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ある少女の話

 本来の予定ならとっくに登場しているはずだった遊人の仲間、氷霧の話。

 就活のせいで更新遅れたのと、熊本の地震があったのとで。

「珍しいね、あんたがこういうのやるっていうの」

「そうかな?」

 私は通っている大学内で、友人と新聞を囲んで話していた。新聞には、最近発生した地震の記事が記されていた。

「あいつと出会って、変わったんじゃないか?」

話しているのは、中学からの親友であるクイン。この名前はゲームのアバター名から呼んでいる。本名は××××だってことも知っている。

 そのクインが言うあいつ、というのは、多分あの人のこと。

「なんにせよ、あたしゃ感無量だよ。あんたが自らやりたいことやろうって言い出したんだ。それもあたし抜きで、大したもんだ」

 クインは口煩い母親のようなことを言ってくる。確かに、私は『能力』のせいで苦しみ、クインに頼りきりだったかもしれない。

「それでも迷いがあるなら、あいつに会ってみるんだな」

「そうする」

 私はクインに言われなくても、あいつに会うつもりだった。この決意が正しいのか、自分一人じゃ判断出来ない。

「じゃあ、行ってくる」

 スマートフォンにイヤホン型の機器、ウェーブリーダーを取り付け、画面を操作して私は宇宙へ飛んだ。


 フルダイブゲーム、『ドラゴンプラネットオンライン』のサービス開始から長い時間が経っていた。この間も様々なフルダイブゲームが発表され、生活の変化もあって私はドラゴンプラネットオンラインにログインすること自体減っていた。

 私は一つの災害をキッカケにまた龍の星へ舞い戻ることとなった。かつて戦列に轡を並べた仲間達は、何かあると自然とそこへやってくる。

 みんな、足元を揺るがす不安から逃れる様に、地球を離れて宇宙へ行きたいのかもしれない。だから、ここに集まる。


「よう、氷霧、お久」

 ゲームにログインして最初に声を掛けたのは、紅い瞳に黒髪を腰の下まで伸ばした女の子だった。

 私の名前を呼ぶ。地球での名前ではなく、この星での名前で。

「墨炎」

 私は女の子の名前を呼ぶ。何一つ変わらない。変化を表に出さない、いくら長く付き合っても読めないミステリアスな雰囲気の女の子。

 そして、この場所も変わらない。私と墨炎が初めて出会った場所。暗黒惑星の拠点にあるブティックだ。

 郊外のデパートを思わせるような、低い天井と並べられた服の数々。ここは、訪れる人が減っても朽ちることはない。

「ここに来ると思ってたぜ」

 女の子、墨炎は私に連絡して、この場所に待ち合わせようと提案したわけではない。私も墨炎に連絡はしていない。二人は自然とこの場所へ足を運んでいた。

「そうだ、アバター確認した?」

「アバター?」

 墨炎は急にそんなことを言う。アバターがどうしたというのか。彼女は近くの試着室を開き、鏡を私に見せた。

「急に背が伸びてるかも、なんてね」

 彼女はいつもの様に、悪戯っぽく笑う。

「いくら外見をある程度他のゲームのアバターにコンバートしてるっていっても、やっぱこのゲームのフォーマットで見ねぇとな。ポケモンだって3Dになったけど、俺もたまに『青』版のゴルバットが恋しくなる」

 鏡には、見慣れた私の姿があった。背中まで掛かる白い髪、左目は前髪で隠れている。藤色の袴と胴着に、防具の胸当て。これが私のアバターだ。

「今必要なのはこれだろ? 用意してある」

 そして、墨炎はカメラを取り出した。彼女の手には余るビデオカメラだ。私が何をしようとしているのか、墨炎は全部お見通しの様だ。

「じゃ、映すぞ」

「うん」

 私は墨炎の持つビデオカメラを見て、話を始める。

 氷霧が何をしたのか、それは作者である私にもわからん。

 これから登場する(一作目からの読者にはお馴染みだろうけど)氷霧、クインなど一部のキャラクターは級長の発案ではない。九州にいる友人からのアイディアである。第一作目『ドラゴンプラネット』では彼女の描いた挿絵も見られるよ!

 スマホに乗り換えた時にどういうわけかメールを送信できなくなり、しばらく連絡がつかない。一度は上手くいったけど、二度目以降はダメね。

 これ読んでたら、感想欄でもいいんで安否教えてくれると嬉しいね。

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