第53話 決断
映画館を出たAとBははしゃいでいた。
「面白かったねー映画!」
「ああ。あそこからああ来るとは思わなかった」
バイクで来なかったので、徒歩での帰り道だった。
「あの高い所からの…」
そうAが言い駆けた時。道路を挟んだ警官が拳銃を両手に、
「そこの2人!手をあげろ!」
と急に威圧をかけてきた。Aはためらいもなく自分の拳銃を取り出し2発、警官に向けて発射する。警官はどうと倒れ、血溜まりが広がった。
キャアという悲鳴を合図に2人は駅へ向けてダッシュした。
「ひゃああああ…」
Bは狼狽したが、今はAと共に逃げるしかなかった。
駅前の人混みに紛れるともう安心できるレベルのように見えた。2人は何事も無かったかのように電車の切符を買い、電車に乗った。北綾瀬へは、綾瀬を挟んで乗り換えないといけないのが少し面倒だった。
アジトに帰るとAはすぐにタバコに火をつけた。明らかにイライラしている。Bはノートパソコンをいじり始めた。
しばらくテレビの音声以外、沈黙が続いていたが、Bが飛び跳ねて喜んだ。
「A!暗号資産の抜きはできたよ!A!」
Aは作業場からなかなか出てこない。
「もう…Aったら」
30分ほどテレビを見ていると、Aが興奮気味に作業場を出てきた。
「整った!」
「え?」
「フィナーレプラン」
「本当?」
「その前に飯を食おう。ピザか?寿司か?」
――――
夜。亀有で銃弾を受け死亡した場所に冴島と松島が到着していた。
「銃を2発受け、即死です。相当手練れの狙撃手ですよ」
「ふん…」
冴島は松島に問うた。
「2人はここで何をしてたのかしら」
松島は唸っていた。
「そうですねぇ…この通りはアリオ亀有へ通じる道ですよねぇ」
「大型ショッピングモールね。それが?」
「行くとしたら、2人はアリオ亀有からの帰り道だったんじゃないんじゃないかと思うんですよねぇ」
「アリオ亀有に何しに行くの?」
「僕だったら…映画ですかねぇ」
「包囲されてる中、わざわざ映画に行くかしら?」
「爆破犯は普通の思考じゃないですから…ありえないとはいえませんね」
冴島は爪を噛んだ。
「とにかく周辺の警備強化を続けるしかないわね」
――――
「そんな事本当にできるの?」
「何でもそうだが100%ではない。が、やる価値はある」
BはAの計画を聞いて、とてもじゃないがうまくいくとは思えなかった。
「でも僕はAを信じるよ、今まで信じてきたもん。今更無茶なんて言いっこなしだよね」
「ああ、じゃあ早速ウサギの被り物を被ってくれ」




