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第1章:聖なるギルド

「日本神話の神々が滅びた日から——この国は地獄と化した。」


魔法は暴走し、式神しきがみたちは飼い主を探して彷徨う。

監視の目が消えた今、悪戯いたずらに走る者もいれば、村々を襲い恐怖を撒き散らす者もいた。


そんな中、冒険者たちは「式神を鎮める」仕事でギルドから報酬を得ていた。


隠された迷宮ダンジョンの奥。

二人の影が衛兵たちを観察していた。

一人は凍結魔法を構え、もう一人は刀を握りしめる。


「な、何だあれは!?」

衛兵の叫びは、アキヒロの刀が黒い影に貫かれた瞬間、途切れた。


氷遁術ひょうとんじゅつ・氷結!」

後ろから黒髪の少女が手を上げると、空気が一瞬で凍りつく。残る二人の衛兵は氷の彫像となり、消え去った。


「今週で式神十体! 新記録よ!」

カナエは拳を上げてジャンプした。


「ギルドの報酬が楽しみだな」

アキヒロは刀の血を拭いながら呟く。


「金のためだけじゃないでしょ、バカ。」

彼女は眉をひそめて言い放つ。「これが正しい行いなのよ。」


「おい、カナエ」

アキヒロが馴れ馴れしく呼ぶと、


『コーイチさん、でしょ?」

彼女はきっぱり訂正した。「名字がないからって、礼儀もないの?」


アキヒロはイラついた目を向けたが、彼女は「さん」付けにこだわる頑固者だった。


「はいはい……礼儀作法の女帝、コーイチ様」

呆れたように言うと、


「痛っ!」

頭に氷の塊が直撃した。


「……すみません、コーイチさん」

今度は敬語で。


「それでよ」

彼女は舌を出して笑った。


……


ギルドへ向かう道中、老人たちが彼らの手にキスしながら感謝する。


「ありがとう、救世主様!」


コーイチとアキヒロは無視して通り過ぎた。


「……神様みたいに扱われるの、嫌だ」

アキヒロが呟く。


「今の日本で神に近いのはギルドよ」

コーイチは携帯神社(ポータブル神社)に報酬を受け取りながら言った。「信じるものが必要なの。放っておきなさい。」


「でもな、自己紹介でポーズ決めてるだけの冒険者どもを見ろ!」

アキヒロが嗤う。「SELFIE(自撮り)ばっかだぞ!」


「フォロワー数が気になるの?」

コーイチがからかう。


「チェッ」


「みんなが冒険者に憧れる理由、わかるでしょ?」


紫髪の少女——ギルドの会計・ヤナミが報酬袋を渡す。


「コーイチさん、アキヒロさん。今回は頑張りましたね!」

彼女は狸のような笑顔で金貨を数える。


「次の依頼は?」


ヤナミが記録帳をめくるが、首を振る。


「今は他の冒険者が全て請け負ってます。でも——」


バン!


ギルド長・ヨシダが掲示板に札を叩きつけた。


【緊急討伐】

プロメテウス

賞金:500万両


「……高すぎるだろ!?」


「プロメテウス?」


アキヒロが札を睨むと、ヨシダが説明した。


「オリンポスからの指名手配だ。ギリシャで反乱を企て、日本へ逃げてきたらしい」


「ゼウスが直接捕まえられないのか?」


パン! ヨシダがアキヒロの頭を殴る。


「神々は領外では力を減じる。だから日本には来ない……たとえこの有様でもな」


ヤナミが小声で付け加える。


「プロメテウスみたいなのが現れると……ゼウスが直々に来るかもしれない」


「お前たちに任せる」

ヨシダが葉巻に火をつけながら命じた。


コーイチとアキヒロは顔を見合わせる。


「ゼウスは信用できない」

コーイチが唸る。


「同感だ」

アキヒロも同意した。


「愚痴るな。神々がいなければ秩序は崩壊する」

ヨシダが窓の外を指さす。巨大な式神がビルを喰らう光景が広がっていた。


二人は無言で視線を交わした。


(……マジでゼウスの手下になるのか?)

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