【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな○○がいたら
【60秒で一気読み! キャラクター小噺】 〜もしも、こんな運転中に未来妄想したがるバス運転手がいたら
【 一度でいいから言ってみたかったバス運転手さん 】
バス停に止まるとお腹の大きい女性が乗車してきた。
「ああ、妊婦さんか‥‥‥」
このバス運転手は妊婦さんを見るといつも夢見るにだった。
「うう、お、お腹が‥‥‥」、と苦しみだす。
「大丈夫ですか、どうしましたか」
「あ、あたしの、赤ちゃん‥‥‥」
運転手は車内を見回し叫ぶ、
「だ、誰か、この中にお医者さんは⁉︎」
反応のない車内を尻目に運転手は自分のジャケットを
女性に優しくかけ、ドライバーシートに戻ると既定のルートを
大きく外れ一路救急病院へ向かうのだった。辞表も覚悟で。
「しっかりしろ、オレが最後までついている!」
その後、赤ちゃんは無事出産。
後日、命をとりとめたママから名付け親を頼まれ、
以来、毎年2人から手書きのクリスマスカードが届く。
「ふ、オレはしハンドル握るだけが取り柄のしがない運転手サ」
カードをバックミラーに挟み、今日もバスを走らせる。
な〜んて、ことあるわけないよな〜
だが、バス運転手の未来妄想を女性の呻き声が打ち破った。
「うう、お、お腹が‥‥‥」と苦しみだした。
あ!、もしや、
だが、そのとき
「どうしましたか?」
そばにいた中年の男性が声をかけた。
「無理しないで。もうじき着くからさっそく診察しよう」
「せ、先生‥‥‥」
車内に居合わせたほとんどが2人を囲んだ。
「私が肩かしましょう」
「今、電話で手配します」
「○○くんはみんなに知らせて、ストレッチャーも用意」
『次は、○▽産婦人科医院〜 ○▽産婦人科医院〜』
車内アナウンス鳴り、停車するとほぼ全員が降車していった。
女性を介護しつつ。
毎朝このバス乗る人たちはほぼ全員医師と看護婦さんだった。
出番ないなあ〜、やっぱし