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恋姫三國史  作者: 桜惡夢
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五章 成世ノ伝




   ──時代──




それは歴史を区切る括り。


何かしらの表題の下に纏め後世の者達が勝手に決めた便宜上の名称。

“その時を代表・象徴する学術上の区別名称”だ。


“生きている者”にとって時代の呼び方など無意味に近い事だろう。


何故なら生きた者達各々に時の名は有るのだから。

一人の生き抜いた時の名はその者の時でしかたなく、他の名を冠する事は無い。


如何に優れた者で有っても他者の時の名を奪う行為は冒涜と同じだろう。




時の黎明と黄昏。

それらもまた区切る上では一つの基準となる。


しかし、時の黄昏を懸命に生きる者達が感じるか。

答えは是でもあり、非でもあるだろう。


その“時”は支配者或いは“王”という存在の別称と言い換える事も出来る。


一つの巨大な存在の終焉を“時の黄昏”と呼ぶのなら人は感じられるだろう。

新たな黎明も同様に。




歴史・文明・文化・戦乱・国家・人物・事象…

様々な基準の下に分けられ切り刻まれた時の断片。


それは正しく意味も価値も持ち得るのだろうか。


上辺だけを掬い取り纏め、大きな出来事だけを伝え、個人が名誉や功績・権力の為に虚偽で固める事も。

そんな物が“正しい”事と万人は言えるのか。


歴史とは何なのか。

時代とは何なのか。


その答えは、その時の中を生きる者にだけしか判らず示す事は出来無い。


語る事が出来る者もまた、その時の中にしか居ない。






◎全16話

それは廻動する歯車の如く一つが動けば次から次へと連鎖して動き始める。

その実態が意図的で有れ、偶然で有れ、自然で有れ、関係無い事だろう。

動き始めた歯車は廻る。

ただただ廻り、廻り、廻り歴史という絲を紡ぐ。


善も悪も関係無い。

全ては結果に依りて決まり裁定が下されるのみ。

現在に生き、歯車と成りし者達の意志には伴わず。

無慈悲なまでに真理に従い血に彩られた未来を描く。


然りとて、流れ逝く血命は時代と次代を育む。

その犠牲(いしずえ)無く、新たな世は始まらない。

それが良き世と成るのか、或いは悪き世と成るのか。

それは現在に生き歯車達の意志に因るだろう。


ただ、一つだけ言うならば歯車は歯車だという事。

何の為に存在するのか。

その意味は予め定められた渦中に秘されている。




◎設定・説明

◇1話 【成長の様子】




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