り抜いて世界を守るって事だな!」
「まぁ、そうなるね。って、タツキはなんでそんなに目を輝かせてるの?」
「いや、そんなマンガの主人公みたいなこと日本男児なら喜んで受け入れるだろ!」
「そ、そういうもんなんだね。でも、話が早くて良かった!」
ここでふともっと先に聞かなければいけなかったはずの最重要事項が頭をよぎる
「さっきここは俺の家って言ってたけど、どういうことなんだ?」
「あー、そのことね。タツキは病院で一回死んだのはわかるよね?」
やっぱりあれは死んでたのか。
「あ、あぁ」
「そしてボックスを手に入れた後転生したんだけど、元の世界に戻ったら、死んだはずのタツキがまたいるという矛盾の状況が生まれてしまう、だから新しい世界に転生させたんだ」
「ってことは、ここは俺の知らない世界ってことか」
「そうなるね」
どうりで見覚えがないわけだ。俺は死んだあと別のパラレルワールドに飛ばされて今はそこにいるってことか。そういえば、なんだか体が軽いな、それに、だるくもない。
「フェイリー、俺ってもしかして転生したあと病気とか全部治ったとかある?」
「うん。体に関しては、タツキが健康体じゃないとボックスを守れないから病気とかにはもうかかってないよ?」
そうか、病気じゃないって、こんな感じなのか。
「そういえば、歳とかは変わってないのか?」
「うん、変わってないよ。君が死ぬ間際に願ってた高校も入学の一週間前だからまだ間に合うよ」
「ほんとか?やったーーー!!!!」
「嬉しそうで何よりだよ。ちなみにこの世界でのタツキの両親は外国に住んでるからこの家はタツキとボクの二人だけだよ」
「そうなのか」
って、子供一人残して外国に住んでる親ってなんなんだよ。まぁいいんだけど。
「そうこう話してたら腹減ってきたな。この家何かないのか?」
「あー、それならボクが作るよ」
「え、?」
いや、猫が料理とか出来るのか?いや、魔法とか使ってちょちょいとやるとか?いずれにせよフェイリーに飯なんて作れるのか?
「おいフェイリー、その姿でどうやって作るんだ?」
そういった瞬間、あたり一面を覆う白い光が目をくらませた
「なっ!?」
読んでくださった皆様、ありがとうございます。
これからもどんどん出していくのでよろしくお願いします。