第40話 夜明け前
爆破予告日前日、対策本部には今日も刑事で溢れかえっていた。
「1課、報告を」
「はい!先日皇居と靖国神社に爆破処理班100名以上を動員し捜索にあたりましたが、爆破物らしきものは見つかりませんでした。よって皇居と靖国神社は爆破対象外と思われます!」
「続けて」
「はい!自衛隊の配分ですが、東京駅50名、日本武道館20名、秋葉原電気街20名、神田神社、日枝神社共に10名配備し、警備に当たらせます」
「全体的に配備員の数が少なくないですか」
「自衛隊の意向なので何とも…」
「今からでも爆破処理班を動員し、徹底的に探知に当たって下さい」
「千代田区の住民に避難を呼びかけ続けておりますが、ほとんどが聞く耳を持ちません!まさか自分がと思っているのでしょう。こまったものです」
「どうしようもないわね…」
――――
Bは瓶のバニラコークを冷蔵庫から取り出し、リビングのノートパソコンの前に座った。色々調べ物があるらしく、Bはモニターに視線が釘付けになっている。
Aは闇サイトで購入したRPGという武器を撫でながら恍惚の表情を浮かべていた。
「これはいい品だ。高いだけのことはある」
「そういえば鮫島さんから連絡が来たから、段取りを話しておいたよ」
「そうか。打ち合わせは終えたと思っていたが、鮫島さんとの連絡を忘れていたな」
Aはうまそうにタバコを吸いながらBの後ろに回り込むように座った。
「どうだ、明日はうまくいきそうか」
「さぁ〜どうだろうねぇ」
「おいおい、ぼんやりとしててはいかんぞ」
「タバコ臭い!」
BはAの事をグイグイ押してその場から追い出した。
「…タバコはやめられないからなぁ」
Aはそう呟いて頭をポリポリとかいた。
「それよりさ」
Bはバニラコークを飲みながら言った。
「フィナーレの計画、早く教えてよ。気になるじゃん」
「だめだ、今は今回の計画だけに集中するんだ。最後の爆破を教えたら気が散るだろ」
そう言って新しいタバコに火を付ける。
「もーしょうがないなぁ」
あきらめ気味でBはノートパソコンに視線を戻した。
少しの沈黙の後、AはBに言った。
「なぁ、どうやったら銀行から金を盗めるんだ?」
「簡単だよ、暗号化されたプログラムを解読してから、ちょこちょこっといじるんだ」
「ちょこちょこっと、ね…」
そう言ってAはタバコを深く吸う。
「とにかく明日は頑張ろう。終わったらまたステーキでも食べて喜びを分かち合おうじゃないか」
「はいはい。うまくいったら、ね」




