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美容師パパは魔道具担当、料理人ママは飯担当、娘は赤点担当の勇者です  ~異世界の隅っこで、家族スローライフ始めました~   作者: antomopapa


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第20話 勇者の修行初日! 雑巾と、S級の「SUGOI」教え方



 「おはよーございます!」

今日は記念すべき、ブイヨン子爵さまへの弟子入り初日!  

私は朝から気合い入りまくり。ママの美味しいパンを5個も食べちゃった。

パパには

「お前は馬力があるから燃費が悪いな」

って呆れられたけど、修行にはエネルギーが必要なんだもん。

 元気よく家を飛び出して、領主邸へ。  

昨日壊しちゃった塀は、もう大工さんたちが直し始めてた。

ごめんなさい、ってお祈りしながら門を通る。

「おはよーございます!」  

門番のお兄さんにあいさつをしたら、苦笑いしながら通してくれた。

 さて、子爵さまの所へ行ったら、最初は何をするのかと思いきや……。

「リナよ。まずはこの部屋の掃除をせい」  

渡されたのは、バケツと雑巾。

「……え、お掃除? 修行じゃないの?」

 よく分かんないけど、言われたからには全力。  

床に四つん這いになって、ダダダダッ! って雑巾掛けをしたよ。  

終わってから

「終わりました!」

って報告したら、子爵さまはふぉふぉふぉって笑いながらこう言ったんだ。

「リナよ。

今の雑巾掛け、全力すぎて床が少し削れておるぞ。

修行とは力を出すことだけではない。力を『抜く』ことじゃ」

 えっ、どういうこと?  

子爵さまが私の手をとって、剣の持ち方を教えてくれた。

「リナよ、今の主の持ち方は『棍棒』の持ち方じゃ。

ぎゅっと握りすぎなのじゃよ。

雑巾を軽く絞る時のような、柔らかい感覚で剣を持ってみよ」

「こんぼう? 棍棒って……なんかチョコがかかってて甘くて美味しそうだね!」

「……ふぉっふぉっふぉ! それはクッキーの棒かの。面白い娘じゃ」

 子爵さまは優しく笑ってくれたけど、教え方はすごく上手。

 私、頭あんまり良くないから難しいことはわかんないけど、子爵さまは私に合わせて、すっごく簡単な言葉で教えてくれる。

「握り方に慣れてきたら、次は振り方じゃ。

切ろうとするのではない。

剣を遠くに『投げる』ようなイメージで振るのじゃ。

もちろん本当に投げてはいかんぞ? 最後の一瞬だけ、ふっと握るのじゃ」

 言われた通りにやってみた。  

力を抜いて、雑巾を絞るみたいに柔らかく持って……「投げる!」  

最後の一瞬だけ、ギュッ。

 シュパッ!!

 今まで聞いたことのないような、綺麗な音がした。  

目の前にあった大きな岩が、まるで豆腐みたいに真っ二つに切れちゃった!

「……え、私、天才じゃない!? いまの見た!?」

「ふぉふぉ、主も筋が良いが、教える儂が天才なのじゃよ」

「あ、それ知ってる! 言ってみただけ!」

 でも、教えてもらったのはそれだけだった。  

あとは、子爵さまとずーっと試合。  

でもね、やっぱり全然当たらないの。

子爵さま、白髪のおじいちゃんなのに、ひらひらって蝶々みたいにかわされちゃう。  

やっぱりS級冒険者って凄いんだね。

Sは「SUGOIすごい」のSだったんだ!

「リナよ。主はすぐにパニックになるのが一番の弱点じゃ。

ヤバいと思った時ほど冷静になれ。

パニックになると攻撃が雑になり、魔法が暴走する。

戦いの中で冷静さを保つには、とにかく試合に慣れることじゃ」

 確かに、パパにもいつも

「落ち着けリナ!」

って怒られるもん。  

ヤバい時ほど、冷静に。これが今日の私の一番の宿題かな。

 一日中剣を振って、もうヘトヘト。  

お昼ご飯はお屋敷でご馳走になったんだけど……。

「リナ、お味はどうかな?」

「うん、美味しい!

でも……正直に言うと、うちのママが作った料理が世界で一番美味しいです!」

「ほう。そこまで言うか。儂も一度食べてみたいものじゃな」

 子爵さま、ママのご飯に興味津々。  

よし、明日はママにお願いして、特製サンドイッチを持っていこう!  

お礼に塀の修理代の足しに……はならないかもだけど、子爵さまが喜んでくれたらいいな。

 家に帰ったら、パパがまた新しい魔道具をいじってた。  

お風呂を沸かせる機械? とか言ってたけど、私はそれより早く寝たいよぉ……。  でも、ドライヤーで髪を乾かすときだけは、ちょっとパパに感謝。  

明日も修行、頑張るぞ!


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