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自分に。
顔が半分ない男は腕をゆっくりと離した。
「大丈夫だったか?」
一体何の話だ?
顔が半分ない男に気を使われる覚えはない。
どうなってんだ?
「大丈夫?なにがです?」
「人間に見つからなかったか?」
何を言ってるんだこの怪物は?
目の前に僕が居るというのに。
僕が人間じゃないみたいな言い方だ。
「僕は人間ですよ。」
「君は人間じゃない。」
「なぜです?どう考えても僕は人間ですよ!あなたは違うかもしれないが!」
「私は人間ではなくなった。そして残念なことに君も人間じゃない。」
何が起こってる?
自分の名前を忘れはしたが、人間だということくらいは分かってる。
誰か証明してくれる?
僕は人間だということを。