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第43話 安穏

あの事件から数日、2人は居場所を特定されることもなく、のんびり静かに過ごしていた。ある日Aがコーヒーを飲むため作業場からリビングにやってくると、何やら台所の方でトントンとリズミカルな心地良い音が聞こえてきた。

思わず覗いてみると、Bが料理をしている光景が目に入ってきた。

Bは鍋のスープを味見しているところだった。

「B…何している」

「あ、A!今日は僕、料理にチャレンジしてるんだ!楽しみにまっててよね」

「お、おう…」

Aは冷静にコーヒーミルで豆を挽いた。

(本当に大丈夫なのか!?)

ぎこちない動きでコーヒーを飲んだ。


「できたよ〜!」

Bの合図でAが作業場から出てきた。テーブルにはこれでもないくらいの食事が並んでいる。

「奮発しちゃったよーさぁ遠慮なく食べて」

Aはテーブルのすみからすみまでを見渡した。豪華な料理が並んでいる。

「はは…全部食べれるかなぁ」

「いーから!まずこれ!」

それはキャベツの塊のように見えた。

「ロールキャベツ!作るの大変だったんだから〜」

Aは恐る恐る口にいれ、咀嚼する。

「どーお?」

「うん、まぁ…うまいな」

「正直じゃないなぁ。ほっぺたが落ちちゃう〜!って言えないの」

「言えるかそんなん」

「そっちはね回鍋肉!野菜炒めて回鍋肉の素を混ぜるだけ!」

「うん、うまい」

そうして極上の食事は2時間かけて終えるのだった。

「あー腹いっぱいだー」

Aはリビングのソファにだらしなく寝転がった。

「僕料理の才能あるよねぇ?これから毎日作ろうかなー?」

「いや、上手いのはわかったから、よしてくれ」


――――


都内某所の創作料理屋でランチを取っている2人組がいた。

一人はキッチリとしたスーツを着こなしてる女性で、もう一人はボロボロのハーフコートを着ている男だった。

「こういう所にはあまり来ない?」

グラスワインを飲みながら、冴島は対面の男に呼びかけた。

「はぁ…あまりこういうところはどうも」

対面の男、松島は汗をハンカチで拭いながら絞り出すような声で言った。

「それで、犯人は次に爆破する場所はどこかしら?」

「分かるわけないじゃないですか!超能力者じゃないんですよ!あくまでなにかの断片を元に心理学的見地から、ものを発するだけです」

「じゃあ、次の予告がないと、だめか…」

「でも手口がどんどん派手になってることを考えると、次は突拍子のない場所かもしれませんね」

「毎回突拍子もないわよ。前みたいに待ち合わせ場所を指名してくれるなら楽なんでしょうけど」

「そうですね、でもこれだけ自衛隊も動いてる今、そのやり方はもうしてこないでしょうね」

それから2人は、黙って食事を摂った。

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