第3章:プロメテウスの手がかり!
——森は狂ったシンフォニーを奏でていた——
足元で軋む枝、踏み潰される葉。全てが「真実」への狂騒曲の一部だった。
コーイチはアキヒロの背後で息を切らしながら、手のように伸びる枝をかわしていく。
先を行く炎を凍らせたような黄金の角を持つ鹿型の式神は、振り返りもせず森を駆け抜けた。まるで二人が迷わず追ってくると知っているかのように。
「あの式神の背中の『アレ』……まじょ(呪文)? プロメテウスの罠?」
コーイチが歯の間から漏らす。
「わからねえ……だが追うべきか?」
アキヒロは走りながら低く呟く。
「なら止まるべきよ」
コーイチが足を止めて息を整える。
アキヒロは軽やかに低い枝に飛び乗り、鹿を俯瞰した。
式神は土塚の上でふと立ち止まり、神々しいほど優雅に首を振り向けた。そして――二人を直視した。
「導いてる……らしいわ」
コーイチが呟いた瞬間、鹿は再び走り出した。
棘だらけの樹々のカーテンの奥にある隠れ丘まで追い詰められると、式神は待つように立ち止まる。
「こ、これに入るの……?」
コーイチの声が微かに震える。
鹿の角のきらめきが無言の答えのようだった。
「ここまで案内した……行くしかねえ」
アキヒロが拳を固くする。
「私……入りたくない……」
コーイチの瞳に初めて見せる弱さ。
「……なんでだ?」
「暗闇が怖いって何度言えばわかるの、バカ!?」
怒りと恐怖が混ざった視線。
「手を握れ」
アキヒロが差し出した掌。
「一人じゃ入れねえ。お前の魔法が俺の戦いを支えてる……ずっとそうだっただろ?」
「……わかった」
境界を越えた瞬間、空気が淀んだ。
木々の幹にはギリシャのルーンが刻まれ、枝は古代の囁きを漏らしているようだった。
遠くで動物や式神の苦悶の叫びが響く。
アキヒロは剣を構えながら進む。
たった一つの思考が頭を支配していた――『コーイチを守りつつ、どう脱出するか』
「開けた場所がある」
コーイチが指さす。
木漏れ日が差す偽りの聖域。
「時間の無駄だ……プロメテウスを探す連中は他にもいる」
アキヒロが剣で進路を描く。
「でも式神がここに導いた。何かあるはず」
「北欧神やプロメテウスがなぜ日本に? まったく……」
アキヒロが剣を回しながら呟く。
沈黙が流れ、コーイチがため息をついた。
「プロメテウス……伝説では『火』に関わる神よ」
「じゃあ火を探せばいい?」
「そう単純じゃ――」
コーイチの足元の異変に会話が途切れる。
「その足……どけて」
土を払うと、埋もれた本が現れた。
ページをめくるコーイチの表情が険しくなる。
「またこの記号……ギリシャ語は読めない!」
しかし――一箇所だけ日本語で書かれた単語に目が留まる。
「須佐之男命……」
アキヒロが振り向く。
コーイチはページを急いでめくり、理解しようとする。
「薬種帳みたい……ここに日付の記録が」
「プロメテウスのものか?」
「でもなぜスサノオの名が日本語で……?」
その時――影が二人を覆った。
ライオンの如き咆哮が轟き、空から巨影が襲いかかる!
「コーイチ! 下がれ!」
アキヒロが彼女を突き飛ばした直後、爆風が開けた場所を襲う。
「なに……あれ……?」
塵にむせながらコーイチが咳き込む。
埃が晴れると現れたのは――
鷲の翼、山羊の体、蛇の尾、そして獅子の頭を持つ怪物だった。
「キメラ……!?」
怪物が再び吼える。
戦闘開始の号砲のように――
【次回予告】
《第4章:天空の脅威! 神話の合成獣、覚醒す!》
「お前たち――プロメテウスの『火』を探すな」
まだ日本語を勉強中なので、感想やアドバイスをいただけるととても嬉しいです。
また次回もよろしくお願いします!
それでは、素敵な一日をお過ごしください!(•̀ᴗ•́)و




