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えっ?
頭を押さえながら歩き続けた僕は住宅街に迷い込んでいた。
この辺りも荒れていた。
家の窓ガラスは割れ、玄関等のドアもあいたままだった。
やがて、一軒の家の前で足が止まる。
ごく普通の白い一軒家だ。なぜか、その家を見た時に安心したのを覚えている。
記憶のない僕には、なぜ安心できたのか検討もつかない。
歩くのも疲れたし、ひとまず、休憩をしなくてはと、その一軒家の中へと入っていった。玄関のドアをゆっくり開けて中をのぞくと、家の中はめちゃくちゃだった。
リビングには食事が置いてあるが食べかけの食事。
ソファーは倒れて、テレビも付いている。
映像はなく砂嵐しか流れていない。
一階には誰もいないようだ。
僕は二階へと足を進めた。
誰もいない街。
誰もいない家。
なぜ僕だけが居る?