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なに?
表通りを歩いていると激しい頭痛が襲ってきた。
まるで、バットで殴られたような痛み。
我慢しながら歩くしかない。
1つ目の角を曲がるとこの街の有り様に気がつく。
家は燃え、車は横転し、道路は血の海。
ますます何があったのかわからない。
しかし、血の海と化した街の中で死体が見当たらない。
なぜこんなにも血痕がいたるところに?
なぜ死体が1つも見当たらない?
一体、何があったらこんなことになる?
僕は痛む頭を押さえながら歩き続けた。
何処にむかって?何一つわからないまま歩き続けた。
記憶が戻るまで歩くのか?
どこまで歩くのか?
唯一、この街の事は覚えている。
ただ、自分の事は何一つわからないまま。