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プロローグ 電子と現実の惑星

 ドラゴンプラネットオンライン。それは、ゲーマーの夢、人類最後のフロンティア。

 直江遊人、藍蘭、真田理架の三人は、それぞれの宿命と共に宇宙を駆ける!

 俺は空を見る。月と星が並ぶ、見事な夜空だ。生暖かい風が顔を撫でる。腰の下まで伸びた『俺』の髪が、風に揺れた。

 現実のそれより小さく、というか性別さえ違うこの身体にも随分慣れたものだ。

 目の前にゾンビ共さえいなければ、カフェラテと共に月見でもしたくなる夜だった。誰もいない夜の街というのも風情がある。

 街頭やネオンの明かりだけが光り、店舗やビルの照明は消えている。ガラスに映る俺の姿がアニメ調の美少女でなければ、ここを現実の世界だと勘違いしかねないリアルな造形だ。

 小柄な少女の外見をしたこれが、俺のアバター。最初見た時はビビったもんだが、もう慣れてきたな。腰の下まで伸びた黒髪に赤い瞳。最初は地味だった服装も、ネコ耳の黒パーカーに赤いチェックのプリーツスカートとオシャレに仕上がった。

 ここの夜は湿度のせいか、パーカーが肌に少しジメッと張り付く。妙に湿っぽい。熱くない熱帯夜といった感じだ。

「お、ゾンビいたんだっけ」

 俺は目の前にいたゾンビの存在を思い出し、背負った二本の剣を抜く。上空にはHPゲージが出ている。これがゾンビの群れの体力というわけだ。

 幸いにもゾンビから腐臭はしない。料理人の鼻は繊細だ、お手柔らかに頼むよ。くさやよりマシなら何でも構わんがね。

 抜いた剣はズッシリと手応えを感じる。だが、振り回すのに難は無い。心地よささえ感じる。

 目の前にゾンビが近づいてきた。匂いが無いから接近に気づかなかった。剣を横に薙ぎ払い、ゾンビの胴を真っ二つに切り裂く。手には柔らかい物を通過し、一瞬だけ硬い手応えを受けてる感覚があった。多分、人体斬る感覚はこうじゃ無いと思うけど。

 左右や前後から押し寄せるゾンビを斬る時は、基本無心だ。頭の中がボンヤリしているけど、それは他のことを考えていないから容量が余っているんだと思う。

 ガラスが割れる様な音で脳に血が巡る。頭上のゲージが破壊されたのだ。ゾンビの群れはこれで終いか。

 ゾンビは死体も残さず、青い光となって消えていた。死体の匂いはキツイって姉ちゃん言ってたな。肉料理を避けなくていいのは助かる。

「メール?」

 ふと、俺は腕時計が鳴っているのに気付いた。時計を叩くと、目の前に青白く光るメニュー画面が現れた。メニューの内、『メール』の項目が発光している。

「氷霧からか」

 仲間からクエストのお誘いだ。じゃ、行きますか。ソロプレイにも飽きてきたところだ。


 ドラゴンプラネットオンライン、俺がこのゲームと出会って一年。たかがゲームから始まった物語が、日本列島を揺るがして未来さえ変えた話を今からしよう。


   @


「というと、この星への移住は予想されていたものと?」

 私は仲間からある話を聞き、耳を疑った。昔、あるゲームがこの移民団の向かう惑星について予言していたというのだ。

 周りを鉄の壁に囲まれた空間。ここが私の見る最後の光景だろう。ならば、そんな与太話も悪くない。

 私は唯一ここに持ち込んだ食料品であるホットコーヒーのチューブを吸い、考える。ホットとは名ばかりのぬるいコーヒーだが、一口飲むだけで胸の痛みが消える。

 『ドラゴンプラネット』なるゲームは、その昔、フルダイブシステムという画期的なシステムを導入して、世間を賑わせた。フルダイブと聞けば、誰しも自動車運転の練習や宇宙作業の訓練で使ったことがあるだろう。

 コンピュータグラフィックスの世界に意識を落とし込み、CGの肉体を現実の身体と同じ感覚で動かすというものだ。早い話、夢で訓練するようなものだ。

 仲間である黒髪の男が、タブレットを見ながら話す。私は金髪だけど、そういえば日本列島がユグドラシルの要塞になってから、めっきり黒髪の人を見なくなったような気がする。

「ああ、移民団の辿り着いた太陽系にある四つの惑星。そこの特徴がドラゴンプラネットオンラインに登場する惑星に合致している。さすがにタイトルであるドラゴンプラネットは無かったがな」

「きっとビックリしたでしょうね、彼ら」

 私の仕事は、彼らにこの船を見せないことだ。彼らならきっと大丈夫。そう信じてはいるけど、この船を止めるのは私たちの責任だから。

 この部屋はコンピューター用に空調が効いているから、熱くなった体もすぐに冷えてしまう。汗をかいているから、そのせいもある。

「ねぇ、時間までしない?」

 私は彼の顔を見て誘う。まだ酸素はある。この酸素が無くなれば、私たちは眠る様に死ぬ。どうせ何もしなくても酸素を消費するし、生還する予定も無い。

 だったら、せめて愛する人と交わりながら眠りに着きたい。私の何代も前のお婆ちゃんは愛する人と結ばれかけながら、自ら離れた。そう白髪のお兄ちゃんから教えられたんだって。その子孫である私は、愛する人と最後まで一緒にいたい。

「パラドクスプロジェクトは成功しただろうか……」

 愛する人は、そんな心配ばかりしている。大丈夫、もうすぐそんなこと考えなくていい世界に行けるんだから。

 リメイクとは?

 過去に発売されたゲームが時代を超えて再度発売されることはよくある。有名どころではポケモンだろうか。GBAで発売された『ファイアレッド、リーフグリーン』を皮切りに、一定期間ごとに過去作がリメイクされていった。

 単純にグラフィックの美麗化やシリーズの積み重ねによってユーザーインターフェースが向上するだけではない。シリーズものならその作品が発売されて以降明らかになった真実を匂わせるシーンが追加されたり、作品に纏わる都市伝説を公式がネタにしたりするだろう。

 例えば、ドラゴンクエストⅤでは初めてモンスターを仲間に出来るようになったことから前作の強敵にして当作の隠しボス『エスターク』が一定ターン以内に倒すと仲間になるという都市伝説を採用して、リメイク版では一定ターンでエスタークを倒すと彼の息子が仲間になった。

 今初代『メタルギア』がリメイクしたら、アウターヘヴンで戦うビッグボスはきっと……あぁぁあああ!

 ###このあとがきはフルトン回収されました###

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