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これからの事。
顔の半分がない男は近づいてきた。
僕は声も出ない。
後ずさりしながら恐怖を目の前にしていた。
腕を掴まれた。
ダメだ。
喰われる!
腕を掴んだまま僕を見ている。
下から上へ何度も見ている。
終わった。
僕は今日、ここで得体の知れない人間の様な形をした怪物に喰われる。
そう思った。
「お前、何処から来た?」
えっ!?
喋った!?
しかも、案外普通な感じ。
「えっ?」
もちろん僕から出る言葉としてはこの位が限界だ。質問をされるとは思っていなかった。
正直、喰われると思った。
それが突然、何処から来た?と質問がきた。
答えられるはずもない。
分からないからだ。
この状況を打破することは不可能に近い。
理解することさえ難しい。
せめて自分の事さえ知っていれば。
どうすれば自分に出会える?
どうすれば思い出せる?