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第5話 県警

その大きなフロアには、PCモニターがびっしりと備え付けられてあった。

静かだったその部屋に、一人、また一人と席は埋まってゆき、ついには満員でひしめきう状態にまでなると、それらと対峙したテーブルに座っている者の一人が立ち上がって喋り始めた。

「えーそれでは始めます」

フロアの入口には「東京連続爆破犯対策本部」と書かれた立て看板があった。主に捜査1課から成っていた。

「まず捜査1課のほうから事件の全容についてどうぞ」

「はい!」

喋りだした男の隣にいる男が立ち上がった。

「当対策本部は、7月28日に東京都内にある東京ビッグスクエア、翌29日に国会議事堂を爆破し、その後同一犯であると同時に、次回の爆破先を幕張パレスとする声明を出した一連の連続爆破テロ犯について立ち上げられたものであります」

「はい。次爆破研究チームの方、どうぞ」

「はい、えー。声明通り2つの爆破方法がほぼ同じです。300以上のダイナマイトを伝爆薬とする、ニトロメタンと硝安から成るアンフォ爆薬を満載した2トントラック車爆弾によるものです」

フロア中にどよめきが起こる。

「えー、アンフォ爆薬?」

「ええ、ダイナマイトの入手先はまだ謎ですが、ニトロメタンと硝安は比較的安価で手に入るため、テロ犯が好んで使う材料です。その上威力は大変強力…」

「なるほど。」

捜査1課が再びマイクを取った。

「東京ビッグスクエアでは死者128名、国会議事堂では死者8名出ております。大変由々しき事態であり、幕張パレスの爆破予告からしてこれは警察への挑発に他なりません。何としても幕張パレスの爆破を完全阻止しなくてはなりません!」

「ちょっとよろしいですか?」

「君は…」

「捜査1課の冴島氷子です。次の幕張パレスでは、トラック爆弾は目立つので違ったアプローチで来ると思います。とにかくこれは警察への挑発です!徹底的な布陣で防衛しないといけないと思います」

「そうですな…それにしても東京ビッグスクエアはともかく、国会議事堂にどうして2トントラックが入れたのか…」

「清掃業者を装って入口の門を通過したとのことで…何とも言えません」

「とにかく、国民が注視している。次の幕張パレスは徹底的に爆弾を捜索し撤去する構えで皆、よろしく頼む」

フロアの人間は騒がしくその場を後にした。が、先程スピーチしていた冴島氷子はノートパソコンに何やら打ち込んでいて動かない。そこへ一人の刑事がふらりと冴島の下へやってきた。

「冴島さんも幕張パレスへは行くのかい?」

「最前線で向かいます。蛙谷さんは?」

「怖いのはいやなんだけどねぇ…まあそこそこの距離を張るでしょうな」

「そのへっぴり腰を何とかした方がいいんではないでしょうか。では」

冴島はノートパソコンを閉じ、フロアの出口へ颯爽と出ていった。

蛙谷は頭を掻きながら、

「おぉ怖い怖い」

と呟き、フロアを後にした。

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