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幸せを知らない令嬢は、やたらと甘い神様に溺愛される  作者: ちゃっぷ


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第21話

 神父の息子であるカーフィンに妻になってほしいと言われ、イラホン様のご友神であるカティ様・バハロン様とお会いしてから、しばらくの時が流れていた。


 私はイラホン様と共に、毎日のように教会で神の仕事をお手伝いさせていただいている。


 イラホン様は無理に手伝う必要はないと言ってくださるけれど、私としては少しでも人の役に立てるのが嬉しくて……自らの意思で教会に来ている。


「あっ! アルサ!」


 その間、何度かカーフィンと顔を合わせていた。


 初めて会話した後、再会した時に改めて妻にならないか、人間界に戻ってこないかと言われたこともあったけれど、私が首を横に振ると少し寂しそうではあったけど納得はしてくれた。


「カーフィン、今日もよろしくね」


 それ以来、どちらもそのことに触れることはなく、教会に来た際に顔を合わせると明るい表情で挨拶を交わす間柄になった。


 私たちの姿は普通の人には見えていないから、周囲を窺いながらではあるけれど……そんな些細なやり取りが、私にとってはたまらなく嬉しい。


 カーフィンがどう思っているかはわからないけれど、私にとっては初めてできたお友達のような感覚がして……彼と会えるのは嬉しい。


「……イラホン様も、よろしくお願いいたします」


「……あぁ」


 カーフィンとイラホン様は挨拶こそするものの……良好な関係とは言い難いかな?


 目が合うと火花をバチバチと散らしているように見えるけれど、言い合いになったりケンカしたりすることはないので、静かに見守ることにした。


「やっほ~。また来ちゃった~」


 カーフィンとイラホン様のやり取りを見守っていると、後ろからいつもの明るい声が聞こえてきた。


 振り返ると、そこには手をひらひらと振っていらっしゃるバハロン様と、ムスッとした様子で顔を背けているカティ様がいらっしゃった。


 お二人もまた、教会や屋敷に度々訪れるようになっていた。


「ようこそお越しくださいました。バハロン様、カティ様」


 最初はお二人にお会いするのも緊張したが、今では落ち着いて応対できている気がする。


「いつもお邪魔してごめんね~アルサちゃん」


 バハロン様はいつでも明るく、私に対しても優しい対応をしてくださるけれど……カティ様はやはりイラホン様を奪われたこと、私が人間であることがお気に召さないらしく、挨拶すらまともにさせていただけない。


 カティ様ともいつか挨拶ができる間柄になれればと思っているのだけれど、先は長そうだ。


「なんだ、また来たのか」


 お二人の来訪に気付いたイラホン様がそう仰ると、お二人はイラホン様の方に向かう。


「何よ! 来ちゃ悪いわけ!?」


「まぁまぁ、イラホンは新婚さんだから邪魔されたくないんでしょ」


「……それを分かっていながら、なぜ来る?」


 そんな三人のやり取りも、もう見慣れたものになった。


 私は邪魔にならないように、スッと離れて距離を取る。


「ねぇ、アルサ。イラホン様のそばにいるあの二人は誰?」


 するとカーフィンが不思議そうにコソッと尋ねてきた。


 カーフィンは休日しか教会に来ないためか、タイミングが合わずご友神のことは知らないようだった。


「お二人共、偉大な神様でイラホン様のご友神なの。カーフィンも失礼のないようにね」


 カーフィンにつられるように、彼の耳元に口を寄せてコソッと伝える。


 私が小声になる必要はないと分かっているのだけれど、どうしてもカーフィンと話す時は同じような立場で話したくて小声になってしまう。


 カーフィンはお二人も神様であることに驚いたのか、そうなんだと言いながら、少しだけ顔を赤くして目を反らしていた。


「……アルサ、そばを離れないで」


 そんなやり取りをしていると、いつの間にかイラホン様が背後に立っていて、私の腰に手を回しながら片手に優しく手を添えられた。


 そしてこちらを見つめながら、私の手にキスをするイラホン様。


 他の人とのやり取りには慣れてきたのに、イラホン様とのやり取りには未だ慣れない。


 どうしても顔が赤くなってしまうし、胸が高鳴るのを感じる。


「も、申し訳ありません……」


 私は頭と心をかき乱されながら、謝罪を伝えるが……イラホン様はまだムーっとした様子。


 見えはしないが……イラホン様がやってきた方向から、静かに怒り狂っていらっしゃるカティ様と、ニヤニヤと楽しげな様子のバハロン様の気配を感じる。


 いたたまれずにイラホン様から顔を反らして前を見ると、カーフィンはどこかぼんやりと……私を見ているような見ていないような目で、寂しそうな表情をしていた。


 心配に思ってカーフィンに声を掛けるが、何でもないと返ってくる。


 これが今の日常……騒がしくて恥ずかしくて、カーフィンの様子が気になる。


 そんな毎日だ。

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