零章 黎明ノ伝
“始まり”──
それを明確に定義する時、誰しもが“事”の起こりを“それ”とするだろう。
しかし、真に“始まり”と呼べるのだろうか。
“事象”に於いての原因・起因・要因を指すのならば間違いではないだろう。
けれど、人に於ける場合の“始まり”は何処と定めるだろうか。
この世に産まれた時?
自我が芽生えた時?
人生を振り返り“岐路”となった時?
何れも間違いではない。
しかし“絶対”でもない。
己が生命も自身が思うより“始まり”は遠い。
何故ならば、生を受けるにあたって両親が要る。
両親の両親、その両親…
“祖先”無くして語る事は出来無いだろう。
人間の祖が、生命の祖が、定かでは無いのならば…
“始まり”は不確かだ。
命の“始まり”に至っては解き明かせぬ神秘だろう。
それでも人は“始まり”を定義しようとする。
“始まり”を定める事で、“終わり”を定める。
“終わり”を定め、区切り分けようとする。
新たな“始まり”を定め、区別する為に。
人は定める──
“始まり”は“終わり”…次なる“始まり”を迎える為の節目として。
◎全4話
“夢”の中で出逢う二人。
それは本来なら有り得ない事だった。
しかし、二人は出逢う。
それは“何か”の予兆か。
或いはただの“偶然”か。
答えは“必然”へと至るか否かで解るだろう。
夢に想いて、儷ぶを冀う。
◎設定・説明
◇4話 【曹操】【曹純】