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桃太郎転生〜あいつ人生2周目じゃね?〜  作者: kissy_0
第一章「始まりの村編」
5/5

第四話「リマジハ村の一日」

キビ祭りから5年が経った。

俺やファムが9歳、カリブが13歳になる。


森か川か家しか無いようなド田舎な村の1民家、その庭で木剣を振るう少年が1人。

毛先がやや桃色がかった深緑の髪に紫紺の瞳、わずか9歳にしてその眼には高い目的意識を宿し黙々と空を切り裂く。なんて画になるんだろうか....


....俺は。



「お、やってるなぁタロー。

いつからだ?」


「明け方くらいかな。最近は専らこうだよ。」


「剣術を習得するには基本が1番という俺の教えをしっかり守ってるようだな。

そんなに剣士になりたいのか。」


「剣士っていうか、冒険者かな。

世界中を旅して鬼族の悪評を晴らしたい。」


「......そうか。どれ、久々に一つ手合わせ願おうかな。」


「やだよ、また顔がアザとコブだらけになるじゃん。」


「分かってる今度は加減するさ。

基本的に俺からは攻撃せずに捌く。」


「......まぁそれなら。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ほうえいいあいっえいっあよえ?(攻撃しないって言ったよね?)」


剣の修行に勤しみ、その道を先に征く父親に軽く捻られ、額に大きく出来たたんこぶを母親に治療される1人の少年。なんて画にならないんだろうか。

俺は。


「いやーすまんすまん。隙を見つけたらつい腕が勝手に」


「反省してないわね。」


マクレガーがそういうと左手をガレスの方へかざし手のひらからは赤い小さな魔法陣と今にも飛び出さんとする火の玉が一つ。

これは確か初級の攻撃魔術だったな。


(右手では俺に回復魔術を掛けてるのに....本当に熟練の魔術師なんだなマクレガーって)


「あー分かった分かったしてるよ反省な。」


ガレスはビビって逃げて行った。

ちなみにこのやり取りは何回も見た。どうせすぐ帰って来るだろう。


「よしこれで回復完了と。タローはあんな大人になっちゃダメよ。」


「はーい。」


ガレスのせいで中断したがいつもは朝食の前まで素振りしている。


「タロー、今日はもうご飯になさい。

ほらお皿出して。」


マクレガーが鍋に用意してある昨夜の残りのスープを温め直している。

俺は横でお盆と皿を用意しながら聞いてみた。


「母さんはなんで父さんと結婚したの?」


「愛し合っていたからよ。」


「どんなところを?」


.....ん?返答が無いな。


「母さん?」


「____タロー.....」




「......うるさいわよ。」


.....照れてる?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



朝飯を食べ終わると、次は昼飯までの間マクレガーから簡単な授業を受ける。

と言っても本当に簡単で、読み書きや四則演算レベルの算術。この辺は楽で良いが正直退屈だ。

だが唯一退屈じゃない授業がある。


「タロー。今日は魔術を教えるわ。」


「はーい母さん。」


(キタァァァァァァ!!!!!)


そう魔術だ。前世の世界には無くて新鮮な物は沢山ある。だが魔法はもうなんか使えたらやばいじゃんこれ。


「タロー、魔術の時だけ如実に喜んでないで早く魔導書を取ってらっしゃい。」


俺が本棚のある部屋へ向かおうと廊下へ出ると、自室から出て来たカリブと鉢合わせた。


「兄さん、今から教室?」


街の教会では"教室"と呼ばれる、シスターが街の子供達に勉強を教えてくれる時間があるのだが、半年前からカリブはそれに参加している。

教会は歩くには厳しい距離だが馬車を使えばすぐだ。

本来、馬車代含めてうちに通わせるだけの余裕が無い....訳ではないんだろうが、カリブは元々教室なんて通うつもりはなく、この村からは村長令嬢であるマリアだけだった。

だが半年前にマリアがもう行きたくないとぐずったらしく、村長が提案を持ち掛けて来たのだ。

"費用はこっちで負担するから、カリブも一緒に行かないか"と。

ベタ惚れ中のカリブと一緒なら通うだろうという村長の考えだ。

こうして我が家は棚からぼたもち的に長男を修学させる方が出来た訳だ。

ちなみに当のカリブ自信はダルそうだ。

5日の疲れが2日で取れると思っているイかれた現代日本とは異なり、月一くらいのペースではあるものの、一々よそ行きに着替えるのも面倒だよな。


「....はーあ。めんどくさ。」


「なんだかんだ帰って来る時はいつも楽しそうじゃない。」


「タローこそ勉強頑張れよ。母さんの授業は教室と同等の質を誇るぞ。」


遠回しに教室の質をdisるんじゃない。


「じゃあ行って来ます。」


俺は魔導者の事なんかすっかり忘れカリブ見送りに追いかけた。



「「行ってらっしゃい。」」


俺とマクレガーに見送られ玄関を出るカリブ。

ドアを開けると庭の向こうでは馬車に乗ったマリアが手を振ってカリブを呼んでいる。


「.....じゃあ行って来ます.....」


カリブの顔はより一層憂鬱さを極めた。


「シウネさん、息子の事よろしくお願いします。」


マクレガーが馬車でマリアに付き添うメイドに声を掛ける。


「お任せ下さい。お嬢様のお友達を守るのも、わたくしの役目でございますから。

最もわたくしに出来るのは、馬車から落ちてしまわないよう注意することぐらいですが....」


このシウネというメイドがまた良い。

銀髪にハーフアップ?のような髪型。長い前髪で隠れてよく見えないが、紫紺の瞳をしていて親近感。

に、加えて

顔が良い

スタイルが良い

胸がでかい

ミニスカ

ニーハイ

太ももが良い

ジト目

性格は謙虚

と結婚したい要素8点セットを揃えている。


「シウネさん!僕からも兄さんをよろしくお願いします!」


「え?あぁ、はい.....。お任せ下さい。旦那様のお嬢様のお友達の弟君殿。」


うん。絶対引かれた。


「じゃあねーカリブのお母さん、あとモモタロー!」


馬車が出発すると、マリアが荷台の後部に身を乗り出して手を振った。

カリブは座ったまま落ち着いて手を振り、シウネはお転婆お嬢様が落下しないように腰を支えているのが見えた。


「おーっとカリブのやつ行ったかー。俺も見送りたかったなぁ。」


「あぁ父さん、なんだ帰って来たんだ」


「何だよ来て欲しくなかったみたいな言い草だなぁ。」


「今日はちょっとだけ遅かったかしら?」


「今日は夜から定例の見回りだろ?そう思うと憂鬱でよぉ。」


だるそうに家を出たカリブが一体誰に似たのか、俺にはよく分かった。


「それにしてもタロー。あのマリアはあいつ碌な大人にならんな。」


「顔がって事?」


「いや性格だよ。あの歳であの依存体質はなー。」


「そういう事言う割に父さんあの村長親子にはペコペコするよな。それでも剣士かよ。」


「権力者相手に愚かな立ち振る舞いをしないのも立派な剣士の心構えだ。

それに、あのままマリアがカリブとくっつけば次期村長はうちのカリブだ。そうなれば村の実権は俺が握ったも同然。今のうちから仲良くしておくのも悪くないだろう.....」


藤原氏かこいつは。


「そんな事の為に兄さんを利用したら可哀想だよ。」


「だがお前もシウネとかいうあのメイドに会いやすくなるかもしれんぞ?」


「兄さん頑張れーーーー!!!!!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



授業を終え、昼飯を食べ終わったらさぁいよいよの自由時間だ。

うん。暇!


「よし、自主練するか....」


再び木剣を手にしようとした時。


「タロー....?」


幼さと儚さが同居する声。振り返ると庭の小さな塀から身を乗り出す1人の少女。

紫紺の髪に鮮やかな緑眼。健康的な体つきに少年にも見えるほど端正だが、確かに可愛らしくもある顔つき。

ファムだ。


「一緒遊びたい。遊ぼ?今日は暇?」


「うんめっちゃ暇ー!」


俺は木剣を放り捨てた。



「なんかちょっと久しぶりだよな。どこで遊ぶ?ウチ入る?」


「タローは何で遊びたい?」


「んー。じゃあ丁度自主練しようとしてたし、チャンバラでもするか。

なんかいっつもこれやってる気がするけど。」


「タローがやりたい事なら何でもやるよ、ボク。

けど大丈夫?前までボク、タローの事ボコボコにしちゃってたよね?」


「いや、俺も結構レベルアップしたよ?

まぁまた俺がコテンパンにされたら別の遊びしようぜ。」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よひべうのあおいしよう(よし別の遊びしよう)」


「ごめんねファムちゃん。タローったら張り合いが無いでしょ?」


俺に回復魔術を掛けながらマクレガーがそう言った。


「うんうん。ボクが並みより強いのがいけないんだ。ボクが....鬼族だから.....。」


「いや、それを差し引いても強いけどなファムは。種族とか関係無いよ、鬼族でも弱いのは居るだろ?」


「タロー.....」


「.....だから俺が負けるのは仕方ない()」


「言い訳しないの!」


マクレガーが俺にデコピンする。


「いってぇなぁ....俺今回復したてなんだけどォ!?」


「その回復魔術を掛けたのは母さんよ。」


「だったら尚更自分で_____」


「____ふふっ」


「「.....?」」


俺とマクレガーの小競り合いを見てファムがくすりと笑った。さぞ滑稽な親子に映っただろうな。


「ごめん......何でもない。次はもっと平和な.....遊びしようよ。

.....んふっ....」


ツボってるじゃないか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「タローは将来この村、出て行くんだっけ。」


村の通りを並んで歩いていると、そんな会話になった。


「ああ。この世界のあちこちを旅してみたい。

ファムは、何になりたいんだ?」


「ボクは.....分からない。タローに着いて行きたい....かも」


「じゃあ村出て行かないって言ったら、ファムはどうすんの?」


「えっと....それは.....」


ガレスと共にマリアを笑っといてあれだが、ファムも結構な依存体質かもしれない。


「まぁ、将来の事決めるのはまだ早いか。


.....にしても何して遊ぶよ。」


外に出れば選択肢は多くなる。鬼ごっこやかくれんぼ、中学生の時に戦犯として晒し者にされて以来二度とやらないと決めた大縄跳び。色々ある。


「タロー、見て。みんなで大縄跳びしてる。」


うーわ最悪目が腐るわ。


「なぁファム、せっかくだし2人で何か_____」


「おーい!モモタローにファムー!何してんだよ。一緒に縄跳びやろうぜー!」


ガキが....舐めてると潰すぞ....!


結局夕暮れまで大縄した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



西の山に夕陽が沈み始めた頃、俺は少し離れたところに座っていた。


(そろそろ帰った方が良いな....)


そう思ってみんなの方を見る。


8の字という奴だろうか。みんな楽しそうに、無邪気に、走り回り縄を華麗に潜り抜けている。そして何より、"ファムを爪弾きにしていない"。

5年前、俺はどうやら思い違いをしていたらしい。こんな歳の子供が鬼族がどうこうなどと気にする訳がなかったのだ。


のっぽのジャック

村一番の美貌と言われているマーシャ

双子の兄弟セオとルカ

俺より2歳上のはずがチビなせいで気分はほぼ同い年のポール


みんな良い奴らだ。


(俺も戦犯になったが笑って許してくれたしな。)


子供とは良いものだ。俺も心の底から混ざれたら良いんだが、流石に中身もう26歳のアラサーだしな。

17歳で死んだから、早いものでこの世界に来て既に10年か。


「タロー、ねぇタローどこ見てるの」


「んぇ!?....あぁ、はいはい。」


物思いに夕陽を見つめていたら、マーシャに語りかけられている事に気づかなかった。


「もういつも帰ってる時間じゃない?ほら、陽がもうあんなところに。」


「本当だな。」


「えーまだ遊びたいよー」


「タロー、セオが今度は鬼ごっこしようだって。」


「タロー、ルカが次はかくれんぼがしたいって。」


「タロー、ポールが居なくなっちゃった!」


「また明日遊べば良いでしょう?

それにちゃんと帰って夜ご飯食べてお風呂に入ってぐっすり寝なきゃダメ。」


帰りたくない子供達をマーシャがおかんみたいに叱る。


「そうだぞーみんな。あとジャック、ポールはお前の真下だ。」


「居たー!」


良かったな最後にかくれんぼ出来て。


「じゃあまた明日、はい帰った帰った〜」


「「「「「バイバーイ」」」」」


ここからだと、俺はマーシャ以外と帰る道は別になる。

だから毎回2人きりになる時間が必ず出来る。


「じゃあ、私達も帰ろっか。」


「ああ。」


「.....ありがとな、マーシャ。」


「うんうん。帰るの遅くなったらお父さんやお母さん心配するもん。『帰ろう』って言う役目は別にタローだけがやらなきゃいけない事じゃないよ。」


「それもあるんだけどさ、なんて言うかな。

ファムと仲良くしてくれてる事....本当ありがとなって。」


「え?ああ、うん....」


「いやなんかさ、この村って俺らの歳あんまり女の子居ねえじゃん?

だからお前が居てくれてファムもなんつうか、居やすいだろうなって。

お前めっちゃ気がきくし、ファムが鬼族な事とか全然気にしないで接してくれるしさ。」


「何それ。全然、大した事じゃないよ。ファムちゃん良い子だし。


.....タローこそ気にしすぎなんじゃないかな。種族の事。」



「あーそうだよな。悪いな変な話始めて。

でも、ただ普通に生きてただけのに疎まれたり蔑まれたりする気持ちは分かるからさ....

なんかアイツの事放っておかなくてさ。」


「.....好きなの?ファムちゃんの事。」


「どうなんだろうな....」


前世の事もある。

この感情が、いじめられっ子の美少女というある種都合の良い存在に向けた支配欲に等しい物なのかもしれない。

それでも俺は今日のあの子の笑顔を思い出す。


「....多分な。好きなんだと思う。」


「そっか....」


「ただ、今の俺とファムはやっぱり対等じゃないと思う。

だから、鬼族に対する偏見や鬼人戦争の遺恨が完全に世界から消えたら、その時が俺が"いじめから助けてくれた人"から"ただの友達"になる瞬間だと思う。

好きか伝えるかはその時決めるよ。」


9歳児と何恋バナしてんだ俺。


「.....ふふっ笑そういうのをね、女の子目線"ヘタレ"って言うんだよ〜」


「恩着せ野郎になるくらいならヘタレで良いですぅ〜」


「あはは笑そうだね。

でもその為に村、出るんだよね。」


「ああ、15歳になったら冒険者ギルドの依頼を受けれるようになる。

それで日銭を稼ぎながら世界中を旅する。そして、いく先々でどうにか鬼族の悪評を晴らす。」


「.....何か手はあるの?」


「それが今のところそこだけがさっぱりでさ。

一応そういう類の知識に詳しい奴なら知ってるんだが、あいにく今はな....」


「彼らの事ね.....

でもきっと、タローなら出来ると思う。全部。」


「ありがとう。出来ると良いんだけどな。」


「じゃあ私、こっちだから。バイバイ、タロー。」


「おう。また明日な、マーシャ。」


マーシャと別れ帰路に着く。


すると


「あれ、モモタロー?」


偶然出くわした。


「本当だ。久しぶりーだなぁ!」


さっき言っていた____


「なぁタロー。今日俺達ラブンド川で釣りしてたんだけど、全然釣れなくてさ。明日また行くんだけどタローもどうよ。」


____鬼族の悪評について詳しい奴らと。


「....ファムも一緒になら喜んで行くんだけどな



リベリー、ブンテ、リガロ。」


「それは.....」


リベリーが口籠る。


「やだよ。お前1人で来いよ。」


「ああ、鬼族と一緒に行けるか。」


リガロとブンテははっきりと否定して来た。


「明日も一緒に遊ぼうと約束したからな。

まぁ無理なら遠慮するよ。じゃあな。」


「あ、モモタロー......」


俺は半ば強引にコイツと別れて帰路を走った。

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