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第45話 出頭

アジトの内部の部屋には秒針だけが響いていた。

2人は確かにリビングにいたが、聞こえてくるのは秒針だけだった。それだけ静まり返っていた。

静けさを消すかのようにAはタバコを取り出した。ライターのキーンという音。

Bは憂鬱気味にソファに腰掛けやや下を向いている。

沈黙は長い間続いた。しばらくしてやっとAが口を開いた。

「だめだ、警察の巧妙な罠に決まってる」

「そうかもね」

Aはせわしなくタバコを吸っている。2本目に手をかけたとき、BはAに優しく言った。

「僕は、行くよ。そのほうがきっとうまくいくような気がするんだ」

「そのまま逮捕されたりでもしたら、どうする?これは罠だ」

「Aは逮捕されるのが怖い?」

「いや…しかしだな」

「僕は怖くない。だから行くよ」

Aはタバコをくゆらせながらしばし沈黙したが、

「そうか」

とだけ言って作業場へと歩を進めた。

「でも24時間だけ時間をちょうだい。やらなきゃいけないことがあるんだ」

そう言ってBは冷蔵庫へお目当ての物を取りに行った。

そして24時間経った夜明け―――

Aが作業場からリビングに着くと、テーブルにはラップがかかった料理が並んでいた。紙があり、「食べてね」とだけ書かれていた。

その時だ。Aの瞼からはとめどもない涙が流れた。こんな感情どこにもないはずだった。いつだって一人で生きてきたはずじゃないか。Aは涙を拭いながらテレビのスイッチをいじった。

ライブで犯人出頭の映像が流れている。報道陣がわんさかと集まっている中、Bを乗せた車が警察署へ入っていく様子が映し出されている。右下にはBの顔が大きく映し出されている。

「B…めげるなよ」

そう言うとAはなし崩し的にその場に崩れた。


――――


しばらく車に乗っていると、たくさんのフラッシュがたかれる場所へとやってきた。おそらくその場所なんだろうと思い外を見つめると、沢山の警察官がせわしなく動いている。ドアが開き、外にでる。まぶしく思わず手を覆う。

「犯人と思われるトパーズが、今車を降りた模様です!」

マスコミは騒がしくまくしたてる。Bは気に止めることもなく、建物へ入っていった。

通された場所は、映画によく出てくるような典型的な取調室で、隅には警察官が座っており、何かをしたためいる。

取調室の椅子に腰をつけてから30分は経っただろうか。男女2人が取調室へやってきた。女性には見覚えがあったが、ボンヤリとしていてわからない。

男性はぼろいハーフコートを着ている。

「これは逮捕じゃない、交渉だ。僕らには24時間の話をする猶予を与えてもらった。24時間すぎた後、君は釈放される。その間、存分にお話させてもらう。いいね?」


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