~序章~
※このお話はフィクションであり
実際の団体、企業、全ての方々に一切関係はございません。
--今から、私の人生を大きく変えた出会いの話をしよう--。
中学の内はまだまともだった友人達が、高校に入ると同時に理性を失った、ように見えた。
好きな人が出来た。彼氏ができた。デートに行った。…へぇ、それはようございました。
頭の中にはそんなことしか無いの?と言いたくなります。「一目惚れなの」そう語る彼女はなるほど、目に入った相手を脳が知覚するまでの0.04~0.3秒の間に自分の「思い人」に設定してしまったらしい。人間って複雑そうに見えて馬鹿みたいに簡単な造り。発情期なんですね、分かります。まぁ、私の友人は大学が恋愛遍歴なんかではなく偏差値にしか興味が無いと言うことにまだ考えが至ってないのでしょうけど。ずいぶん幸せなこと。あぁ、もちろん皮肉。
…と、こんな感じで、その時の私はどこか物事を斜めに見ていた気がする。あ、申し遅れたが私は本城乃亜、当時ごく普通の高校1年生だった、というか、ごく普通の高校1年生でありたいと思っていた、本当に平凡な人間だった。周りのみんなのしている事を理性的ではないと思いながら、それでも、自分も周りに同調していた。女子特有の、なんというかグループ的なものからあぶれるのが怖かったというか…まぁ、そんな努力もむなしく、その「出会い」によってごく普通の高校1年生では無くなったのだが。今から、そのことについて心を巡らせてみようと--本題に入ろうと--思う。…私がごく普通の高校1年生で無くなった…であろうとする必要がなくなった、事のあらましを。